『芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席物帳』 愛川晶 > 「このミス」完全読破 No.110
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.110
『芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席物帳』 愛川晶
「このミス」2009年版 : 14位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 15位
読始:2008.7.16 ~ 読終:2008.7.21
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2008年4月>
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近頃本屋のミステリ本コーナーに行くと、別に特集を組んでいるわけではないのに、落語を題材とした作品を多く目にすることができます。ちょっとしたブームになっているようで。
そしてこの「芝浜謎噺」も、そんな落語ミステリ小説の一つなのです。落語好きな方なら、タイトルを見ただけでわかるのかもしれませんね。
実はこの作品は、「道具屋殺人事件」に続くシリーズ2作目です。その前作は、昨年の「本ミス」では14位にランクインしたものの、「このミス」では1票入ったのみなので、今回の作品も今年の「このミス」にランクインするのは厳しいでしょうかねェ。(後日追記 : 結果は見事14位にランクイン!)
あと、“シリーズ1作目は「このミス」ランク外だったけど、2作目がランクイン”なんて作品を読む場合は、“「このミス」完全読破”の名の元にやっているとはいえシリーズ1作目から読むようにしているのですが、今回はいきなりシリーズ2作目の本作から読み始めてみました。
そしたら、前作から引き続き登場する人物(もちろん主人公も含む)についてやその関係性など改めて説明してくれてはいるのですが、すんなりとは入ってこなかったし、その作品世界に慣れるまで時間が掛かったので、やはりシリーズ物は1作目から読むべきだな~と改めて思いましたね。
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そしてもちろん“落語”という専門的なものを題材としていることもあって、落語に関する専門用語だったり独自の思想・行動様式などが出てきます。
自分は、落語といっても「笑点」をちらっと見るくらいなので、生で観たことなどもちろんありません。まあ、チャンスが全くなかったわけでもなくて、大学の授業の一環としてみんなで落語を観に行く機会があったのですが、待ち合わせ場所である新宿までは行ったものの、そのまま合流せずにサボってしまったのです.....。
というわけで完全に落語の初心者なのですが、そんな自分でも問題なく読み進めることができました。もちろん最初から何もかも理解できたわけではなくて、落語の世界について勉強しながらって感じで、そういった知識的な面でも楽しめましたね。
そして物語自体も、全部で3篇の中篇、つまりは3つの題目による連作集なのですが、それぞれの中篇としても面白かったのはもちろん、それらをひっくるめた一つの長篇として見ても、これがまた一つの筋が出来ていて、興味が途切れることなくこの作品を堪能することが出来ました。
その面白さも、落語小説としてだけでなく、ミステリ小説としても申し分ないです。しかも単に作品の中にミステリ要素が交じっているというわけではなく、落語の場面と綿密に絡み合っているので、もう見事と言うしかないですね。ここのところは、初心者よりも落語を少しでもかじっている人ほどそう思うのでは。
そして落語を演じている場面、特にクライマックスにおいては、本当に落語を観ているかのような迫力で、読んでいて圧倒されてしまいました。それに続いて驚きの真相が判明したりもするので、ラストはもうなだれ込むように読んでしまったくらいですから。
なので、★5つの満点評価でもよかったのですが、やはり落語家は名前が似ている人が多くて、なんか最後まで誰が誰だか区別が付きにくかったこともあって、★4つ止まりにしてしまいました。まあこれは、作品がどうこうよりも、完全に自分自身が問題なわけですけどねェ。なので後で★5つに変更するかも?
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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