『完全恋愛』 牧薩次 > 「このミス」完全読破 No.106
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.106
『完全恋愛』 牧薩次
「このミス」2009年版 : 3位
受賞(候補) : 「本格ミステリ大賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 6位
「ミステリが読みたい!」 18位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2008.6.25 ~ 読終:2008.6.27
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2008年1月>
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この“牧薩次”という作家名は、実は推理作家協会賞を受賞するなど多くの作品を発表している辻真先の別名(というか過去作品の主人公)なのです。なので一応この本は、辻真先による作品というわけなのです。
それではなぜに名前を変えて発表したのか?ということは、最後まで読めばちゃんと解かります。ってか、作者自身による解説で説明しているのですけどね。
さてさてこの作品は、タイトルからわかるように、恋愛小説です。
しかし、“恋愛”の前に付けるにしては違和感のある“完全”という言葉が加えられていることから、そんじょそこらの恋愛小説とは一味違ったものを想像してしまいますが、まさにその通りで、とても歪でありながら一方でとても純粋であるという、一風変わった恋愛小説なのです。
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どのくらい変わっているかというと、このタイトルに関して“他者にその存在さえ知られない罪を 完全犯罪と呼ぶ では 他者にその存在さえ知られない恋は 完全恋愛と呼ばれるべきか?”といった感じで説明されていることからも窺い知れるのですが、“完全犯罪”と対比させているだけあって、やはりミステリ的要素と大きく関わっています。
というか、どちらかというと本格ミステリ的話の方が主軸になっていて、そこに恋愛話が並行している、って感じですかね。
だけど、そのミステリ的話と恋愛話というのは、さり気ないようでいながら非常に密接した関係でもあるのです。だから、どちらか一方が際立つことはなく、お互いが強く濃厚に抱擁し合っているかのように結びついているのです。
そのため、ミステリ的話に恋愛話が絡むことで、ミステリ的話により厚みやスケールの大きさを感じることができたし、恋愛話にミステリ的話が絡むことで、恋愛話がより熱く崇高に感じることができたのですよね。
まあとにかく、ミステリ小説としても恋愛小説としても、かなりの水準で楽しめました。だけど読後すぐの感じは、ミステリ小説を読み終えたのでもなく、恋愛小説を読み終えたのでもなく、なんか両者の間から新たに生まれた新種の小説を読んだようでした。そんな不思議な感覚に陥ってしまうくらいに面白かったです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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