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2008年8月

2008年8月31日 (日)

『聖域』 大倉崇裕 > 「このミス」完全読破 No.111

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.111

 『聖域』 大倉崇裕

   「このミス」2009年版 : 19位

   受賞(候補) : (「大藪春彦賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.7.23 ~ 読終:2008.7.25

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年5月>

聖域 (創元推理文庫)聖域 (創元推理文庫)
大倉 崇裕

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 この作品は、雪山を舞台とした山岳ミステリです。

 “雪山を舞台”といえば、過去に読んだ作品の中ではNo.23「ホワイトアウト」真保裕一を思い出してしまいます。

 そしてこの「ホワイトアウト」を読んだ時と同様に今回も、雪降る真冬の物語だというのに、灼熱の太陽真っ盛りの真夏に読むことになったのですねェ。まあ、この本の発売日自体が夏の手前だったので仕方ないのですが。

 それからやっぱり、真夏と真冬のギャップからあまり作品世界をリアルに感じることは難しかったものの、逆に凍えそうなほど寒い世界をリアルに感じないで済んだから良かったかな、と思ってしまったのも、「ホワイトアウト」を読んだ時と同様でした。

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 まあ、“雪山が舞台”というところは共通していますが、作品のジャンル的には全然違くて、「ホワイトアウト」が冒険小説だとしたら、本作品の方はバリバリのミステリ作品となっています。

 このミステリ的要素にも、雪山という舞台が重要な役割となっているし、主人公やその周囲の人々の山に対する想いや、山を巡っての友情やしがらみや対立など、全編を通して山(登山)を中心にして話が進んでいくので、自分でも頂上を目指して一歩一歩踏みしめながら山を昇っている感じで読み進めることができました。

 ただ、クライマックスがあんまり盛り上がらないまま終わってしまったように自分には感じられました。ちょっと頂上を高く見積もり過ぎてしまったのかもしれません。

 でも、山好きな人にはもちろん、そうでない人でも、山岳小説としてもミステリ作品としても充分楽しめるのではないでしょうか。
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  > 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “大倉崇裕” 関連記事 】

  > No.683 「福家警部補の報告」
  > No.429 「白虹」
  > No.239 「福家警部補の再訪」
  > No.111 「聖域」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「耳をふさいで夜を走る」 石持浅海

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年8月28日 (木)

『芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席物帳』 愛川晶 > 「このミス」完全読破 No.110

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.110

 『芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席物帳』 愛川晶

   「このミス」2009年版 : 14位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 15位

   読始:2008.7.16 ~ 読終:2008.7.21

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年4月>

芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)
愛川 晶

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 近頃本屋のミステリ本コーナーに行くと、別に特集を組んでいるわけではないのに、落語を題材とした作品を多く目にすることができます。ちょっとしたブームになっているようで。

 そしてこの「芝浜謎噺」も、そんな落語ミステリ小説の一つなのです。落語好きな方なら、タイトルを見ただけでわかるのかもしれませんね。

 実はこの作品は、「道具屋殺人事件」に続くシリーズ2作目です。その前作は、昨年の「本ミス」では14位にランクインしたものの、「このミス」では1票入ったのみなので、今回の作品も今年の「このミス」にランクインするのは厳しいでしょうかねェ。(後日追記 : 結果は見事14位にランクイン!)

 あと、“シリーズ1作目は「このミス」ランク外だったけど、2作目がランクイン”なんて作品を読む場合は、“「このミス」完全読破”の名の元にやっているとはいえシリーズ1作目から読むようにしているのですが、今回はいきなりシリーズ2作目の本作から読み始めてみました。

 そしたら、前作から引き続き登場する人物(もちろん主人公も含む)についてやその関係性など改めて説明してくれてはいるのですが、すんなりとは入ってこなかったし、その作品世界に慣れるまで時間が掛かったので、やはりシリーズ物は1作目から読むべきだな~と改めて思いましたね。

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 そしてもちろん“落語”という専門的なものを題材としていることもあって、落語に関する専門用語だったり独自の思想・行動様式などが出てきます。

 自分は、落語といっても「笑点」をちらっと見るくらいなので、生で観たことなどもちろんありません。まあ、チャンスが全くなかったわけでもなくて、大学の授業の一環としてみんなで落語を観に行く機会があったのですが、待ち合わせ場所である新宿までは行ったものの、そのまま合流せずにサボってしまったのです.....。

 というわけで完全に落語の初心者なのですが、そんな自分でも問題なく読み進めることができました。もちろん最初から何もかも理解できたわけではなくて、落語の世界について勉強しながらって感じで、そういった知識的な面でも楽しめましたね。

 そして物語自体も、全部で3篇の中篇、つまりは3つの題目による連作集なのですが、それぞれの中篇としても面白かったのはもちろん、それらをひっくるめた一つの長篇として見ても、これがまた一つの筋が出来ていて、興味が途切れることなくこの作品を堪能することが出来ました。

 その面白さも、落語小説としてだけでなく、ミステリ小説としても申し分ないです。しかも単に作品の中にミステリ要素が交じっているというわけではなく、落語の場面と綿密に絡み合っているので、もう見事と言うしかないですね。ここのところは、初心者よりも落語を少しでもかじっている人ほどそう思うのでは。

 そして落語を演じている場面、特にクライマックスにおいては、本当に落語を観ているかのような迫力で、読んでいて圧倒されてしまいました。それに続いて驚きの真相が判明したりもするので、ラストはもうなだれ込むように読んでしまったくらいですから。

 なので、★5つの満点評価でもよかったのですが、やはり落語家は名前が似ている人が多くて、なんか最後まで誰が誰だか区別が付きにくかったこともあって、★4つ止まりにしてしまいました。まあこれは、作品がどうこうよりも、完全に自分自身が問題なわけですけどねェ。なので後で★5つに変更するかも?

(後日追記)
 この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “愛川晶” 関連記事 】

   > No.458 「三題噺 示現流幽霊 神田紅梅亭寄席物帳」
   > No.259 「うまや怪談 神田紅梅亭寄席物帳」
   > No.110 「芝浜謎噺 神田紅梅亭寄席物帳」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「聖域」 大倉崇裕

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年8月26日 (火)

週刊少年ジャンプ新連載! 「いぬまるだしっ」 大石浩二

いぬまるだしっ 1 (ジャンプコミックス)いぬまるだしっ 1 (ジャンプコミックス)

集英社 2009-02-04
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 今クールの新連載は、2作品ともに連載開始号で表紙を飾ることができませんでした。

 まず新連載第1弾の「バクマン。」は、大場つぐみ&小畑健の「デスノート」コンビということもあって、普通なら表紙を飾らないことなどありえないわけですが、ちょうど全連載漫画の主役キャラが一同に揃う表紙が定番となっている合併号と重なってしまったため、表紙にはならなかったのです。

 その代わり、第2話が掲載されている今週発売号で、きっちりと1週遅れの表紙を飾っているわけなのですけどね。

 そして新連載第2弾となるのがこの記事の主役・「いぬまるだしっ」なのですが、そんな理由で「バクマン。」が1週ズレて表紙を飾ったため、その煽りを食ってこちらも新連載開始号で表紙を飾ることはかなわなかったのです。

 まあ、そんな事情がなくとも表紙にはならなかったのでしょうけどね。巻頭カラーさえ「アイシールド21」に譲っているし、前作の「メゾン・ド・ペンギン」の時も表紙ではなかったし(そしてそれをネタにしてました)。

 ただ、こういったギャグ漫画(特に自虐系ギャグ漫画)の場合、“扱いが悪いほど扱いが良い”ということなので、この“表紙にも巻頭カラーにもならず”という扱いは、逆にオイシイってことなんですけどね。それに来週の第2話では“業界初のおしりカラー”というよくわからないフィーチャーされっぷりですし。


 そんな「いぬまるだしっ」ですが、前作同様にギャグ漫画であることには変わりがないものの、幼稚園児とその先生が主役ということもあってか、「メゾン・ド・ペンギン」や過去に発表した読み切り作品よりもずいぶんと一般受けしそう、というか、絵を見ただけで読まずに飛ばしたくなる度がかなり激減しているようですね。なんか普通の漫画って感じで。

 それでホントに一般受けするまでに人気になるにはどうしたらよいのか、というところを第1話を読んだ時点で考えてみたのですが、ギャグ漫画であるという基本線はそのままでも、そこにコメディ要素を多かれ少なかれ投入していった方がいいのではないかと。過去に大ヒットした、小さい子供が主役の主に小学生向けの漫画たちのように。

 ただ前作なんかみても、下ネタ・下品・自虐的なギャグがほとんどだったので、そういった持ち味を控え目にしないといけなくなるのですが、その持ち味を充分に発揮した前作は失敗に終わっているわけだし、ここらで新たな領域に足を突っ込んでもいいんじゃないかと思うのです。まあ下品なネタがあっても「クレヨンしんちゃん」とか「おぼっちゃまくん」みたいになればOKですけどね。

 まあいずれにしろ、今後どのような方向に進んでいくのかわからないし、そこが面白いところでもあるのですが、今のジャンプはギャグ漫画があきらかに不足しているので、ギャグ漫画勢復活の起爆剤的存在になってほしいですね。ってそれはちょっと期待を掛けすぎか。まずは突き抜け(1クールで打ち切り)にならないくらいのレベルでいいから面白くなりますように.....。

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 【「大石浩二」関連記事】

  > 「トマトイプーのリコピン」 大石浩二 > 週刊少年ジャンプ新連載! (17.10.2)
  > 「トマトイプーのリコピン」 大石浩二 > 週刊少年ジャンプ読切! (16.12.13)

  > 「未来への跳躍~長浜洋次郎物語~」 大石浩二
     > 週刊少年ジャンプ読切! (14.4.29)

  > 「いぬまるだしっ ~タイでもまるだしっ~」 大石浩二
     > 週刊少年ジャンプ読切! (13.8.2)

  > 「氷上布武」 大石浩二 > 週刊少年ジャンプ読切! (13.1.4)

  > 「信魂さんいらっしゃい」 大石浩二 > 週刊少年ジャンプ読切! (11.1.5)

  > 「いぬまるだしっ」 大石浩二 <JC1巻買い> (09.2.9)
  > 「いぬまるだしっ」 大石浩二 > 週刊少年ジャンプ新連載! (08.8.26)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年8月22日 (金)

『モンスターズ』 山口雅也 > 「このミス」完全読破 No.109

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.109

 『モンスターズ』 山口雅也

   「このミス」2009年版 : 41位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.7.7 ~ 読終:2008.7.13

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年3月>

モンスターズ (講談社文庫)モンスターズ (講談社文庫)
山口 雅也

講談社 2011-08-12
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 今年(2008年)の山口雅也といえば、十数年ぶりに復活した“キッド・ピストルズ”シリーズ最新作No.128「キッド・ピストルズの最低の帰還」に注目が集まりましたが、このNo.28「ミステリーズ」「マニアックス」に続く“頭文字M”シリーズも、久々の復活となったのです。

 前2作と同様に、あるテーマに沿った作品が集まった短編集です。

 そしてそのテーマというのは、タイトルにもなっている“モンスター・怪物”。

 しかし話によって語られる“モンスター・怪物”の種類・系統というのが豊富で、したがって話のタイプ・切り口も様々なので、一作ごとに違った味わいを楽しめましたね。

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 これまでに山口雅也の作品は、No.51「生ける屍の死」や“キッド・ピストルズ”シリーズなどいくつか読んできましたが、舞台が外国の作品が多いこともあってか、まるで海外の翻訳小説を読んでいるような文章に感じました。

 そして今回の短編集は舞台が日本のものと外国のものがだいたい半々なのですが、やはり外国が舞台の作品の方が魅力を感じましたね。それは翻訳小説風の文章だからなのか、今回収録されている作品がたまたまそうだったのかはわかりませんが。

 そんな中でも、一番イメージしやすいタイプのモンスターが大暴れする表題作「モンスターズ」が特に面白かったですね。もちろん、海外が舞台の作品です。


  > 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “山口雅也”関連記事 】

  > No.971 「落語魅捨理全集 坊主の愉しみ
  > No.777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.604 「謎の謎その他の謎」
  > No.489 「狩場最悪の航海記」
  > No.128 「キッド・ピストルズの最低の帰還」

  > No.109 「モンスターズ」
  > No.080 「キッド・ピストルズの冒涜」
  > No.051 「生ける屍の死」
  > No.028 「ミステリーズ」
  > No.015 「キッド・ピストルズの妄想」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「芝浜謎噺」 愛川晶

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年8月19日 (火)

『ステップ』 香納諒一 > 「このミス」完全読破 No.108

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.108

 『ステップ』 香納諒一

   「このミス」2009年版 : 0票

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.7.1 ~ 読終:2008.7.3

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年3月>

ステップ (双葉文庫)ステップ (双葉文庫)
香納 諒一

双葉社 2010-06-10
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 この作品がどういったタイプの小説なのか知らないで読んだこともあって、序盤での驚愕の展開にはかなりビックリしちゃいましたねェ。

 このタイプのアイデア自体はごくありふれたものだとは思うのですが、これまで読んできた中に同じような作品はなかったこともあってか、新鮮な感じですごい楽しめました。

 まあ、帯見ればこういう小説だってことは説明されているのですけどね。だけどやっぱり知らないで読んだ方が、その分驚きや楽しみが増えるわけですから、確実に読むだろう本なら帯などの説明はなるべく見ない方が良さそうです。

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 あとはやっぱり、この作品を新鮮な感じて楽しめた理由として、この作者の“読ませる力”というのが大きかったんじゃないですかね。だいたい次はこう来るかな?とわかったとしても、そこに至る過程を充分に楽しめましたから。

 それに、主人公と同じ気持ちになって、徐々に明らかになってゆく謎の真相に驚くことが出来るので、もう最後まで一気に読ませられました。こういったタイプの作品のパターンを最大限にまで上手く活かしているように思いましたね。ってなんか偉そうなこと言ってますが.....。

 それと舞台が横浜ということもあって、作品世界が凄くイメージしやすくて、中には“あ~あそこの道路を走っているんだな~”と具体的にわっかったりなんかして、なんか嬉しかったし、より作品世界に入り込めましたね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “香納諒一” 関連記事 】

  > No.1027 「完全犯罪の死角 刑事花房京子」
  > No.0819 「刑事群像」
  > No.0750 「無縁旅人」
  > No.0639 「幸 SACHI」

  > No.0504 「心に雹の降りしきる」
  > No.0371 「熱愛」
  > No.0309 「虚国(蒼ざめた眠り)」
  > No.0108 「ステップ」
  > No.0059 「贄の夜会」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「モンスターズ」 山口雅也

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年8月17日 (日)

「If I'm not the one / SEXY SENORITA」 谷村奈南 (PV)

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 前作「JUNGLE DANCE」のPVの感想記事を書いたところ(「JUNGLE DANCE / 谷村奈南 (PV)」)、予想以上に(アクセス数的に)好評だったので、続く新曲の感想も書いてみたいと思います。

 今回は、「If I'm not the one」と「SEXY SENORITA」のダブルA面なのですが、それぞれが1曲目に入っている2パターンのCDが発売されています。そしてそれぞれその1曲目のPVが収録されているDVDが付いているので、やはり2パターンとも欲しくなってしまいますね(ちなみに、DVDが付いていないCDもあります)。

 そんな2曲のPVですが、それぞれの歌のオープニングとエンディングが繋がっていて、ループを描いているような凝った作りとなっています。この頭とお尻だけでなく、途中の映像でもリンクしているところがいくつかあるので、これはもう“2曲で1つ”のPVでして、両作品を観ないことには始まらないわけなのです。

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 まずは「If I'm not the one」。

 とても綺麗なバラードで、まさに王道といった感じです。やはりこういった歌を聴くと、歌の上手さが改めて解かりますねェ。曲が海外直輸入といった感じのストレートさで、あまり日本的な感じはしないのですが、そういった歌を歌いこなすのはかなりの技量が必要ですからね。

 ただ、これはこれまでの作品の時も思ったのですが、もうちょっとメロディに日本的なもの、耳に残る中毒性のあるメロディだったり、コブシを回す的なものを、嫌味にならない位に入れた方が、曲のヒットに繋がるんじゃないかな~と思うのです。

 まあ単純にヒット狙いに走るのも、薄っぺらな感じがしてどうかとは思うのですが、歌よりもほとんど外見でのみ注目されているのが現状なので、このタイミングで歌自体もヒットさせて、“歌手・谷村奈南、ここにあり!!”って歌手としての存在感を世間に見せつけてほしいのですけどね。

 そしてPV映像の方ですが、やはりバラードということもあって、露出やエロス度は控え目ですね。その分歌を堪能できるのですが。

 ただ、サビの部分では、上の写真のように胸より上に何も付けていないアップの映像なのですが、ここで胸の谷間がギリギリにチラッとだけ覗いているところが、もう何とも言えずに良いですね。このさりげなさが、わかってらっしゃる!って感じで。


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 続いては、「SEXY SENORITA」。

 この歌はもうタイトルを見てわかるように、前作「JUNGLE DANCE」をさらにパワーアップしたようなラテンダンス踊りまくりな歌です。

 もう“谷村奈南といえばこういう歌”といったイメージになりつつありそうですが、こういったあまり激しくなく少しゆったりとしたようなダンス曲はやはりこの人に合ってますからねェ。

 ただこちらの歌の方も、もう少し日本的なメロディを取り入れた方が良いんじゃないかな~と思うのですけど。全盛期の小室哲哉的なメロディをちょこっとでも入れれば、視覚だけでなく聴覚にも今以上にもっと刺激を与えることが出来るはず。

 そしてPV映像の方ですが、やはりこういったタイプの歌ですから、セクシーな衣装で踊りまくりで、エロ度は最高ですね。特に、前かがみになった後、背中を反らすようにして艶かしく顔から順に上げていく踊りでは、もう胸がこぼれ落ちてしまうんじゃないかと心配してしまうくらいにドキッとさせられてしまいました。

 それからなんといっても、金髪ショートカットのカツラをかぶった姿がもう最高過ぎです。セクシー度もエロ度も可愛さも数倍アップしています。

 もともと自分は髪が短めの人が好きなのですが、それとは別に“胸の大きな人はショートカットが似合う説”を常々唱えているのです。そしてこれはまさにこの説を実証してくれたようなもんですからね。普段からこれ位の長さにしてくれたらな~なんて切に願ったりなんかして。

 そしてなんといっても見逃せないのが、ラストの場面における、斜め後ろから撮った胸チラ・ショットでしょう。最初に観た時は“うぉぉ~ここまで撮っちゃっていいの!?”って驚いちゃいましたからね。そしてこの場面も、金髪ショートカット姿だったところがポイントです。なので余計に“うぉぉ~”となってしまいました。

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 【 「谷村奈南」 関連記事】

  > Crazy For You / 谷村奈南 (PV) (09.2.10)
  > 「If I'm not the one / SEXY SENORITA」 谷村奈南 (PV) (08.8.17)
  > JUNGLE DANCE / 谷村奈南 (PV) (08.4.30)

2008年8月13日 (水)

「作家!!ベスト5」 > 「このミス」完全読破・100冊突破記念企画

「このミス」完全読破 100冊突破記念企画 第6弾


   >> 「 作家!!ベスト5」 <<

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 「このミス」完全読破がついに100冊を突破したということで、それを祝う意味合いも込めて、その100冊の中から個人的嗜好に基づいて、項目別にベスト5を発表していきたいと思います。

 ちなみに、対象となる100冊について、および“「このミス」完全読破とは一体何なんだ?”といった基本的な部分については、 まとめページである「このミス」完全読破 読破本リストをご覧ください。

 さてさて第5弾は、「作家!!ベスト5」。100冊読んできた中で、特に気に入った作家の個人的ランキングです。

 この“「このミス」完全読破”を始めるまでは小説をほとんど読んでこなかっただけに、対象はまさしくこの100冊からとなるわけですが、でも“この作者の作品はあんまり好きじゃないな~”と思うことがなかったのと同様に、特別好きになった作家というのも実はいないんですよね。

 なので、“新刊が出たら、「このミス」にランクインするかどうかは別としても、すぐにでも読みたい!”と思うようになった作家の中から、特にその思いを強く感じる作家を5人挙げてみました。ただ、順位付けできるほどの差はないので、順位は付けずに“上位5人”ということで選んであります(記載は名前順)。

 あと、“対象は100冊”と言いましたが、その中でも複数作品を読んだ作家のみが対象となっています。というわけで、対象となる作家数は“24人”ということになりますね。

 ちなみに、“「このミス」完全読破”を始めた当初は完全なる“ミステリ初心者”だったため、読んだ時期によって理解度や好み、個人的評価の基準などが大きく変わってしまっていると思います。なので、その点もご了承ください。

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 【 石持浅海 】


扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫 い 17-1)扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫 い 17-1)
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 この作者の作品を最初に読んだ時は、まだ“本格ミステリ”の面白さがあまりよく解かっていない時期だったので、その作品の面白さもいまいち解からなかったのです。

 そうなると、どちらかというと敬遠しがちになってしまいそうなところですが、なぜかその後もちょこちょこと読んでいったのですね。

 そして、“本格ミステリ”の面白さを心から理解できるようになった今では、この作者の作品の面白さも心から理解できるようになったわけです。

 やはり設定だったりストーリーだったりに捻くれたところがあるため、初心者向けというわけにはいかなそうですが、この捻くれ具合がまたタマラナイですからねェ。大傑作!!って感じの作品ではないですが、新刊が出たと聞けば読まずにはいられなくなってしまいます。


  [ この作者の作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.37 『扉は閉ざされたまま』
    >> No.70 『月の扉』
    >> No.89 『心臓と左手』
    >> No.91 『君の望む死に方』

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 【 歌野晶午 】


葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
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 まあ“「このミス」完全読破”を始めた実質最初の作品である「葉桜の季節に君を想うということ」がすごくおもしろかったからこそ、“小説を年に1冊読むか読まないか”だった人間が2年数ヶ月で100冊読破を達成できたんだと思いますからね。

 それだけでもこの作者に感謝したいところですが、この作品だけでなく、その他の作品でも“仕掛けの心”というものが感じられて、それにゲーム性の面白さがあるのでやっぱり読んでて面白いですからね。

 そう刊行数の多い作家ではないのですが、「このミス」にはランクインしていないけれど過去の作品も読んでいきたいですね。


  [ この作者の作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.2 『葉桜の季節に君を想うということ』
    >> No.50 『密室殺人ゲーム王手飛車取り』
    >> No.92 『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』

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 【 道尾秀介 】


向日葵の咲かない夏 (新潮文庫 み 40-1)向日葵の咲かない夏 (新潮文庫 み 40-1)
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 この作者も常に“仕掛け心”を忘れないですからね。なので、“「このミス」完全読破”でこれを書いている時点では唯一の“★1つ評価”となった作品の作者ではあるけれど、好きな作家であることは変わりないのです。

 というか、平均点が高い作家の作品ももちろん読みたくなりますが、当たり外れの差が大きい作家の作品の方が、“今回はどっちなんだろう!?”って読む前にギャンブル的な楽しみができますからね。そっちの方が“読んでみよう!!”って気持ちは断然強くなります。

 近いうちに今年発売の新作「ラットマン」「カラスの親指」を読む予定なのですが、果たして自分的には当たりなのでしょうか外れなのでしょうか.....。今から楽しみです。


  [ この作者の作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.41 『向日葵の咲かない夏』
    >> No.49 『シャドウ』
    >> No.58 『片眼の猿』
    >> No.97 『ソロモンの犬』

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 【 山口雅也 】


生ける屍の死 (創元推理文庫)生ける屍の死 (創元推理文庫)
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 小説に限らず、自分が想像出来得る範囲を遥かに超えるようなぶっ飛んだものに惹かれるのですが、この作家の作品にはそれが間違いなく存在しますからね。

 かなりの衝撃を受けた「生ける屍の死」もそうだし、“キッド・ピストルズ”シリーズにしても、良い意味で“なんだこりゃ~!!”ってな世界が繰り広げられているので、読んでて飽きないどころか刺激受けまくり状態です。

 今年は“キッド・ピストルズ”シリーズと“頭文字M”シリーズが共に久々の復活を果たすなど精力的な活動を行っているので、まだまだたくさんのぶっ飛んだ作品を書いていってほしいですねェ。


  [ この作者の作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.15 『キッド・ピストルズの妄想』
    >> No.28 『ミステリーズ』
    >> No.51 『生ける屍の死』
    >> No.80 『キッド・ピストルズの冒涜』

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 【 米澤穂信 】


夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信

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 この作家の場合も、なんでかわからないんだけど、本をついつい手に取ってみたり、新刊の情報が気になったりしてしまいますね。今年最初の新作が発売されたら、間違いなく真っ先に読むでしょう(それが「秋期限定~事件」だったら最高なんですが)。

 “青春小説”と“ミステリ小説”のバランスが絶妙なのかもしれませんね。あと出てくるキャラクターが軽い感じで読みやすく、でも作品自体は決して軽いわけじゃない、というこちらも絶妙なバランスなところが好きな理由なのかも。


  [ この作者の作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.39 『春期限定いちごタルト事件』
    >> No.40 『夏期限定トロピカルパフェ事件』
    >> No.44 『ボトルネック』
    >> No.76 『インシテミル』

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 【 100冊突破記念企画 】

  > 「驚いた!!ベスト5」 (08.6.26)
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  > 「作家!!ベスト5」 (08.8.13)
  > 「アクセス数!!ベスト5」 (08.9.2)

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年8月12日 (火)

週刊少年ジャンプ新連載! 「バクマン。」 大場つぐみ 小畑健

バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)
小畑 健

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 いよいよ小畑健の新作が登場!! しかもあの「デスノート」における“原作:大場つぐみ&漫画:小畑健”コンビ復活!!ということでもうこれは盛り上がってしまいますね。

 まあ、小畑健の前作「ラルグラド」の原作・鷹野常雄は“実は大場つぐみの別名だ”というのが通説となっているようなので、それが本当ならば、このコンビは3度目ということになるわけです。

 だけど今回は、記録的に大ヒットした「デスノート」の時と同じ名義での登場となっただけに、これはもう必要以上に期待してしまいますねェ(ちなみに“大場つぐみ”というのも、ジャンプで連載経験のある某漫画家の別名の様ですね)。


 そして今回の作品「バクマン。」のテーマは、ズバリ“漫画家”。

 まあ“マンガ家”(この作品内では“漫画”はカタカナ表記なんですね)といっても、今すでにマンガを職業としている人(またはこのマンガでいうところの“博打打ち”)のような大人が主人公ではなく、大ヒット作を生み出すマンガ家を夢見て動き出そうとしている中学生が主人公なので、連載前に予想していたよりも明るくフレッシュな感じになっていました(もっと地味で動きがあまりないようなのを想像していました.....)。

 そして内容の方も、1話目から結構突っ込んだネタを投入してますね。過去のジャンプ連載作品のネタを所々に入れるどころか、自分の過去の作品を使った自虐ネタがあったりとか。あとジャンプ独自のアンケートシステムにも触れられたりしていたのはちょっと驚きましたねェ。これって一般的にはどれくらい広まっているんでしょうかね?

 それにやはり主人公が中学生ということもあって、マンガに関してだけでなく“青春物語”的にも盛り上げているわけですが、これがまた絶妙なほどにハマっていて、それもあってかここ数年の新連載第1話の中ではダントツに面白くて、アッという間に読んでしまいました。さすがに上手いですよね。

 今後の展開というのはちょっと読めないのですが、どのように転がったとしても面白くなるだろうともう信用して、2話以降も期待したいです。ただ製作側や業界の裏話的なネタはちょこちょこ投入してほしいですねェ。だけど週刊サンデーの裏暴露騒動のようにリアルすぎるのは勘弁ですが。

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 【「小畑健」関連記事】

  > 「バクマン。age14」 大場つぐみ 小畑健 > 週刊少年ジャンプ読切! (15.9.23)
  > 「バクマン。age13」 大場つぐみ 小畑健 > 週刊少年ジャンプ読切! (15.9.14)

  > 「学糾法廷」 榎伸晃 小畑健 > 週刊少年ジャンプ新連載! (14.11.10)

  > 「バクマン。」 大場つぐみ 小畑健 > 週刊少年ジャンプ新連載!  (08.8.12)
  > 「バクマン。」 大場つぐみ 小畑健 <JC1巻買い> (09.1.7)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年8月11日 (月)

『死写室』 霞流一 > 「このミス」完全読破 No.107

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.107

 『死写室』 霞流一

   「このミス」2009年版 : ランク外

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.6.27 ~ 読終:2008.6.29

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年2月>

死写室死写室
霞 流一

新潮社 2008-02-27
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 「あとがき」によりますと、霞流一初の(純粋な意味での)短編集とのことです。これまで数多くの作品を発表しているだけに、まだ短編集がなかったのはちょっと意外な感じがしますね。

 そして今回の作品は、酩探偵・紅門福助が映画にまつわる事件を捜査する8つの短編が収録されています。

 その8つの作品の並びは、発表順ではなく、ある法則によって並べられているのですが、このアイデアはなかなか面白いですね。まあ、「あとがき」で説明を目にするまでは全く気付かなかったわけですが.....。

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 “映画をテーマにした作品集”ではありますが、映画を作り発表するうえで関わる様々な仕事だったりシチュエーションだったりが舞台になるため、一つ一つの作品が全く別の色合いを持っていて、ただそれでも“映画”というテーマは変わらないので、飽きることなくそれぞれの作品を楽しむことができました。

 そしてやはり、作者自身が映画会社に勤めていた経験があるだけに、舞台裏の描写というのがとても細かくリアルに感じられるので、一映画ファンとしてはその部分を読むだけでも興味深かったですね。

 もちろんミステリ部分も、いつもよりは“バカミス度”は高くないと思いますが、映画の世界と上手く絡まってて面白かったです。
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  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “霞流一” 関連記事 】

  > No.671 「落日のコンドル」

  > No.393 「災転(サイコロ)」
  > No.197 「ロング・ドッグ・バイ」
  > No.107 「死写室」
  > No.060 「夕陽はかえる」
  > No.017 「スティームタイガーの死走」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「ステップ」 香納諒一

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年8月 9日 (土)

<JC1巻買い> 「ダブルアーツ」 古味直志

ダブルアーツ 1 (1) (ジャンプコミックス)ダブルアーツ 1 (1) (ジャンプコミックス)
古味 直志

集英社 2008-08-04
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  今月に発売されたJC(ジャンプコミックス)1巻の3冊目は、「ダブルアーツ」です。

 “週刊少年ジャンプ40周年”ということで年明けから大々的に始まった新連載4作(「PSYREN-サイレン-」「K.O.SEN」「MUDDY」「私立ポセイドン学園高等部」)は、うち3作が早々に打ち切りになってしまうなど期待外れに終わりましたが、続いて3月に投入されたこの「ダブルアーツ」を含む3作(他は「ぬらりひょんの孫」「バリハケン」)は、いずれも1巻が発売される今の段階でも脱落者が出ることなく連載が続いているので、大豊作とまではまだ言えないまでも、それなりに豊作なクールだったのではないでしょうかね。

 そして同期のこの3作は、ジャンプ本誌でも似たような掲載順にいるため(「ぬらりひょんの孫」だけ頭一つ抜け出している感じ?)、この1巻の売り上げによってそれぞれの人気のほどが計れそうなので、ランキングが今から楽しみですねェ。

 (ここまでは基本的に「ぬらりひょんの孫」「バリハケン」と同じ文章です。でもここからは全然別物です)

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 そしてこの「ダブルアーツ」ですが、第1話を見た感じでは、ジャンル的にも絵的にも一般受けしそうで、これは結構人気作になる可能性も高いんじゃないかと期待させられました(「週刊少年ジャンプ新連載! 「ダブルアーツ」 古味直志」参照)。

 そしてそれを裏付けるかのように、連載デビュー作だというのに異例の早さでの2度目の表紙をゲットするなど、人気面での好調さが目に見えてわかったのですが、その後はジリジリと掲載順を下げていって、今では巻末付近に来ることも珍しくなくなってしまいました.....。


 その要因を自分なりに考えてみましたが、やはりストーリー的にあまり進まず、展開が遅く感じられたことがマイナスになったのではないでしょうかね。

 1話の感想を改めて見てみたら、「シスター協会本部に行く」ことを“短期的目的”と書いていましたが、これなんか今からすれば明らかに“長期的目的”ですもんね。なんせ、シスター協会本部に近づくどころか、いまだに隣町にいるのですから。

 自分的には、とりあえず最初の町はさっさと出てって、シスター協会本部に着くまでに立ち寄る町村やその道中で、様々なエピソードがあったり、仲間が出来たり、敵と戦ったりと、テンポ良くストーリーが進んだ方が面白いんじゃないかと思いましたね。

 それで、ストーリーが進む中で、作品世界の設定だったり、主人公たちの能力だったり、敵集団の全貌だったり、といった情報を徐々に出していって、次第に全体像が判明してくる、といった形をとった方が、この漫画的には良かったんじゃないかな~なんて思います。「ワンピース」にしても「ハンターハンター」にしても、とりあえず第1話ですでに自分の村を出ていますからねェ。

 ただ最近になって、具体的な地図が出てシスター協会本部と現在地との位置関係がわかったり、作中に初めてタイトルである「ダブルアーツ(双戦舞)」という言葉が出てその意味するものが説明されたりしているので、いよいよこれからストーリー的にも大きく動き出す予感がしてきました。

 ということで、これからの展開次第でこの漫画の運命が決まってしまうほどに大事になってくると思うので、もう一度期待してみたいですね。

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 単行本ならではの特典ですが、まず帯の表には「この手を離すと、彼女が死ぬ!?」という煽り文句が斜めに大きく書かれています。裏には、上半分が1コマ付きのこの漫画の説明で、下半分がこの1巻に収録されている読み切り作品「island」の説明となっています。

 そして背表紙がとても変わっていまして、表紙と完全に繋がった絵となっています。大体ジャンプコミックスの背表紙というのは、上にタイトル、真ん中に主人公(2巻以降は他の登場人物)の絵、下に作者名というのがほとんどで、主人公の絵が描かれていないだけでも、2001年以降では「サクラテツ対話篇」(藤崎竜)と「ラルグラド」(鷹野常雄、小畑健)の2作しかなく、表紙と絵が繋がっているのは2001年以降ではこの「ダブルアーツ」のみになります。あと主人公の絵は描かれていないですが、小さいけどキリとエルーのシルエット絵は描かれていますね。

 カバーを取った表紙は、カバー表紙絵(キリ&エルー)と同じポージングをしたキリの父母の絵(タイトルは「ダブルスーツ」)。裏表紙は、キリの父母の初登場シーンが描かれています。ちなみに、カバーを取った部分でも表紙と背表紙の絵が繋がっているのですが、そこに描かれているキリとエルーのシルエット絵には、ちょっとした細工が仕込まれています。

 各話の間には、ストーリーの流れに沿った1コマ漫画や4コマ漫画が描かれています。

 本編のラストには、キリの父母の出会いを描いた2ページ漫画「ダブルスーツ」が。これを読めば、何故にキリ父母の話のタイトルが「ダブルスーツ」なのかがわかります。ちなみに、「第1話“運命の人”」とあるので、2巻以降も続きが読めるようですね。

 その後には、3ページに渡って次巻の予告が。2巻は、10月に発売予定とのことです。

 そして巻末には、帯で“幻のデビュー作”と称されている、昨年の赤マルジャンプ冬号に掲載された読み切り作品「island」が掲載されています。

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 【「古味直志」関連記事】

  > 「eの原典」 古味直志 > 週刊少年ジャンプ読切! (17.12.25)

  > 「みんなのこち亀」 古味直志 > 週刊少年ジャンプ読切! (16.10.31)

  > 「刻どキ」 古味直志 > ジャンプGIGA vol.4 (16.10.11)

  > 「俺コイ!! ニセコイ×俺物語!! ~Boys side~」
       古味直志×アルコ×河原和音 > 週刊少年ジャンプ読切! (13.8.30)

  > 「ニセコイ」 古味直志 <JC1巻買い> (12.6.15)
  > 「ニセコイ」 古味直志 > 週刊少年ジャンプ新連載! (11.11.6)
  > 「ニセコイ」(ジャンプNEXT! 2011WINTER) (11.1.9)

  > 「ダブルアーツ」 古味直志 <JC1巻買い> (08.8.9)
  > 「ダブルアーツ」 古味直志 > 週刊少年ジャンプ新連載!  (08.3.24)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年8月 6日 (水)

<JC1巻買い> 「バリハケン」 鈴木信也

バリハケン 1 (1) (ジャンプコミックス)バリハケン 1 (1) (ジャンプコミックス)
鈴木 信也

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  今月に発売されたJC(ジャンプコミックス)1巻の2冊目は、「バリハケン」です。

 “週刊少年ジャンプ40周年”ということで年明けから大々的に始まった新連載4作(「PSYREN-サイレン-」「K.O.SEN」「MUDDY」「私立ポセイドン学園高等部」)は、うち3作が早々に打ち切りになってしまうなど期待外れに終わりましたが、続いて3月に投入されたこの「バリハケン」を含む3作(他は「ぬらりひょんの孫」「ダブルアーツ」)は、いずれも1巻が発売される今の段階でも脱落者が出ることなく連載が続いているので、大豊作とまではまだ言えないまでも、それなりに豊作なクールだったのではないでしょうかね。

 そして同期のこの3作は、ジャンプ本誌でも似たような掲載順にいるため(「ぬらりひょんの孫」だけ頭一つ抜け出している感じ?)、この1巻の売り上げによってそれぞれの人気のほどが計れそうなので、ランキングが今から楽しみですねェ。

 (ここまでは基本的に「ぬらりひょんの孫」ダブルアーツと同じ文章です。でもここからは全然別物です)

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 そしてこの「バリハケン」ですが、作者が自分と同じ年生まれということもあり、応援の気持ちも込めて新連載1話目の感想を書いたところ(週刊少年ジャンプ新連載! 「バリハケン」 鈴木信也)、これがなかなかアクセス数的に好評だったのです。

 そればかりか、5ヶ月近く経つ今でも多くのアクセスがあったりとか、これがキッカケでジャンプの新連載の感想を書くのがシリーズ化し、いずれもうちのブログとしては破格のアクセス数を叩き出すなど、うちのブログの流れを大きく変えたといっても過言ではないほどに影響力のある記事となったので、この漫画自体にも何か愛着が湧いているんですよねェ。


 その1話目の感想でも書きましたが、この漫画の一番の魅力は、“取り巻き連中の何でも自分たちの都合の良い方に考える盲目的なまでに妄想力爆発させちゃってる表現力”だと思うのです。

 それに加えて、学校では数々の伝説を作り続ける大番長であるのに、実は筋金入りのオタクであるという、正反対な二面性もこの漫画の基盤となる設定であり、魅力となるところですね。

 そしてこれも1話目の感想に書きましたが、この“側近の妄想力”と“主人公の真逆な二面性”という2つの魅力が、「デトロイト・メタル・シティ」と共通しているわけです。

 そこで別にパクっているとかそういうことを言いたいのではなく、この2つの魅力を「デトロイト・メタル・シティ」とは違った方向で最大限に生かして、ジャンプならでは、鈴木信也ならではの作品を作り上げてほしいな、と期待していました。

 ただ、話が進むに連れてこの2つの魅力の部分がだんだんと薄れてきているように感じるのですよね。この1巻収録分ではまだ基本線として残っているようですが、2巻以降は確実に薄れていってると思うので、個人的にはその部分がちと残念ですかね。

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 単行本ならではの特典ですが、まず帯の表には「噂の極悪番長、実は超オタだった!?」という煽り文句が大きく書かれています。裏には、この作者の前作「Mr.FULLSWING」(ミスフル)の宣伝が。

 カバーを取った表紙・背表紙・裏表紙は、カバー絵と全く一緒です(もちろんカラー数は少ないですが)。そして表紙をめくった最初のページ(目次の1つ前)には、新連載開始時にジャンプの表紙を飾った絵が描かれていますね。

 各話の間には、前半は「ミスフル」の時と同じようなキャラクタープロフィール(御手洗団吾、茶越樽人、火讐怜斗の3人)が。ちなみに、初版本では「火讐怜人」と誤植されています。

 そして後半と巻末部分の計8ページにも渡って、主人公より重症のオタクである作者と、オタクの事が死ぬほど嫌いな担当編集Mが、秋葉原のメイド喫茶に取材と称して突撃した、「バリトーク 潜入!メイド喫茶」(文章のみ)が掲載されています。

 担当氏はもちろん、重度のオタクを自称している作者自身もメイド喫茶に行くのは初めてだったらしいのですが、全編に渡ってメイド喫茶に対してキレながらツッコミを入れているのです。なので、あくまでオタクでない人から見たメイド喫茶体験レポートって感じになっていますね。

 自分はメイド喫茶どころか秋葉原にさえ一度も行ったことがないのですが、メディアからの情報から思い描いていたのとは違うメイド喫茶の生の姿を知って、行ってもいないのに作者同様の気持ちになってしまいました。そして、たぶん実際に行くことはないだろうなぁ.....って思っちゃいましたねェ。

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 【「鈴木信也」関連記事】

  > 週刊少年ジャンプ新連載! 「バリハケン」 鈴木信也 (08.3.17)
  > <JC1巻買い> 「バリハケン」 鈴木信也 (08.8.6)


 【「2007&2008年発売の“JC1巻買い”」関連記事】

  > 「どがしかでん!」 濱田浩輔 (08.11.18)
  > 「トリコ」 島袋光年 (08.11.10)

  > 「ダブルアーツ」 古味直志 (08.8.9)
  > 「バリハケン」 鈴木信也 (08.8.6)
  > 「ぬらりひょんの孫」 椎橋寛 (08.8.5)

  > 「私立ポセイドン学園高等部」 大江慎一郎 (08.7.9)
  > 「MUDDY」 藍本松 (08.5.15)
  > 「K.O.SEN」 村瀬克俊 (08.5.12)
  > 「PSYREN-サイレン-」 岩代俊明 (08.5.7)

  > 「初恋限定。-ハツコイ リミテッド-」 河下水希 (08.2.25)
  > 「SKET DANCE」 篠原健太 (07.11.20)
  > 「ベルモンド Le VisteuR」 石岡ショウエイ (07.11.19)

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  >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年8月 5日 (火)

<JC1巻買い> 「ぬらりひょんの孫」 椎橋寛

ぬらりひょんの孫 1 (1) (ジャンプコミックス)ぬらりひょんの孫 1 (1) (ジャンプコミックス)
椎橋 寛

集英社 2008-08-04
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  今月に発売されたJC(ジャンプコミックス)1巻の1冊目は、「ぬらりひょんの孫」です。

 “週刊少年ジャンプ40周年”ということで年明けから大々的に始まった新連載4作(「PSYREN-サイレン-」「K.O.SEN」「MUDDY」「私立ポセイドン学園高等部」)は、うち3作が早々に打ち切りになってしまうなど期待外れに終わりましたが、続いて3月に投入されたこの「ぬらりひょんの孫」を含む3作(他は「バリハケン」「ダブルアーツ」)は、いずれも1巻が発売される今の段階でも脱落者が出ることなく連載が続いているので、大豊作とまではまだ言えないまでも、それなりに豊作なクールだったのではないでしょうかね。

 そして同期のこの3作は、ジャンプ本誌でも似たような掲載順にいるため(「ぬらりひょんの孫」だけ頭一つ抜け出している感じ?)、この1巻の売り上げによってそれぞれの人気のほどが計れそうなので、ランキングが今から楽しみですねェ。

 (ここまでは基本的に「バリハケン」「ダブルアーツ」と同じ文章です。でもここからは全然別物です)

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 さてさてこの「ぬらりひょんの孫」は、タイトルからわかるように妖怪ものです。

 個人的には、一般社会の中に妖怪とか幽霊とか魔物とかが関わってくるタイプのジャンプ漫画って、「DEATH NOTE」や初期の「BLEACH」など当たればデカイけど、弾数の割には外れ(早期打ち切り)がとても多い印象があったので、この漫画にもちょっと心配なところがありました。

 ところが蓋を開けてみたら、連載開始から半年近く経った今でも好評のようで、要らぬ心配でしたね。ということは、今後次第でデカイ当たりになる可能性も大いにあり?


 それでは何故にこの漫画は、数多くあった妖怪・幽霊漫画の失敗パターンに当てはまらなかったのか、ちょっと自分なりに考えてみました。それは、改めてこの1巻を読んでみて思ったのですが、ストーリー的に大して進んでいないことがかえって良かったのではないでしょうか。

 最初の頃は、妖怪になった主人公が3代目を継ぐと宣言したと思いきや、人間に戻った主人公がそれを撤回する.....、といったパターンが決まっていて、新キャラが少しずつ増えながらもこのパターンが基本で変わらず進んでいたように思います。

 ここで新しい設定や展開などを盛り込まなかったことで、普通ならそれがマイナス要因になってしまいそうなところを、この漫画に関しては逆に利点になったんじゃないですかね。いつ読んでも基本パターン(最低限抑えておくべき設定)は同じなので、途中で付いてこれなくなることもなく、続けて読んでもらえたんじゃないかな~と思うのです。

 元々、連載当初には長期的にも短期的にも目標設定がない(3代目を継ぐというのは目標設定とはちょっと違う感じ?)漫画なので、ストーリー的にあまり動かないことでどうなるかな、という心配がありました。ただ、妖怪・幽霊ものというのはただでさえ特殊な舞台設定なため、そこでいかにその作品世界を理解してもらえるかが重要になってくるので、その作品世界を始めから広げ過ぎて“一見様お断り”状態にならなかったことで、かえって良い結果になったのではないでしょうか。

 あとはやっぱり、別にコメディ漫画という印象はないのだけれど、主人公の側近の妖怪たちとのやり取りや、同級生たちとのやり取りが、それなりのコメディになっていて、だけどあからさまなコメディ漫画ではないから笑いの質について厳しくチェックされることもないので、その“コメディ漫画じゃないけどコメディ的表現が豊富”というバランスが絶妙で良い味になっているような感じもしますね。


 それと、ジャンプ本誌で読んでいる時に気になったのですが、所々のページやコマが、ジョジョっぽい絵に見えることがありました(1巻内でいうと、第六幕の3頁目やラスト、第七幕の8頁目の1コマ目とか)。

 そしたらやっぱりこの作者は、ジョジョのアシスタントをやっていたんですねェ。どうりで似てるはずだ.....。「瞳のカトブレパス」(田中靖規)もそうだけど、ジョジョのアシをやっていた人は、ジョジョの影響が作品に充分に反映されるようで。

 ジョジョは現在ウルジャンでの連載となっていますが、ジャンプ本誌にも確実にジョジョの遺伝子が残っていっているようで、なんだか嬉しいですね。

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 単行本ならではの特典ですが、まず帯の表には「今夜は何だか…血があついなぁ…」というセリフの煽り文句が大きく書かれています。裏には、ケーター少年ジャンプサイトで配信されている待ち受け画像の紹介が載っています。“異例のDL数!”という文字もあるし、帯で紹介されているくらいなので、かなりの好評なんでしょうね。

 カバーを取った表紙には、リクオとつららの1コマ漫画が、裏表紙にはその2人に青田坊を加えた3人の1コマ漫画が、コミカルに書かれています。背表紙部分は、何故か納豆小僧の絵ですね。

 そして各話の間には、前半はよくあるストーリーの流れに沿った一コマ漫画(主人公・奴良(ぬら)リクオの名前は、“ぬらりひょんのクオーター(4分の1だけ妖怪の血が入っている)”が名前の由来である、という裏話なんかもあったり)。

 後半は、「実録!!ある日の清十字団会議~島くんの憂鬱編~」 「実録!!奴良家の人々~夜明けの妖怪談義編~」 「実録!!ある日の清十字団会議~花開院ゆらの鬱憤~」という、台本形式でのコメディ話が。

 そして巻末には、「『ぬらりひょんの孫』番外編 実録奴良組史 本家抗争編」という4ページ漫画が掲載されています。この漫画やカバー裏などのおまけをみても、側近の一人である雪女のつららが人気あるんだな~ってことがわかりますねェ。

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 【「椎橋寛」関連記事】

  > 「いにしえの滅び紋」 椎橋寛 > 週刊少年ジャンプ読切! (18.4.2)

  > 「みんなのこち亀」 椎橋寛 > 週刊少年ジャンプ読切! (16.11.13)

  > 「東京季語譚訪」 椎橋寛 > ジャンプGIGA新連載! (16.5.30)

  > 「クリメイターズ」 三条陸/椎橋寛 > 週刊少年ジャンプ読切!  (15.12.14)

  > 「究極球舞」 椎橋寛 > 週刊少年ジャンプ読切! (15.3.30)

  > 「ツクモガミ 帝都情報部特権諜報員零零七式」 椎橋寛 間中葦
     > ジャンプNEXT!! 2014 vol.3 (14.6.27)

  > 「ILLEGAL RARE」 椎橋寛 > 週刊少年ジャンプ新連載! (14.2.1)

  > 「DARK PAWN -闇の質屋-」 椎橋寛 > 週刊少年ジャンプ読切!  (13.4.19)

  > 「ぬらりひょんの孫」 椎橋寛 <JC1巻買い>  (08.8.5)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年8月 3日 (日)

『完全恋愛』 牧薩次 > 「このミス」完全読破 No.106

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.106

 『完全恋愛』 牧薩次

   「このミス」2009年版 : 3位

   受賞(候補) : 「本格ミステリ大賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 3位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 6位
              「ミステリが読みたい!」 18位
              「黄金の本格ミステリー」 選出

   読始:2008.6.25 ~ 読終:2008.6.27

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年1月>

完全恋愛 (小学館文庫)完全恋愛 (小学館文庫)
牧 薩次

小学館 2011-03-04
売り上げランキング : 303243

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 この“牧薩次”という作家名は、実は推理作家協会賞を受賞するなど多くの作品を発表している辻真先の別名(というか過去作品の主人公)なのです。なので一応この本は、辻真先による作品というわけなのです。

 それではなぜに名前を変えて発表したのか?ということは、最後まで読めばちゃんと解かります。ってか、作者自身による解説で説明しているのですけどね。


 さてさてこの作品は、タイトルからわかるように、恋愛小説です。

 しかし、“恋愛”の前に付けるにしては違和感のある“完全”という言葉が加えられていることから、そんじょそこらの恋愛小説とは一味違ったものを想像してしまいますが、まさにその通りで、とても歪でありながら一方でとても純粋であるという、一風変わった恋愛小説なのです。

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 どのくらい変わっているかというと、このタイトルに関して“他者にその存在さえ知られない罪を 完全犯罪と呼ぶ では 他者にその存在さえ知られない恋は 完全恋愛と呼ばれるべきか?”といった感じで説明されていることからも窺い知れるのですが、“完全犯罪”と対比させているだけあって、やはりミステリ的要素と大きく関わっています。

 というか、どちらかというと本格ミステリ的話の方が主軸になっていて、そこに恋愛話が並行している、って感じですかね。

 だけど、そのミステリ的話と恋愛話というのは、さり気ないようでいながら非常に密接した関係でもあるのです。だから、どちらか一方が際立つことはなく、お互いが強く濃厚に抱擁し合っているかのように結びついているのです。

 そのため、ミステリ的話に恋愛話が絡むことで、ミステリ的話により厚みやスケールの大きさを感じることができたし、恋愛話にミステリ的話が絡むことで、恋愛話がより熱く崇高に感じることができたのですよね。

 まあとにかく、ミステリ小説としても恋愛小説としても、かなりの水準で楽しめました。だけど読後すぐの感じは、ミステリ小説を読み終えたのでもなく、恋愛小説を読み終えたのでもなく、なんか両者の間から新たに生まれた新種の小説を読んだようでした。そんな不思議な感覚に陥ってしまうくらいに面白かったです。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★★    人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★

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2008年8月 2日 (土)

「love the world / Perfume」 & 「爪爪爪 / マキシマム ザ ホルモン」

 7月9日発売週のオリコンチャートは、Perfumeとマキシマム ザ ホルモンという、今の日本の音楽界にあって異色な存在として活躍しているアーティスト2組、しかしその毛色は全くの正反対ともいえるアーティスト2組によるワンツーとなり、なかなか感慨深かったですね。

 結果はPerfumeが1位、マキシマム ザ ホルモンが2位という結果になったわけですが、続く2&3週はマキシマム ザ ホルモンの方が上位にランクインし、どちらも3週で10万枚超えと、好成績での争いがこれまた面白かったです。

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 まずPerfumeですが、この人達はもうすでに“異色な存在”とはいえないかもしれないですね。

 注目され始めた頃は、今のヒットチャートでは耳にすることのなかったテクノポップがとても新鮮に感じられ、アイドルとしてもアーティストとしても異色の存在だったと思うのですが、これでアルバムに続いてシングルでも1位を獲得するなど一般的な認知度も格段にアップしたし、音楽的にもすっかり耳に馴染んだ感じがありますからね。鈴木亜美なんかが二番煎じ的曲を出したりするほどだし。

 自分的には、新曲が出る度に、かつてこういったテクノポップが好きで聴いていた頃に特に好きだった曲の感じに近づいていっているようです。

 今回の歌なんかも、それほど強烈にこちらに訴え掛けてくるようなものはないし、“こいつはなんて良い曲なんだ~!!”ってこともないのですが、いつでもどこでも身近で鳴っていてほしいような、そんな側にあって自然な存在って感じの歌で。

 普通は複雑で攻撃的なタイプの歌を好む傾向にあるのですが、こういったテクノポップに対しては逆に、シンプルで攻撃的でないほど好きになるので(それは昔から)、「ポリリズム」「Baby cruising Love」とシングル曲を聴いてきて、今回の「love the world」が一番自分好みでしたね。

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 一方のマキシマム ザ ホルモンですが、こういったラウドロックを演っていてこれだけシングルが売れるというのは、まさに快挙というべきものではないですかね。人事ながら嬉しくなってしまいます。

 “好きなアーティスト”を測る基準の一つとして、“シングルの2曲目やアルバムの片隅に入っているような歌まで聴きたくなる → 実際聴いてみて好きになる”というものがあると思っているのですが、ここ数年はB'z以外にそういったアーティストは全くといっていませんでした(ちなみに、かつてその基準に該当していたのは、THE YELLOW MONKEY、hide、thee michelle gun elephant などでした)。

 ところが、昨年発売されたアルバム「ぶっ生き返す」を今年になってやっと聴いてみたら、これがその前の「ロッキンポ殺し」と比べて抜群にカッコ良くなっていて、久々にアルバム全体を永遠リピートで聴いてしまいました(普段は、シングル曲だけや気に入った数曲のみを聴くことが多いのです)。

 というわけで、今回のシングルも1曲目だけでなく2曲目・3曲目も楽しみだったのですが(ってまあ両A面シングルではありますが)、どの曲も期待に違わないどころかそれ以上のものがありましたね。

 まず1曲目の「爪爪爪」は、マキシマム ザ ホルモンのタイトルセンスがあんまり自分の感覚と合わない感じなので、このタイトルも“あいかわらず変わってるな~”って程度なのですが、歌自体はホントにカッコ良すぎです。特に、途中で突然ダンス音楽っぽいアレンジが出てくる遊び心が好きですね。

 両A面2曲目の「『F』」は、某漫画の敵ボスキャラをイメージして作られた歌ですが、歌詞カード見ながら聴かないと気付かなそうですよねェ。まさにそのまんま歌っているのですけど。そんな歌詞的遊び心も最高です。

 3曲目の「Kill all the 394」は、1分半ほどの短い曲ですが、某SNSに対する過剰な愛を歌ったなんとも過激な歌です。歌詞が掲載されなかったくらいですからね。自分は“マキシマム ザ ホルモンの歌を聴いただけで歌詞を聴き取る力”は微弱なので、歌詞不掲載だと楽しみを半分取り上げられちゃったみたいで、ちょっと悲しいですねェ.....。


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