『魍魎の匣』 京極夏彦 > 「このミス」完全読破 No.94
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.94
『魍魎の匣』 京極夏彦
「このミス」1996年版 : 4位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
総合ランキング : 「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 3位
「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 4位
「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 6位
「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 9位
「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 20位
「厳選!バカミスベスト100」 選出
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
「ベストSF1995」 6位
読始:2008.5.23 ~ 読終:2008.5.28
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1999年9月>
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「京極堂シリーズ」(または「妖怪シリーズ」)の第2作にして最高傑作との呼び声も高いこの「魍魎の匣」を、ついに読んでしまいました。なんといっても、“「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト”でも3位にランクインするほど、いまだに評価の高い作品ですからね。期待はいやが上にも高まってしまってました。
前作のNo.66「姑獲獲の夏」は、始めの方に薀蓄話がこれでもかと言わんばかりに続いていたので、ちょっと挫折しそうになったのですが、今作の方は、最初から話の中に吸い込まれていくようにテンポよく読み進めることができました。
妖しげな雰囲気が漂う中で、妖しげな事件が起こって、妖しげな人物が次々に登場してきて、妖しげな世界へと導かれてゆく......。
そんな一連の出来事に対して、前作にも登場した関口・榎木津・木場を始めとしたレギュラー陣が、それぞれ別々の角度から関わることになるのですが、申し合わせた訳でもないのに続々と京極堂の元に集まってくる場面では、役者が揃った!って感じで思わず拍手喝采を浴びせたくなるほどに、かなりの盛り上がりでしたねェ。
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まあ、薀蓄話は今作も相変わらずなんですけど。京極堂の登場と共に当たり前のようにやって来ました。だけど、今回は事前に覚悟していたせいか、苦痛というよりも逆に面白く読むことができましたね。それに、この薀蓄話がラストの謎解きに大きく関わってくるので、これを読んだかどうかでこの作品に対する理解度は大きく変わってしまいますから、やはり重要な役割を担っているのです。
そのラストの謎解き部分も、やはりこのシリーズ独特の妖しさ全開で、もう常識の枠など吹き飛ばすくらいに奇想天外な事実が怒涛のように暴かれてゆくのですが、それでいてしっかりと現実的な本格ミステリにもなっているのですから、まさにあらゆる面で完成度の高い、とんでもない作品でした。
それで前作「姑獲鳥の夏」の感想で、「“これは★5つか!?”とも思ったのですが、続くシリーズ2作目「魍魎の匣」が“シリーズ最高傑作”であるようなので、この作品に対する期待も込めて、ここは★4つにしておきました」と書いたので、ちょっとこの両作を比べてみたいと思います。
「魍魎の匣」は、やはり最大級の評価を受けているだけあって、奇妙な事件を辿るストーリーや、オカルト的世界観や、本格ミステリ的謎解きなどが、見事なまでに融合され、一分の隙もない傑作に感じられました。
ただ、自分としては、そういったきっちりとしたものよりも、「姑獲鳥の夏」のような「荒削りなんだけど有無をいわせぬほどに迫力ある怒涛の展開」「良くも悪くも“なんだこりゃ~!!”な世界」の方が好みなんですよね。
なので、この「魍魎の匣」を★4つ評価にし、「姑獲鳥の夏」の方は★4つから★5つの満点評価に変更してしまいました。ただ、この2作を比較したうえでこんな評価になったのですが、でも「魍魎の匣」の方もとてつもなく面白かったことは事実なんで、後でこっそり★5つに変えているかもしれません......。
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 読み終り爽快度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “京極夏彦” 関連記事 】
> No.716 「書楼弔堂 破暁」
> No.354 「死ねばいいのに」
> No.300 「数えずの井戸」
> No.094 「魍魎の匣」
> No.066 「姑獲獲の夏」
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