『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎 > 「このミス」完全読破 No.84
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.84
『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎
「このミス」2005年版 : 2位
受賞(候補) : 「吉川英治文学新人賞」受賞
総合ランキング : 「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 73位
年度ランキング : 「本屋大賞」 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
「本格ミステリ・ベスト10」 12位
読始:2008.4.9 ~ 読終:2008.4.13
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <2006年12月>
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伊坂幸太郎作品を読むのは、No.21「重力ピエロ」以来2作目となります。
その「重力ピエロ」を読んだ感想で“村上春樹を初めて読んだ時のような衝撃が.....”って書いたのですが、その後にいろいろと評判などを見ていると、この伊坂幸太郎を語る上で“村上春樹的”というキーワードは欠かせないもののようですね。
自分としては、技術的なことというよりも、こちらも前に書きましたが、読んだ時の“あっ、これだ”っていう感じに共通項を見出したのですが、そういう評判を聞いたうえで改めて考えてみたら、やっぱり作風的な部分でも共通点はあるようですね。
というわけで今作は、“村上春樹的”というところを意識せざるをえない中で読むこととなったわけですが、これは作品を楽しむことを第一とするならば、かなり失敗だったようです。
まあやっぱり“村上春樹っぽいな”と所々思いながら読んでいたのですが、どうしても作品世界に入り込もうとすると、そのことが気になっちゃって足を捕らわれてしまうのです。別に気にするつもりはないのに、気にしない気にしないと思うほどに気になってしまって.....。
なので、★5つの満点評価となった「重力ピエロ」(後日追記:この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更したので、それに伴い満点評価ではなくなりました)の時ほどは作品を楽しむことは出来なかったようですが、でもこうやって“村上春樹的”ということを気にしながら読んだことで、とりあえず免疫を付けることが出来たはずですから、次に読む作品からは普通に読むことが出来れば良いのですが。
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そしてその「重力ピエロ」との比較でいうと、「重い内容・テーマ」と「軽い文体・登場人物」という“重さと軽さの対比による面白さ”というのは、「重力ピエロ」の方がより際立っているとはいえ、共通しているように感じました。
ただ、「重力ピエロ」を読んでいた時には、“重さ”は“軽さ”に中和されていき、最後には重さなど吹き飛ばして“爽快な軽さ”が心の中に充満していったのに対して、今作の方は、逆に“軽さ”は“重さ”に吸い込まれていって、全体的には重くどんよりとした雰囲気として受け取ったのです。
その違いはどこにあったのかというと、「重力ピエロ」の方は、読んでいて重く感じるようなエピソードは主に作中で語られる時間よりも前に起こった出来事であるのに対し、今作の方は、読んでいて重く感じるようなエピソードは今まさにこれから起きようとしていて、そこに向けて作品世界が移動している、といったところでしょうか。
なので、重い部分から遠ざかっているのか、はたまた近づいているのか、の違いなのではないかと思うのですが、自分としてはまさにその点が、この2作の評価や楽しめたかどうかの分かれ目となったようです。
というわけで、伊坂幸太郎の代表作として甲乙付けがたい「重力ピエロ」と「アヒルと鴨のコインロッカー」の2作を読んでみて、その個人的評価ははっきりと分かれた形となりましたが(とはいえどちらも面白かったことには変わりないですが)、新たな代表作候補として大々的に名乗りを挙げてきたNo.125「ゴールデンスランバー」は、はたしてどちらの評価により近くなるのでしょうかね。今から楽しみです。
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> 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.125 「ゴールデンスランバー」
> No.084 「アヒルと鴨のコインロッカー」
> No.021 「重力ピエロ」
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