『名もなき毒』 宮部みゆき > 「このミス」完全読破 No.83
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.83
『名もなき毒』 宮部みゆき
「このミス」2007年版 : 6位
受賞(候補) : 「吉川英治文学賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位
「本格ミステリ・ベスト10」 10位
読始:2008.4.9 ~ 読終:2008.4.10
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2006年8月>
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このタイトルの感じから、いきなりこの作品から読み始めてしまいそうですが、実はタイトルだけ見ると関連性がなさそうなNo.77「誰か」に続くシリーズ第2作目となるのです。
タイトルだけじゃなくても、この「名もなき毒」は2007年版の6位にランクインしたのに対して、「誰か」の方はトップ20にランクインしなかったので、やはり「名もなき毒」を手に取る可能性の方が高そうです。
まあ、両作は時間の流れ的には繋がりがあるのですが、一応独立した話となっているし、前作に関する出来事の説明もきちんとしてくれるので、いきなり「名もなき毒」の方から読み始めても、充分楽しめると思います。
ただ、この主人公の人格やそれが解かるエピソードなんかを予め知っていた方がこの作品世界に入りやすいし、前作と今作の間にいなくなってしまった登場人物が一人いるのですが、姿を一度も見せないにもかかわらず、エピソード的に今作にも大きく関わってくるのです。
それに、「このミス」でランクインしなかったとはいえ、自分としてはかなり楽しめたので、やっぱり前作「誰か」を読んでからこの「名もなき毒」を味わった方が、より楽しめることは確かだと思うのです。
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その前作「誰か」ですが、純粋なまでに“良い人”な主人公(とその家族)が、それを侵食されるくらいの毒のあるいくつかの出来事に出会うものの、一本筋の入った免疫のある“純粋さ&良い人さ”をもってそれらに対応する、って感じで読みました。
それで今作も、“良い人”である主人公一家に対して様々な毒が襲ってくるのですが、人の形をした毒はもちろん、本当の意味での毒物や、意外な形での毒など、今回は種類が豊富です。
そして毒の種類だけでなく、その強烈さに関しても、前作と比較するまでもないくらいに猛毒となっているのです。まあ、今回はタイトルにも“毒”と入っているくらいですからね。
この猛毒によって、ホラー的展開になってしまったのには驚きました。まさに読んでいる自分にまで侵食してくように感じられるほどの猛毒なのですが、これがまた、普段生活しているすぐ真横で気付かれない状態で存在するような毒なので、ホントに自分が毒を食らっているようでした。
しかし、この主人公の“純粋さ&良い人さ”も並大抵のものではなく、そんな猛毒に対しても自分らしさを保ちながら立ち向かうので、これはホントに先がどうなるのかドキドキハラハラで楽しめたし、この主人公に対しても思い入れがより強くなりました。
それから、宮部みゆき作品はとにかく主人公が積極的で、どんな困難な状況の中であっても自ら突っ込んでいくようなタイプなので、自分とはあまりに違い過ぎてなかなか感情移入できないのですが、このシリーズの主人公はとにかく控え目なので、そこがこのシリーズの好きな理由ですかね。
とはいえ、控え目ながらも積極的な面もやっぱり見せるのですけどね。だけどかなり好きな主人公なので、すでに構想中というシリーズ3作目も楽しみに待ちたいです。ただ、もうあんまり辛い目には合わせないであげてほしいな~って思っちゃいますけどねェ。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★★
衝撃バカミス度 : ★ 読み終り爽快度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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