『キッド・ピストルズの冒涜』 山口雅也 > 「このミス」完全読破 No.80
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.80
『キッド・ピストルズの冒涜』 山口雅也
「このミス」1993年版 : 8位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト100」 24位
年度ランキング :
読始:2008.3.26 ~ 読終:2008.4.3
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1997年2月>
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“「このミス」完全読破”を始めた当初は、「このミス」で上位に入った作品だけを読んでいこうと思っていたので、1994年版の2位に入ったシリーズ3作目となるNo.15「キッド・ピストルズの妄想」をいきなり読んだのですが、その後いつのまにやら順位は関係なく読むようになっていったので、“シリーズ1作目から順番に読んでいけばよかった......”とちょっぴり後悔してしまいました。
しかし、この「キッド・ピストルズ」シリーズというのは少々変わっていまして、今回紹介する「~の冒涜」がシリーズ1作目なのですが、一応シリーズ2作目となっている「13人目の探偵士」(「このミス」1994年版 11位)が実はゲームブックとして、デビュー作とされているNo.51「生ける屍の死」よりも前に発表されているのです。
(詳しく説明すると、以前出ていたゲームブック版「13人目の名探偵」を全面改稿して新たに小説版「13人目の探偵士」として発売されたのですが、これが出たのが「~の冒涜」より後だったので、小説版「13人目の探偵士」はシリーズ2作目とされているのです)
そして、シリーズ4作目の「キッド・ピストルズの慢心」にしてやっとキッドとピンクの最初の事件が語られたり、さらには、シリーズ3作目の「~の妄想」に出てくる話が終わった直後にあたる、時間的に繋がっている話がシリーズ1作目の「~の冒涜」に出てきたりと、もうシリーズの順番はあってないようなものなんですね。
なので、この「キッド・ピストルズ」シリーズに限っては、どの作品から読んでも全然OKってことなのです。だから、「このミス」的には一番評価の高かったシリーズ3作目「~の妄想」から読み始めたのは、ある意味正解だったのかもしれません。
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それでこの「キッド・ピストルズ」シリーズは結構クセがあるのですが、パラレル英国の世界観も、海外翻訳風な文調も、所々に挟まってくる薀蓄も、今回はすんなり受け入れることができました。それもやはり、このシリーズの「~の妄想」や、世界観の似た「生ける屍の死」にのめり込んだ経験があったからかもしれません。
それにしても、巨漢の元女優が謎の死を遂げていたり、園長の死体の片隅にカバの死体が寄り添っていたり、伯爵夫人による「ウンコを、いったい、おいくらでお買いになったの?」というとんでもない台詞から始まったりと、ホントに一筋縄ではいかない奇妙な連作短編集であるのはあいかわらずです。
まあ、パンク刑事コンビという主人公自体がとんでもないキャラクターなのですが、次々に出てくる登場人物がことごとく変人だらけで、そんな中で起きる事件がこんな奇妙なものばかりなので、この独特な世界はもう最高ですね。またしてものめり込んでしまいました。
そして、どうやらこの「キッド・ピストルズ」シリーズも、この度久々に復活したようなので、単行本化が今から楽しみですねェ。でもその前に残りの2作を読んでおかねば.....。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 読み終り爽快度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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