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2008年5月

2008年5月28日 (水)

『ベルカ、吠えないのか?』 古川日出男 > 「このミス」完全読破 No.87

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.87

 『ベルカ、吠えないのか?』 古川日出男

   「このミス」2006年版 : 7位

   受賞(候補) : (「直木三十五賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「キノベス」 6位
               「本屋大賞」 8位
               「ベストSF2005」 11位

   読始:2008.4.14 ~ 読終:2008.4.19

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2005年4月>

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫 ふ 25-2)ベルカ、吠えないのか? (文春文庫 ふ 25-2)
古川 日出男

文藝春秋 2008-05-09
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 この、疑問形でこちらに訴えかけてくるようなタイトルに、犬が牙を剥いて噛み付いてくる瞬間の表紙。これだけでもかなりのインパクトがありますね(個人的には、最近発売された文庫版の表紙も変わらぬままだったのは嬉しかったです)。

 そして中身の方も、「お前(たち)」という二人称を用いて、まるで神の目線に立っているかのように犬たちに語りかける文体で歴史的規模の壮大なストーリーが記されているので、他に類をみないインパクトある作品に仕上がっていました。

 もう少し詳しく内容を説明しますと、太平洋戦争時に米軍に捕らえられた日本の軍用犬4頭を始めとし、その後何代にも渡って世界各国あらゆる所で様々な冒険や闘争を行っていく犬たちの、壮大で濃密な年代記です。とにかくそのスケールの大きさには圧倒させられてしまいます。

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 ただ、結構人を選ぶ作品かもしれませんね。

 というのも、第2次世界大戦以降の、米ソによる東西冷戦を中心とした世界史の中に、犬たちの年代記が組み込まれているのですが、この国家レベルでの紛争について事細かに描写されているので、まるで世界史の勉強をしているかのようにも感じられてしまうのです。

 しかし、そのために、これらの時代で歴史に残るほどの重要な事件や出来事に、先に挙げた4頭の犬たちの子孫が絡み合うかのように関わっていく様が、とてもリアルに感じられるのですよね。そして作品全体に偽りではない迫力や凄みが溢れているのです。

 それにこれはホントに世界史の勉強にもなりますからね。軽い気持ちで読むことは出来なそうだけど、その分読み応えは充分過ぎるほどにあると思います。

 それから、読んでいて「犬たちの系図が載っていればもっと話が解かりやすくなるのにな~」と思っていたのですが、つい最近出たばかりの文庫版の方には巻頭に犬たちの系図が載っていたので、文庫版の方が読み進めやすいかもしれませんね。
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  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★         人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「この闇と光」 服部まゆみ

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年5月27日 (火)

ツブログ / ごとうけいこ

ツブログツブログ
ごとう けいこ

宝島社 2007-08-08
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 先月は妹の誕生日だったので、この本をプレゼントしてみました。

 うちの妹は、多分にもれず可愛い動物好きで、テレビなどで観てると釘付けになってしまうほどなのですが、本物の動物を近くで見たり触ったりするのは大の苦手で、したがってペットを飼うことなどとてもじゃないけど出来ません。

 なので、こういう本は擬似ペット体験を味わえることもあって、絶好の書なんじゃないですかね。


 しかし最近は、こういったペットとの生活を記したブログの書籍化が流行っているようで、この本以外にもたくさんの本が書店に並んでいました。

 ただ、それらの本をパラパラッと見てみたところ、この本は他に比べると写真や文が狙いすぎていなく自然体で、それでいて一番面白く感じたので、迷うことなく選ぶことができましたね。

 和みたい時に結構役立つようなので、自分用にも1冊欲しいような.....。

2008年5月25日 (日)

『心臓と左手 座間味くんの推理』 石持浅海 > 「このミス」完全読破 No.89

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.89

 『心臓と左手 座間味くんの推理』 石持浅海

   「このミス」2008年版 : 18位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 10位

   読始:2008.4.25 ~ 読終:2008.5.1

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : ノベルス <2007年9月>

心臓と左手―座間味くんの推理 (光文社文庫)心臓と左手―座間味くんの推理 (光文社文庫)
石持 浅海

光文社 2009-09-08
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 この作品は、2004年版の8位にランクインしたNo.70「月の扉」の続編なのですが、どちらかといえば“続編”というよりは“特別編”って感じですかね。

 登場人物は主に2人だけで、その2人とも前作に登場しているのですが(そのうち一人は主人公なわけですが)、その2人が語り合う内容は、前作とは関係ないことがほとんどなので、シリーズとしての繋がりはそれほど密接ではなく、前作を読んでいなくても充分楽しめる作品となっています。

 ただ、この2人の特異な関係性や主人公の性格なんかは前もって知っていた方が話に入っていきやすいだろうし、短編7作中ラストを飾る話が前作を読んでいないと面白さがわからなそうなので、やっぱり今作を読む前に前作「月の扉」を読んだ方がより楽しめるでしょうね。

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 内容を詳しく説明しますと、前作「月の扉」の中でハイジャック事件に巻き込まれてしまった主人公と、そのハイジャック事件を担当していた刑事が、事件から数年後に偶然再会したことから、度々2人で食事に行くようになり、その都度現在起きている、または過去に起きた事件について語り合う、という連作短編です。

 そして話のほとんどは、“主人公と刑事が本屋で待ち合わせ → 料理店に移動 → 刑事が同僚から聞いた解決済み(またはほぼ解決状態)の事件について主人公に説明する → 主人公がその事件について新たな解釈を加える”というお決まりのパターンなのですが、これが全く飽きないのです。

 一度は解決したかに見えた事件が、その新たな解釈によって全貌がガラリと変わる様は、見事としか言いようがありませんでした。

 “警察はこんなことも想像できなかったの?”って思うことも度々ありましたが、まあこれは答えを提示された後だから思えたのかもしれませんしねェ。

 そして最後の話だけはこのパターンとは変わって、前述のように前作から直接繋がりのある話なのですが、これなんかは前作を読んだ人に向けた“ボーナストラック”的で嬉しかったですね。

 あと、この本の表題にもなった、何気ないような「心臓と左手」というタイトルですが、実際にこの話を読んでみたら結構おどろおどろしい意味が込められていたので、ちょっとビックリしちゃいました。
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  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★          主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★         人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★        読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “石持浅海” 関連記事 】

  > No.869 「罪人よやすらかに眠れ」
  > No.755 「二歩前を歩く」
  > No.687 「三階に止まる」
  > No.634 「フライ・バイ・ワイヤ」

  > No.558 「トラップ・ハウス」
  > No.544 「玩具店の英雄 座間味くんの推理」
  > No.509 「彼女が追ってくる」
  > No.484 「人面屋敷の惨劇」
  > No.465 「ブック・ジャングル」

  > No.389 「撹乱者」
  > No.383 「見えない復讐」
  > No.350 「この国。」
  > No.297 「リスの窒息」
  > No.293 「君がいなくても平気」

  > No.112 「耳をふさいで夜を走る」
  > No.091 「君の望む死に方」
  > No.089 「心臓と左手 座間味くんの推理」
  > No.070 「月の扉」
  > No.037 「扉は閉ざされたまま」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「もう誘拐なんてしない」 東川篤哉

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年5月22日 (木)

『リング』 鈴木光司 > 「このミス」完全読破 No.86

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.86

 『リング』 鈴木光司

   「このミス」1992年版 : 14位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 30位

   年度ランキング :

   読始:2008.4.8 ~ 読終:2008.4.18

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1993年4月>

リング (角川ホラー文庫)リング (角川ホラー文庫)
鈴木 光司

角川書店 1993-04
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 「リング」といえば映画版が有名で、特に“例の場面”なんかは、一般レベルで話題になったり、コント番組など各媒体で何度もパロディ化されたりと、映画を観ていなくても知らぬ人はいないくらいに全国的ブームとなりました。

 自分はそこまでブームになる前にすでに観てまして、ホラーは苦手だと思っていたのがひっくり返されるほどに面白かったです。そして“例の場面”では、心臓が飛び出るくらいの恐怖に驚き、だけどそれが何故か快感に思えるほどの衝撃だったのですが、今から考えてみると、これってミステリ的な面白さだったんですねェ。

 しかし、この“例の場面”が普通に話題になったりパロディ化されたりしたのを観た後では、その場面に至るまでの流れ、そしてその場面を観た時のインパクトというのは味わうことは出来ないし、どうしてもギャグとして観ざるをえなくなってしまうので、この映画の本当の面白さは味わうことは出来ないのです。

 なので自分は話題になる前に観ることが出来たので、これはもうラッキーなタイミングでした。この映画の影響で、その後しばらくホラー映画に嵌ったくらいですからねェ。

 ここでちょっと余談ですが、映画を観た後に関連情報を見ていたら、この映画版の前にはドラマ版が放送されていて、実は自分はそのドラマ版も観ていたことがわかって、大変驚いたものです。そのドラマ版を観ていた時は、それが「リング」だということは全く意識していなかったのですが、思い返してみたら「そういえばストーリーが同じだなぁ」って思えましたから。でも映画版とは印象は全然違いましたけど。

 そしてそれら映画版やドラマ版の原作となる小説版ですが、これも実は映画版があまりに面白かったってことで、映画を観た後に読んでいたのです。すっかり忘れていましたけど。だから今回読むのは2回目となるのです。

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 まあこのように小説版も映画版もドラマ版も観ていたため、だいたいのストーリーは今でもなんとなく憶えていたのですが、それにも関わらず、今回も面白く読むことができました。ってか読むのをやめることが出来ない状態になっちゃいましたから。

 一応小説版と映画版とでは、作中で重要な役割を果たすことになるビデオの内容も違うし、映画版で真田広之が演じた役が小説版では全く正反対なキャラクターだったり、そもそも主人公の性別が違うので、それぞれ別の楽しみ方が出来ます。

 それに“例の場面”も、それに次いで有名な“あの場面”も、実は映画版のオリジナルなんですよね。なので、映画版をすでに観た人でも充分に恐怖と共に楽しむことが出来ると思います。

 そして、映画が公開されてからずいぶんな年月が経ったこともあって、“例の場面”といっても何のことやらわからない、という人も増えてきているんじゃないでしょうか。そんな方には、映画版も小説版も両方お薦めなんですが、どちらを先に観る(読む)のが良いかは難しいところですねェ。

 ただまあ、いつ何時その“例の場面”の話題に触れてしまうかわからないし、そうなっちゃうと映画版を楽しめなくなっちゃうので、まずは映画版から観ることをお勧めします。映画版といっても、「リング2」でも「リング0」でも洋画版「リング」でもなく、邦画の「リング」なんでご注意を。

 そして映画版「リング」を楽しんだ後には、小説版「リング」も忘れずに読んでみてください。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★★★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★         人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “鈴木光司”関連記事 】

  > No.191 「エッジ」
  > No.086 「リング」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「ベルカ、吠えないのか?」 古川日出男

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年5月21日 (水)

>>MDB的コンピCD-08<< 「この邦楽シングルを聴け!1991年<完全版>」

>> MDB的コンピCD << とは?

 << 「 この邦楽シングルを聴け!1991年 <通常版> 」

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 「この邦楽シングルを聴け!1991年<完全版>」


  【 Disc 1 】

 01 : 愛は勝つ / KAN
 02 : あなたに会えてよかった / 小泉今日子
 03 : しゃぼん玉 / 長渕剛
 04 : ZUTTO / 永井真理子

 05 : ネオ・ブラボー!! / サザンオールスターズ
 06 : ひとすじになれない / 米米CLUB
 07 : 歌えなかったラヴ・ソング / 織田裕二
 08 : SAY YES / CHAGE & ASKA

 09 : ジプシー / 児島未散
 10 : 格好悪いふられ方 / 大江千里
 11 : 二人静-「天河伝説殺人事件」より / 中森明菜
 12 : LADY NAVIGATION / B'z

 13 : サイレント・イヴ / 辛島美登里
 14 : KISS / プリンセス・プリンセス
 15 : WON'T BE LONG / バブルガム・ブラザーズ
 16 : PIECE OF MY WISH / 今井美樹 


  【 Disc 2 】

 01 : ラブストーリーは突然に / 小田和正
 02 : 少年時代 / 井上陽水
 03 : BELIEVE IN LOVE / LINDBERG
 04 : はじまりはいつも雨 / ASKA

 05 : 想い出の九十九里浜 / Mi-Ke
 06 : 会いたい / 沢田知可子
 07 : さよならイエスタデイ / TUBE
 08 : ジュリアン / プリンセス・プリンセス

 09 : どんなときも。 / 槇原敬之
 10 : I LOVE YOU / 尾崎豊
 11 : 遠い街のどこかで… / 中山美穂
 12 : 情けねえ / とんねるず

 13 : LOVE TRAIN / TMN
 14 : 太陽と埃の中で / CHAGE & ASKA
 15 : Eyes to me / Dreams Come True
 16 : ALONE / B'z


  【 ipod用追加曲 】

 00 : ギンギラパラダイス / B.B.クイーンズ
 00 : Shake Hip! / 米米CLUB
 00 : 替え歌メドレー / 嘉門達夫
 00 : Just time girl / KATSUMI
 00 : START / JUN SKY WALKER(S)


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 <通常版>では1991年のヒットソングをCD1枚分にまとめてみましたが、今回の<完全版>では、同一アーティストによる複数のヒット曲も詰め込むなど、CD2枚分にまとめ、さらには惜しくもCD2枚に入らなかった曲も ipod用追加曲として加えてみました。

 中には、1991年のオリコン年間チャートよりも1992年のチャートの方が順位や売り上げ枚数が多い曲もありますが(今回の例でいうと「PIECE OF MY WISH」とか「遠い街のどこかで…」とか)、そこは全体的なバランスを考えて振り分けてあります。

 この年のヒットチャートについては<通常版>の方に書いてあるのでここでは触れませんが、まあ改めてみても名曲揃いでございます。どの曲も、17年後の今現在に聴いても色褪せていないのは確かですから。カラオケの新たな十八番探しにも良さそうですね。
 
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 【「この邦楽シングルを聴け!」関連記事】

  > 「この邦楽シングルを聴け!2011年<通常版>」 (11.12.20)
  > 「この邦楽シングルを聴け!2011年<完全版>」 (12.1.14)

  > 「この邦楽シングルを聴け!2010年<通常版>」 (10.12.21)
  > 「この邦楽シングルを聴け!2010年<完全版>」 (11.1.3)

  > 「この邦楽シングルを聴け!2009年<通常版>」 (10.1.14)
  > 「この邦楽シングルを聴け!2009年<完全版>」 (10.1.20)

  > 「この邦楽シングルを聴け!2008年<通常版>」 (08.12.14)

  > 「この邦楽シングルを聴け!2007年<通常版>」 (08.1.12)

  > 「この邦楽シングルを聴け!1993年<通常版>」 (10.8.27)

  > 「この邦楽シングルを聴け!1992年<通常版>」 (08.10.13)
  > 「この邦楽シングルを聴け!1992年<完全版>」 (08.10.14)

  > 「この邦楽シングルを聴け!1991年<通常版>」 (08.3.21)
  > 「この邦楽シングルを聴け!1991年<完全版>」 (08.5.21)

2008年5月20日 (火)

週刊少年ジャンプ新連載! 「トリコ」 島袋光年

週刊少年ジャンプ 2008年6月2日 NO.25週刊少年ジャンプ 2008年6月2日 NO.25
集英社

2008
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 この“週刊少年ジャンプ新連載!”シリーズを始めたのは、自分と同じ年生まれの漫画家・鈴木信也の新連載「バリハケン」が始まったので感想を書いてみたのがキッカケでした。

 そしたら、その次のクールでも自分と同じ年生まれの漫画家の新連載が始まるんですからねェ。嬉しいもんです。

 その今週から始まった新連載作品というのが、グルメ・アドベンチャー 「トリコ」 島袋光年 です。


 まあこの作者はこの連載に至るまでは紆余曲折ありまして、かつてジャンプで「世紀末リーダー伝たけし!」という大人気作品を連載していたのですが、そんなさなかに児童買春禁止法違反の容疑(女子高生との援助交際)で逮捕され、当然の如くこの「~たけし」も未完のまま打ち切りとなったのです(後に他誌で「~完結編」を連載し、完結に至りました)。

 当時の自分は完全なる単行本派だったので、この「~たけし」や作者に対しても全くといっていいほど思い入れはないし、この事件についても噂で聞く程度のものだったので、今回の週刊少年ジャンプへの復帰についても特別な感情はあんまりないんですよね。

 (ちなみに、現在はジャンプの単行本は“1巻買い”をするのみで、一方でジャンプ本誌は毎週欠かさず買うようになったので、完全に“単行本派”から“本誌派”へと変貌を遂げてしまいました)

 そして罪に関しても、やはり小中学生が主な読者層である週刊少年ジャンプであるために、今回の復帰に関して思うことある人は大勢いるとは思いますが、自分としては、連載が決まったんであれば、とにかく面白い作品を描き続けてもらいたいと、ただそれだけですね。


 それにしても、3年前の「BLEACH」以来となるジャンプ史上2度目?(創刊当時にはあったようですが)の2週連続巻頭カラー、つまりはジャンプ史上初?(創刊当時にはあったようですが)の新連載2週連続巻頭カラーなんですから、編集部の期待の大きさがえらいことになっていますね。

 それを受けてか内容の方も、最近の新連載作品と比べても大作感が感じられ、期待が自然と膨らんでしまうような作品でした。荒々しい絵も、最近のジャンプに欠けていた部分でもあるので、なかなか良い感じだし。

 それに、前回の週刊少年ジャンプ新連載! 「ダブルアーツ」 古味直志の時にも書いたように、最近の新連載作品には“主人公が一体何を目指しているのか?”という“具体的な目標・目的設定”が明確になっていなくて、物語の方向性が拡散化・曖昧化している感じで、ストーリー面での求心力が希薄な漫画が多く、そういった作品が苦戦しているように思うのですが、この「トリコ」の場合は、連載1回目から“人生のフルコースを探す”という長期的目標に、“ガララワニを捕まえる”という短期的目標(これは2週だけで達成の可能性あり?)も備えているので、その点は心配なさそうです。


 というわけで、看板作品にまでなることを期待せざるをえないのですが、ただ最初は期待に満ちていたのに、だんだんと尻すぼみになって結局打ち切り、という作品も少なくないので、そうはならないようになんとか頑張ってもらいたいもんですね。

 まあ、この連載に掛ける思いというのは、他人には想像も付かないくらいに大きなものがあるだろうから、そういったところは信頼して安心して期待していきたいと思います。

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 【「島袋光年」関連記事】

  > 「尾田さんとの思い出漫画!by しまぶー」 島袋光年
     > 週刊少年ジャンプ読切! (17.7.10)

  > 「ちんぎり」 島袋光年 > 週刊少年ジャンプ読切! (17.4.17)

  > 「笑いの神々~最終回~」 島袋光年 > 週刊少年ジャンプ読切! (15.6.1)

  > 「トリコ」 島袋光年 <JC1巻買い> (08.11.10)
  > 「トリコ」 島袋光年 > 週刊少年ジャンプ新連載! (08.5.20)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年5月18日 (日)

『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎 > 「このミス」完全読破 No.84

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.84

 『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎

   「このミス」2005年版 : 2位

   受賞(候補) : 「吉川英治文学新人賞」受賞

   総合ランキング : 「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 73位

   年度ランキング : 「本屋大賞」 3位
               「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
               「本格ミステリ・ベスト10」 12位

   読始:2008.4.9 ~ 読終:2008.4.13

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <2006年12月>

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
伊坂 幸太郎

東京創元社 2006-12-21
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 伊坂幸太郎作品を読むのは、No.21「重力ピエロ」以来2作目となります。

 その「重力ピエロ」を読んだ感想で“村上春樹を初めて読んだ時のような衝撃が.....”って書いたのですが、その後にいろいろと評判などを見ていると、この伊坂幸太郎を語る上で“村上春樹的”というキーワードは欠かせないもののようですね。

 自分としては、技術的なことというよりも、こちらも前に書きましたが、読んだ時の“あっ、これだ”っていう感じに共通項を見出したのですが、そういう評判を聞いたうえで改めて考えてみたら、やっぱり作風的な部分でも共通点はあるようですね。

 というわけで今作は、“村上春樹的”というところを意識せざるをえない中で読むこととなったわけですが、これは作品を楽しむことを第一とするならば、かなり失敗だったようです。

 まあやっぱり“村上春樹っぽいな”と所々思いながら読んでいたのですが、どうしても作品世界に入り込もうとすると、そのことが気になっちゃって足を捕らわれてしまうのです。別に気にするつもりはないのに、気にしない気にしないと思うほどに気になってしまって.....。

 なので、★5つの満点評価となった「重力ピエロ」(後日追記:この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更したので、それに伴い満点評価ではなくなりました)の時ほどは作品を楽しむことは出来なかったようですが、でもこうやって“村上春樹的”ということを気にしながら読んだことで、とりあえず免疫を付けることが出来たはずですから、次に読む作品からは普通に読むことが出来れば良いのですが。

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 そしてその「重力ピエロ」との比較でいうと、「重い内容・テーマ」と「軽い文体・登場人物」という“重さと軽さの対比による面白さ”というのは、「重力ピエロ」の方がより際立っているとはいえ、共通しているように感じました。

 ただ、「重力ピエロ」を読んでいた時には、“重さ”は“軽さ”に中和されていき、最後には重さなど吹き飛ばして“爽快な軽さ”が心の中に充満していったのに対して、今作の方は、逆に“軽さ”は“重さ”に吸い込まれていって、全体的には重くどんよりとした雰囲気として受け取ったのです。

 その違いはどこにあったのかというと、「重力ピエロ」の方は、読んでいて重く感じるようなエピソードは主に作中で語られる時間よりも前に起こった出来事であるのに対し、今作の方は、読んでいて重く感じるようなエピソードは今まさにこれから起きようとしていて、そこに向けて作品世界が移動している、といったところでしょうか。

 なので、重い部分から遠ざかっているのか、はたまた近づいているのか、の違いなのではないかと思うのですが、自分としてはまさにその点が、この2作の評価や楽しめたかどうかの分かれ目となったようです。

 というわけで、伊坂幸太郎の代表作として甲乙付けがたい「重力ピエロ」と「アヒルと鴨のコインロッカー」の2作を読んでみて、その個人的評価ははっきりと分かれた形となりましたが(とはいえどちらも面白かったことには変わりないですが)、新たな代表作候補として大々的に名乗りを挙げてきたNo.125「ゴールデンスランバー」は、はたしてどちらの評価により近くなるのでしょうかね。今から楽しみです。
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  > 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★       人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★         読み終り爽快度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “伊坂幸太郎” 関連記事 】

  > No.809 「火星に住むつもりかい?」
  > No.794 「キャプテンサンダーボルト」
  > No.732 「首折り男のための協奏曲」

  > No.695 「ガソリン生活」
  > No.672 「死神の浮力」
  > No.627 「死神の精度」
  > No.618 「残り全部バケーション」
  > No.612 「夜の国のクーパー」

  > No.528 「PK」
  > No.384 「マリアビートル」
  > No.381 「グラスホッパー」
  > No.367 「バイバイ、ブラックバード」
  > No.312 「蝦蟇倉市事件 1」

  > No.310 「オー! ファーザー」
  > No.289 「SOSの猿」
  > No.125 「ゴールデンスランバー」
  > No.084 「アヒルと鴨のコインロッカー」
  > No.021 「重力ピエロ」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「流星の絆」 東野圭吾

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年5月15日 (木)

<JC1巻買い> 「MUDDY」 藍本松

MUDDY 1 (1) (ジャンプコミックス)MUDDY 1 (1) (ジャンプコミックス)
藍本 松

集英社 2008-05-02
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 今月に発売されたJC(ジャンプコミックス)1巻の3冊目は、「MUDDY」(マディ)。

 “週刊少年ジャンプ40周年”ということで年明けから大々的に4作投入された新連載のうちの第3弾にあたる作品ですが、残念ながら1クールで打ち切り(いわゆる突き抜け)となってしまいました。


 この作品は、元天才少年ながらその後は全く結果を出せず、とうとう会社をクビになってしまったキメラ(合成動物)開発研究者・クレイと、そのクレイが偶然に作り出してしまった泥と人のキメラ・マディが主役の冒険漫画です。

 ただ、クレイの方は災難への巻き込まれっぷりなどなかなか魅力あるキャラクターなんですが、肝心のマディの方があんまり目立たなくて存在感が気薄なんですよね。

 生まれたばかりということもあって見るもの聞くもの全てが初めてのことばかりだったり、普段はかわいらしい子供の容姿だけど、土を食べることで自由自在に姿形を変えることが出来るなど、素材としては面白そうだったのですが。「ドクター・スランプ」のアラレちゃんと千兵衛さんのような感じになれば良かったんですけどね。

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 単行本ならではの特典は、まずは帯は、表裏ともにこの漫画の説明で、「K.O.SEN」同様に第2巻の発売日もすでに書いてあります。ただ「K.O.SEN」と違うところは、こちらは1巻が発売された2ヶ月後というところですね(「K.O.SEN」は1ヶ月後)。まあどちらも短いインターバルなのは変わりませんが。

 カバーを取った部分には、「新幹線アンダーソン」鉄道乗雄 という漫画の表紙が描かれています。これは何かな?と思ったら、マディが好きでいつも観ているアニメ、つまりは作中作なんですねェ。こういう遊びは面白いですね。

 そして各話の後に描かれているのはそれぞれに共通性がなく、まずはマディの絵、続いて「アシスタントが勝手にアテレコしたMUDDY-サボテン少女騒動編-」登場人物のスズが愛読している少女漫画(作中作)の1ページ、帯広市の今野さんが考えてくれた新幹線アンダーソンのTシャツデザイン紹介。そして一番後ろには、担当の考えたマディの必殺技と、マディ・クレイ・スズ・サンドロのキャラクター・データが載っていました。

 結構この作者は作中作を考えるのが好きなようですね。それにしても、「新幹線アンダーソン」にしても、スズが愛読している少女漫画にしても、「MUDDY」よりこっちを連載していた方が人気出たんじゃないのかな~なんて思ってしまいますけどねェ。

 そして巻末には、読切版「MUDDY」が収録されています。なお、「MUDDY」の読切は2回描かれていて、今回収録されているのは昨年の36・37合併号に掲載された新しい方で、古い方は2巻に収録されるそうです。

 ちなみにこの読切を描いていた時は、「家庭教師ヒットマンREBORN!」のアシスタントを務めていたそうです。

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 【「藍本松」関連記事】

  > 週刊少年ジャンプ読切! 「W.C.フレンズ」 藍本松 (13.4.12)

  > 週刊少年ジャンプ読切! 「レンゴク」 藍本松 (11.12.17)

  > 週刊少年ジャンプ新連載! 「保健室の死神」 藍本松 (09.9.7)
  > <JC1巻買い> 「保健室の死神」 藍本松 (10.2.4)

  > <JC1巻買い> 「MUDDY」 藍本松 (08.5.15)


 【「2007&2008年発売の“JC1巻買い”」関連記事】

  > 「どがしかでん!」 濱田浩輔 (08.11.18)
  > 「トリコ」 島袋光年 (08.11.10)

  > 「ダブルアーツ」 古味直志 (08.8.9)
  > 「バリハケン」 鈴木信也 (08.8.6)
  > 「ぬらりひょんの孫」 椎橋寛 (08.8.5)

  > 「私立ポセイドン学園高等部」 大江慎一郎 (08.7.9)
  > 「MUDDY」 藍本松 (08.5.15)
  > 「K.O.SEN」 村瀬克俊 (08.5.12)
  > 「PSYREN-サイレン-」 岩代俊明 (08.5.7)

  > 「初恋限定。-ハツコイ リミテッド-」 河下水希 (08.2.25)
  > 「SKET DANCE」 篠原健太 (07.11.20)
  > 「ベルモンド Le VisteuR」 石岡ショウエイ (07.11.19)

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  >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年5月14日 (水)

『名もなき毒』 宮部みゆき > 「このミス」完全読破 No.83

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.83

 『名もなき毒』 宮部みゆき

   「このミス」2007年版 : 6位

   受賞(候補) : 「吉川英治文学賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位
               「本格ミステリ・ベスト10」 10位

   読始:2008.4.9 ~ 読終:2008.4.10

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2006年8月>

名もなき毒 (文春文庫)名もなき毒 (文春文庫)
宮部 みゆき

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 このタイトルの感じから、いきなりこの作品から読み始めてしまいそうですが、実はタイトルだけ見ると関連性がなさそうなNo.77「誰か」に続くシリーズ第2作目となるのです。

 タイトルだけじゃなくても、この「名もなき毒」は2007年版の6位にランクインしたのに対して、「誰か」の方はトップ20にランクインしなかったので、やはり「名もなき毒」を手に取る可能性の方が高そうです。

 まあ、両作は時間の流れ的には繋がりがあるのですが、一応独立した話となっているし、前作に関する出来事の説明もきちんとしてくれるので、いきなり「名もなき毒」の方から読み始めても、充分楽しめると思います。

 ただ、この主人公の人格やそれが解かるエピソードなんかを予め知っていた方がこの作品世界に入りやすいし、前作と今作の間にいなくなってしまった登場人物が一人いるのですが、姿を一度も見せないにもかかわらず、エピソード的に今作にも大きく関わってくるのです。

 それに、「このミス」でランクインしなかったとはいえ、自分としてはかなり楽しめたので、やっぱり前作「誰か」を読んでからこの「名もなき毒」を味わった方が、より楽しめることは確かだと思うのです。

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 その前作「誰か」ですが、純粋なまでに“良い人”な主人公(とその家族)が、それを侵食されるくらいの毒のあるいくつかの出来事に出会うものの、一本筋の入った免疫のある“純粋さ&良い人さ”をもってそれらに対応する、って感じで読みました。

 それで今作も、“良い人”である主人公一家に対して様々な毒が襲ってくるのですが、人の形をした毒はもちろん、本当の意味での毒物や、意外な形での毒など、今回は種類が豊富です。

 そして毒の種類だけでなく、その強烈さに関しても、前作と比較するまでもないくらいに猛毒となっているのです。まあ、今回はタイトルにも“毒”と入っているくらいですからね。

 この猛毒によって、ホラー的展開になってしまったのには驚きました。まさに読んでいる自分にまで侵食してくように感じられるほどの猛毒なのですが、これがまた、普段生活しているすぐ真横で気付かれない状態で存在するような毒なので、ホントに自分が毒を食らっているようでした。

 しかし、この主人公の“純粋さ&良い人さ”も並大抵のものではなく、そんな猛毒に対しても自分らしさを保ちながら立ち向かうので、これはホントに先がどうなるのかドキドキハラハラで楽しめたし、この主人公に対しても思い入れがより強くなりました。

 それから、宮部みゆき作品はとにかく主人公が積極的で、どんな困難な状況の中であっても自ら突っ込んでいくようなタイプなので、自分とはあまりに違い過ぎてなかなか感情移入できないのですが、このシリーズの主人公はとにかく控え目なので、そこがこのシリーズの好きな理由ですかね。

 とはいえ、控え目ながらも積極的な面もやっぱり見せるのですけどね。だけどかなり好きな主人公なので、すでに構想中というシリーズ3作目も楽しみに待ちたいです。ただ、もうあんまり辛い目には合わせないであげてほしいな~って思っちゃいますけどねェ。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★★★
   衝撃バカミス度 : ★          読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “宮部みゆき” 関連記事 】

  > No.715 「ペテロの葬列」

  > No.638 「桜ほうさら」
  > No.589 「ソロモンの偽証」
  > No.500 「魔術はささやく」
  > No.356 「小暮写眞館」
  > No.174 「英雄の書」

  > No.100 「火車」
  > No.083 「名もなき毒」
  > No.077 「誰か」
  > No.035 「龍は眠る」
  > No.001 「模倣犯」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年5月12日 (月)

<JC1巻買い> 「K.O.SEN」 村瀬克俊

K.O.SEN 1 (ジャンプコミックス)K.O.SEN 1 (ジャンプコミックス)

集英社 2008-05-02
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 今月に発売されたJC(ジャンプコミックス)1巻の2冊目は、「K.O.SEN」(キック アウト セン)。

 “週刊少年ジャンプ40周年”ということで年明けから大々的に4作投入された新連載のうちの第2弾にあたる作品ですが、残念ながら1クールで打ち切り、いわゆる突き抜けとなってしまいました。

 キックボクシングを題材とした漫画で、この1巻を改めて読んでみても迫力あるシーンが満載なので、突き抜けてしまうような死臭は感じられないんですけどね。

 やはり、最近のジャンプはスポーツものがなかなか成功するまでいかなくて、特に格闘技ものなどは鬼門とも言えそうなほど厳しい状況であるのは変わらないようです。

 “絶対に当たらない”といわれていたバスケットボールを題材にして特大ヒットを記録した「スラムダンク」のような存在になってくれればと、久々の格闘技ものの新連載となったこの漫画には期待しているのですが、なかなか難しいもんなんですねェ。


 そこで考えたのですが、格闘技ものに限らずとも最近のジャンプのスポーツものは、主人公はそのスポーツをやる気がない初心者で、だけどそれをやらねばならない状況になって、それでもやってみたらかなり高い素質があって、実は主人公の親はかつてその競技の実力者で、主人公はその親や過去の出来事にトラウマを持っていて....、というパターンが多いような感じがするんですよね。

 だからここは、主人公は連載開始からそのスポーツをやる気満々の経験者で、過去のトラウマとかは一切なく、ただひたすらに楽しくスポーツに打ち込んでいる姿を勢い良く描いていった方が、今の時代には受けるんじゃないかと。

 そして話がある程度進んでから、過去のトラウマだったり挫折だったりの暗の部分も出していって、そこで主人公を成長させていくと。

 そんな感じで、最初にドラマティックな設定や演出を付けようとするよりも、単純にスカッと気持ち良く読めるようなスポーツものなんかを読んでみたいですね。特に格闘技もの物で。

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 単行本ならではの特典は、まずは帯は、表裏ともにこの漫画の説明で、第2巻の発売日もすでに書いてあります。1巻が発売された1ヶ月後という短いインターバルなのは、ちょっと悲しい感じがありますけどね。

 カバーを取った部分は、主人公が川岸の大きな岩の上に立って遠くを見据えている、オリジナルの絵が描かれています。

 中身の方は、各話の後に、担当(「太臓モテ王サーガ」大亜門でもお馴染みのバティ氏)やアシスタントなどこの漫画に携わった人々についての説明漫画が。この中で、作者がかつて「Mr.FULLSWING」鈴木信也「P2」江尻立真などのアシスタントを務めていたことが明らかにされています。

 そして巻末には、この「K.O.SEN」の前身ともいえるキックボクシング漫画で、金未来杯2005でジャンプ本誌に掲載された読み切り作品「ナックモエ」が収録されています。敵キャラがやけに気持ち悪くて良い味出してますねェ。

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 【「村瀬克俊」関連記事】

  > 「カラダ探し」 ウェルザード 村瀬克俊> 週刊少年ジャンプ読切! (15.1.28)

  > 「岡崎慎司ヒストリー 一生ダイビングヘッド!!」
     村瀬克俊 安藤隆人 > 週刊少年ジャンプ読切! (14.6.9)

  > 「DOIS SOL(ドイソル)」 村瀬克俊 > 週刊少年ジャンプ新連載! (11.2.13)
  > 「DOIS SOL(ドイソル)」 村瀬克俊 <JC1巻買い> (11.6.5)

  > 「メタリカメタルカ」 水野輝昭 <JC1巻買い> (10.8.5)

  > 「K.O.SEN」 村瀬克俊 <JC1巻買い> (08.5.12)

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 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<


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2008年5月11日 (日)

『落下する緑』 田中啓文 > 「このミス」完全読破 No.82

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.82

 『落下する緑』 田中啓文

   「このミス」2007年版 : 14位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 24位

   読始:2008.4.4 ~ 読終:2008.4.9

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2005年11月>

落下する緑 (創元推理文庫 M た 6-1 永見緋太郎の事件簿)落下する緑 (創元推理文庫 M た 6-1 永見緋太郎の事件簿)
田中 啓文

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 この作品は、大変珍しいジャズ・ミステリーです。

 っていっても自分はまだミステリ歴が浅いんで、ジャズのミステリがホントに珍しいのかわからないのですが、「このミス」でも“ありそうでなかったジャズミステリー”と説明されているので、やっぱり珍しいんでしょうねェ。

 それでジャズに関心がない人にしてみたら、ジャズといえば“難解で敷居が高くて地味”な印象があるのではないでしょうか。

 自分自身はまさにそんな感じで、この“ジャズ・ミステリー”にも読む前は同様のイメージがあったのですが、これが全然難しいところがなく、敷居もちょうどいい高さで、派手とはいわないけれど地味で暗いなんてことは全くありませんでした。まさに“読まず嫌い”でしたね。

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 そして内容の方は、ジャズバンドの2人が行く先々で謎にぶつかりそれを解決していく連作短編集で、殺人事件など起こらないいわゆる「日常の謎系ミステリ」です。だけどその“謎”の種類がジャズに限ったものだけではないので、各話の色がそれぞれ個性的に出ていて飽きずに楽しめます。

 まあ各話のタイトルには、表題曲の「落下する緑」を筆頭に、「揺れる黄色」、「反転する黒」、「遊泳する青」など、必ず色の名前が付いているのですけどね。

 主人公2人のうち探偵役を務めるのは、自分の楽器であるテナーサックスに関することになると好奇心旺盛なんだけど、それ以外のことには全く興味を示さず、一般常識もかなり疎いような人なのです。なんだけど、テナーサックスを手にすると天才的な演奏を披露し、謎を前にすると天才的なひらめきにより解決してしまうという、なんとも魅力的なキャラクターです。

 それで読んでて思ったのですが、普段は天然キャラなのに、一度馬に跨れば天才的な感性で好騎乗を連発する岩田康誠ジョッキーとキャラがダブるんですよね。たぶん岩田騎手を知っている人がこの作品を読めば、“まさに瓜二つ!”と思うはずです。

 そしてやはり“ジャズ・ミステリー”というだけあって、ジャズの演奏シーンもふんだんに盛り込まれているのですが、これがとにかく素晴らしいのです。ジャズを知らない自分が読んでも、実際に音を聴いている以上の迫力や熱狂や感動を味わうことができました。まさに圧巻で、文章だけでここまで素晴らしい“音”を感じることができたことに信じられないくらいですからね。

 なので、これまであえて手を出さずにいた“ジャズの世界”に、この作品をキッカケにして首を突っ込み始めてしまったほどなのですが、これだけの影響を与えられてしまったのですから、★5つの満点評価は当然ですね。

 “音楽好きのミステリ読み”の方には特にオススメの作品です。このグルーヴ感を味わってみてください。

(後日追記)
 この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更したので、それに伴い満点評価ではなくなりました。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★         おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★         人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “田中啓文”関連記事 】

  > No.1035 「宇宙探偵ノーグレイ」

  > No.0678 「シャーロック・ホームズたちの冒険」
  > No.0453 「獅子真鍮の虫 永見緋太郎の事件簿」
  > No.0413 「郭公の盤」
  > No.0129 「辛い飴 永見緋太郎の事件簿」
  > No.0082 「落下する緑 永見緋太郎の事件簿」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「名もなき毒」 宮部みゆき

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年5月 8日 (木)

『双頭の悪魔』 有栖川有栖 > 「このミス」完全読破 No.81

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.81

 『双頭の悪魔』 有栖川有栖

   「このミス」1993年版 : 6位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 5位
              「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 8位
              「本格ミステリ・ベスト100」 12位
              「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 15位
              「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 19位
              「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 22位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 4位

   読始:2008.4.2 ~ 読終:2008.4.4

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1999年4月>

双頭の悪魔 (創元推理文庫)双頭の悪魔 (創元推理文庫)
有栖川 有栖

東京創元社 1999-04
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 この作品は、“探偵江神シリーズ”(または“学生アリスシリーズ”)の3作目となるのですが、「このミス」の“20年のベスト・オブ・ベスト”でも8位に入り、シリーズ最高傑作、いや作者自身の最高傑作と評されるほどの作品なので、“とうとう読むことができるのか~”と感慨深かったですねェ。

 そして読み終えてみたら、それらの評に納得できるほどに面白くて、前2作に比べてかなりの分厚さとなっているのですが、そんな分厚さなど微塵も感じないほどに一気に読めてしまいました。

 とはいっても、中身がすっからかんだったというわけではなくて、その中身の濃密さは本の厚み以上のものがありましたね。それだけのものを感じながらも、一気に読めてしまったのです。

 これは、このシリーズは“これぞお手本!”というほどの本格ミステリなのですが、その本格ミステリ的な謎以外の部分が面白くて、先を読まずにいられなかったからなのでしょう。

 英都大学推理研の面々が離れ離れになり、それぞれで推理を行うという展開や、個性豊かな芸術家が集まる村が舞台の一つになるなど、全く飽きないどころか興味を惹かれっぱなしです。

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 そしてもちろん、本格ミステリとしても前2作以上のものがあって、「読者への挑戦」も相変わらずあるのですが、なんだかんだいってもこの部分がこのシリーズの一番の肝であるのは間違いないですね。

 自分も挑戦しながら読んでいたのですが、細かい推理などはもちろんわからなかったけど、“たぶんこの人が犯人だろう!!”とかなり自信を持っていました。

 結構裏の裏まで読んだうえで“この人で間違いない!”と確信してたので、“まあ犯人当てちゃったから、最終評価点から★一つ減らさなきゃいけないかな~”なんて余裕ぶっこいていたのですが、解答編を読んでみたら、これが全くの見当違いだったのですねェ。

 まあでも、その推理内容読んだらもう納得スッキリするほどに解明されてましたからね。しかも今回は「読者への挑戦」も少々凝った作りになっているので、より楽しむことができました。

 そしてこの作品から15年という長いブランクを経て発表されたシリーズ第4作No.93「女王国の城」も近々読める予定なんで、今から楽しみです。今度こそ犯人を当てたいのですが、でも当たらない方が驚けて面白いだろうから、また見当違いの推理でもしとくのが良いのでしょうかねェ。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★        読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “有栖川有栖” 関連記事 】

  > No.959 「狩人の悪夢」
  > No.853 「鍵の掛かった男」

  > No.727 「江神二郎の洞察」
  > No.677 「論理爆弾」
  > No.503 「真夜中の探偵」
  > No.422 「長い廊下がある家」
  > No.355 「闇の喇叭」

  > No.216 「赤い月、廃駅の上に」
  > No.093 「女王国の城」
  > No.081 「双頭の悪魔」
  > No.067 「孤島パズル」
  > No.061 「月光ゲーム」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「落下する緑」 田中啓文

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年5月 7日 (水)

<JC1巻買い> 「PSYREN-サイレン-」 岩代俊明

PSYREN-サイレン 1 (1) (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 1 (1) (ジャンプコミックス)
岩代 俊明

集英社 2008-05-02
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 今年は“週刊少年ジャンプ40周年”ということで、年明けから大々的に新連載4作投入となったのですが、そのうち2作(「K.O.SEN」村瀬克俊「MUDDY」藍本松)は見事なまでに突き抜け(1クールで打ち切り)てしまい、本誌真ん中に固定掲載される特殊ポジションの「私立ポセイドン学園高等部」大江慎一郎も、先週いきなり最後尾掲載となり、とうとう来週発売号にて打ち切りになるなど、期待外れの“4作投入”となってしまいました。

 そんな中で唯一連載が続いているのが、この「PSYREN-サイレン-」です。唯一の連載経験作家(前回は「みえるひと」)なので、この結果は当然なのかもしれませんねェ。


 ジャンル的にはサスペンスといった感じでしょうか。主人公がいきなりわけのわからない世界に飛ばされる第1話から話が展開していくのですが、とにかく謎だらけな設定のため、興味が引きつけられてしまいます。

 そしてストーリーが進むに連れて謎が少しずつ判明していくのですが、そうするとまた新たな謎が生まれてきて、しかもそれが世界設定だったり登場人物に関してだったりと多岐にわたるので、思わず作品世界に入り込んでしまいそうで、なかなか面白いですね。

 ただ、そんな謎の中でも結構重要な真相が判明する場面が、一昔前の大ヒット映画のモロパクリだったのはちょっと残念でした。

 パクリというほどではないのかもしれませんが、その場面にもっていくまでの展開や演出がまさにモロすぎるし、この部分を読んだ時にすぐに“あっ、あの映画と一緒だ”とまず思ってしまうのは致命傷ですよねェ。

 まあ、今の小中学生はさすがにその映画を知らないだろうから、この場面で素直に驚き楽しんでくれたのなら良いのですけど。ただあの映画を観た人には、この場面で驚きや楽しみは残念ながら感じられないですね....。

 そしてその場面で象徴として出てくるものが、実物とは似ても似つかぬ描写となっているので、それがちょっと話題にもなったのですが、これが単行本でもそのままなので、これは要チェックです。ヒロインが時々見せる奇怪な行動といい、こういうトンデモ系の引っ掛かりポイントが作品の魅力の一つになりそうですね。

 ただ、本誌掲載している辺りでは、そろそろ中だるみしてきたかな、って感じもあるので、ここらで何か大きな仕掛けがほしいところですかね。まあとにかく最近のジャンプでは貴重なサスペンス系漫画なので、今後の展開にも期待です。

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 単行本ならではの特典は、まずは帯は、表に「現実は音と共に崩れる。」という大きな文字、裏には作中で重要な役割を果たすテレカの絵と煽り文と、シンプルながらも力強い帯となっています。

 カバーを取った部分は、カバー絵の白黒ヴァージョン。背表紙も、カバー背表紙と全く一緒です。

 中身の方は、各話の後に、ストーリーの流れに沿った一コマ漫画が2ヶ所と、主人公の夜科アゲハ&雨宮桜子の製作秘話的紹介が載っています。

 巻末には、前作「みえるひと」の時の反省を吐露しつつ、今作に対する意気込みが書かれた「アトガキ」が載っています。

 というわけで、単行本のおまけは非常に少なかったですが、これも現在も連載が続いているが故の余裕、ってことですかね。というよりも、時間的余裕のなさ、って感じか。

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 【「岩代俊明」関連記事】

  > 「星クズのソラキル」 岩代俊明 > ジャンプGIGA 2017 vol.4 (17.6.26)

  > 「カガミガミ」 岩代俊明 > 週刊少年ジャンプ新連載! (15.2.2)

  > 「式神トワイライトデイズ」 岩代俊明 > 週刊少年ジャンプ読切! (14.6.2)

  > 「さくらん(仮)」 岩代俊明 > 週刊少年ジャンプ読切! (13.3.29)

  > 「GODLAND COMPANY」(ジャンプNEXT! 2011SPRING) (11.4.30)

  > 「べるぜバブ」 田村隆平 <JC1巻買い> (09.7.3)

  > 「PSYREN-サイレン-」 岩代俊明 <JC1巻買い> (08.6.7)

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 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年5月 4日 (日)

『キッド・ピストルズの冒涜』 山口雅也 > 「このミス」完全読破 No.80

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.80

 『キッド・ピストルズの冒涜』 山口雅也

   「このミス」1993年版 : 8位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト100」 24位

   年度ランキング :

   読始:2008.3.26 ~ 読終:2008.4.3

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1997年2月>

キッド・ピストルズの冒涜―パンク=マザーグースの事件簿 (創元推理文庫)キッド・ピストルズの冒涜―パンク=マザーグースの事件簿 (創元推理文庫)
山口 雅也

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 “「このミス」完全読破”を始めた当初は、「このミス」で上位に入った作品だけを読んでいこうと思っていたので、1994年版の2位に入ったシリーズ3作目となるNo.15「キッド・ピストルズの妄想」をいきなり読んだのですが、その後いつのまにやら順位は関係なく読むようになっていったので、“シリーズ1作目から順番に読んでいけばよかった......”とちょっぴり後悔してしまいました。

 しかし、この「キッド・ピストルズ」シリーズというのは少々変わっていまして、今回紹介する「~の冒涜」がシリーズ1作目なのですが、一応シリーズ2作目となっている「13人目の探偵士」(「このミス」1994年版 11位)が実はゲームブックとして、デビュー作とされているNo.51「生ける屍の死」よりも前に発表されているのです。

(詳しく説明すると、以前出ていたゲームブック版「13人目の名探偵」を全面改稿して新たに小説版「13人目の探偵士」として発売されたのですが、これが出たのが「~の冒涜」より後だったので、小説版「13人目の探偵士」はシリーズ2作目とされているのです)

 そして、シリーズ4作目の「キッド・ピストルズの慢心」にしてやっとキッドとピンクの最初の事件が語られたり、さらには、シリーズ3作目の「~の妄想」に出てくる話が終わった直後にあたる、時間的に繋がっている話がシリーズ1作目の「~の冒涜」に出てきたりと、もうシリーズの順番はあってないようなものなんですね。

 なので、この「キッド・ピストルズ」シリーズに限っては、どの作品から読んでも全然OKってことなのです。だから、「このミス」的には一番評価の高かったシリーズ3作目「~の妄想」から読み始めたのは、ある意味正解だったのかもしれません。

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 それでこの「キッド・ピストルズ」シリーズは結構クセがあるのですが、パラレル英国の世界観も、海外翻訳風な文調も、所々に挟まってくる薀蓄も、今回はすんなり受け入れることができました。それもやはり、このシリーズの「~の妄想」や、世界観の似た「生ける屍の死」にのめり込んだ経験があったからかもしれません。

 それにしても、巨漢の元女優が謎の死を遂げていたり、園長の死体の片隅にカバの死体が寄り添っていたり、伯爵夫人による「ウンコを、いったい、おいくらでお買いになったの?」というとんでもない台詞から始まったりと、ホントに一筋縄ではいかない奇妙な連作短編集であるのはあいかわらずです。

 まあ、パンク刑事コンビという主人公自体がとんでもないキャラクターなのですが、次々に出てくる登場人物がことごとく変人だらけで、そんな中で起きる事件がこんな奇妙なものばかりなので、この独特な世界はもう最高ですね。またしてものめり込んでしまいました。

 そして、どうやらこの「キッド・ピストルズ」シリーズも、この度久々に復活したようなので、単行本化が今から楽しみですねェ。でもその前に残りの2作を読んでおかねば.....。


  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★         おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★         主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★★     読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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  > No.028 「ミステリーズ」
  > No.015 「キッド・ピストルズの妄想」


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2008年5月 1日 (木)

『流星の絆』 東野圭吾 > 「このミス」完全読破 No.85

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.85

 『流星の絆』 東野圭吾

   「このミス」2009年版 : 35位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「キノベス」 11位

   読始:2008.4.17 ~ 読終:2008.4.18

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年3月>

流星の絆 (講談社文庫)流星の絆 (講談社文庫)
東野 圭吾

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 ハードカバー本を何冊も買えるほど金銭的に余裕はないので、文庫化されていない作品なんかは図書館を利用して読むことが多いのですが、この東野圭吾など流行作家の大作ともなると、図書館の予約数は4ケタにもなってしまい、予約したとしても読むことが出来るのはかなり先の話、となってしまいます。

 なのでこういった人気作は、例え「このミス」で上位に入ろうとも、予約数が少なくなり時間を置かずに借りることができるようになる数年後までは、読めないもんだとすっかり諦めモードで過ごさねばなりません。

 ただ、やっぱりそれだけ売れている作品はリアルタイムで楽しみたい気持ちももちろんあるし、対象となる「このミス」が発表される前に読んで“この作品が上位に入ったか~” “これがなぜランクインしないの?”っていう楽しみ方もしてみたいのですよね。

 そこで対策を考えてみました。そして思い付いたのが“予約受付開始と同時に予約してしまえれば、あまり待たずに読むことが出来るのではないか?”という、とりたてて真新しいアイデアではないものの、自分にとっては結果的に革新的アイデアとなった作戦だったのです。

 というわけで、さっそくこの、書店でも大々的な宣伝と共に数多く並べられ、売れ行きも好調そうで、帯の煽り文句も“いかにも大作”といった感じの、この東野圭吾の作品で試してみることにしました。

 発売と同時に図書館にも置かれるというわけではないので、毎日のように図書館のホームページを見て、予約受付開始を今か今かと待ち続けていました。

 そしてついに!予約受付開始となったわけですが、朝見た時はまだだったのにわずか数時間後の昼間に見たら開始されていたので、“これはかなり早い待ち順番になるかも!?”と期待していたのですが、もうすでに200番目でした....。

 ただ、その後すぐに1,000を超える予約数になったし、さすがに人気作だけあって入荷数もハンパない数だったので、これでも充分早い方なんですよね。結果予想していた以上に早く借りることが出来たし。

 だけどその時は、やはり出来るだけ早く読みたい気持ちでいっぱいだったので、“予約が200番ちょうどだったんだから、キリ番ゲットってことで先に貸してくれればいいのにな~”なんて考えていたのですけどね。

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 それで話の方に入りますと、これまで東野圭吾は何冊か読んできて、いずれも★4つ以上と高評価だったのですが、それらの作品の中で共通しているのが“心を締めつけられたり、全身で反応してしまうような、とても“本”という媒体を読んでいて味っているとは信じられないくらいの衝撃や感動”なのです(もちろん、No.6「名探偵の掟」No.22「超・殺人事件」のようなコミカル作品は例外ですが)。

 ただ、今回の作品はそれがなかったんですよねェ。やはり注目の大作ということで、そういう部分への期待は凄く大きかったのですが、その期待が大きく膨らんだ状態でほったらかしにされたまま終わってしまったので、ちょっと肩透かしを食らった感じになってしまいました。

 とはいえやっぱり、読んでて面白かったことは確かなんですよね。文章が読み進めやすいのは相変わらずで、しかも展開も先を読まずにはいられなくなってしまうので、“やっぱり上手いな~”と感心してしまったほどだし。

 だからこそ、“この後どんな感動的で衝撃的なラストが待っているのか!?”ていう期待が大きくなってしまったのかもしれませんが。

 それにやっぱり、本の帯や書店での飾り方によって、“物凄い大作なんだ”と思いっきり意識してしまったのも原因かもしれません。“大作を読むぞ”という強い意識を持ってして、ではなくて、普通の小説を読むような気楽な感じで読んでいたなら、かなり楽しんで読めたと思うんですよね。

 だけど、期待をあまりに膨らませ過ぎたばかりに、読後にちょっと落胆する形となってしまったので、これから読む方は、あまり“大作”だとか“東野圭吾”だとか意識せずに、軽い気持ちで読んだ方が良いと思いますね。


  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★        おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★          主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★          読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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  > No.0006 「名探偵の掟」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「リング」 鈴木光司

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