『サクリファイス』 近藤史恵 > 「このミス」完全読破 No.79
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.79
『サクリファイス』 近藤史恵
「このミス」2008年版 : 7位
受賞(候補) : 「大藪春彦賞」受賞
(「日本推理作家協会賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「キノベス」 1位
「本屋大賞」 2位
「週刊文春ミステリーベスト10」 5位
「ミステリが読みたい!」 5位
読始:2008.3.27 ~ 読終:2008.4.2
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2007年8月>
サクリファイス (新潮文庫) 近藤 史恵 新潮社 2010-01-28 売り上げランキング : 3399 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自動車ロードレースを題材にした珍しいミステリですが、“自転車”がメインテーマとなっているミステリは、過去には1989年12位のNo.425「男たちは北へ」風間一輝や、2005年版5位の「銀輪の覇者」斎藤純など、意外と「このミス」で上位に入っているのですよね。
ただ今作は、ツール・ド・フランスに繋がるようなプロの自転車ロードレースについて書かれた、本格的な“自転車ミステリ小説”なのです。
“自転車ミステリ小説”と書きましたが、実質的には“青春小説”って感じですかね。といっても“青春”と呼ぶには歳がいっている感もありますが、自転車ロードレースを舞台に、男たちが様々な熱い思いや葛藤などをぶつけ合いながらレースに向かっていくので、やっぱり“青春”ですね。
だけどやはり女性作家による作品だからか、そういったドロドロするような部分でもさわやかに書ききっているので、とても読みやすく進められます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そしてこの自転車レースというのはあまり一般的には馴染みが無いと思うのですが、個人戦でありながら実際には団体戦の意味合いがとても濃く、中にはレース前から脇役に徹しなければならない選手もいるなど、作品タイトルの意味でもある“犠牲”という言葉がピッタリ合うような競技なんですよね。
そんなレース中やその前後の話を中心にして話は進んでいくのですが、話の始め頃から漂っていた“謎”がストーリーの中心に移行していくに連れて、“青春小説”から“ミステリ小説”へと変貌してゆくのです。
そうした中でこの“犠牲”というタイトルの本当に意味するところが判明するに至り、衝撃の事実が明らかにされるのです。これがまた胸詰まらせるような切なさで......。
それでも読後さわやかで前向きになれるところはこの作者の技術ですよね。“青春小説”としても“ミステリ小説”としても充分楽しめる作品でした。
.
.
.
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★★
衝撃バカミス度 : ★ 読み終り爽快度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “近藤史恵”関連記事 】
> No.648 「サヴァイヴ」
> No.514 「ホテル・ピーベリー」
> No.362 「薔薇を拒む」
> No.327 「エデン」
> No.079 「サクリファイス」
NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「キッド・ピストルズの冒涜」 山口雅也
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 『消失!』 中西智明 > 「このミス」完全読破 No.78 | トップページ | JUNGLE DANCE / 谷村奈南 (PV) »
「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
- 「このミステリーがすごい!2022年版」ランキング(順位)予想(2021.02.03)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年2月)(2021.01.31)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2021年1月)(2021.01.21)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年1月)(2021.01.09)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2020年12月)(2020.12.20)