『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹 > 「このミス」完全読破 No.73
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.73
『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹
「このミス」2008年版 : 2位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
(「直木三十五賞」候補)
(「吉川英治文学新人賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 2位
「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
「本屋大賞」 7位
「ベストSF2007」 10位
「本格ミステリ・ベスト10」19位
読始:2008.2.19 ~ 読終:2008.2.23
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2006年12月>
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「このミス2008年版」で僅か1点及ばずに2位となった作品です。
その直後に「私の男」で直木賞を受賞したり、「このミス2008年版」の1位になったNo.200「警官の血」(佐々木譲)はただでさえ手が出にくいハードカバーなのに上下巻の作品であることを考えると、この「赤朽葉家の伝説」が1位になっていた方が、セールス的な影響ははるかに大きかったでしょうね。
出版社の人はもちろん、書店員さんもかなり悔しくガッカリしているのではないでしょうか。やっぱり1位なるのと2位になるのとでは影響はかなり違うようですから。
内容の方は、赤朽葉家の三代に渡る女性の人生を描いた作品なのですが、元々年代記作品を読むのが好きな自分にとっては、これは凄い楽しんで読めましたね。
しかも単に年代記作品というだけではなく、そこに戦後の昭和史、しかも自分が実体験してきたつい最近のものも含めた史実がストーリーと密接に絡み合っているので、なんか妙にリアルさを感じてしまいました。
だけど語られる話というのは、結構不思議だったり突拍子もなかったりするので、その“リアル”と“フィクション”のバランス感覚が絶妙で、まさに“伝説”といったオーラが全体から漂っていました。
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それで、女性三代の人生というのが、特に前二代がとても奇妙で破天荒なものなのですが、それが故に魅力的だしグイグイと惹きつけられますね。
そして作品全体の語り手でもある三代目は、現代人であるためかその人生は普通なのですが、ここでこれまで語られてきた50年にも及ぶ話が伏線となったミステリーへと変貌するのです。この構成にはかなり驚かされました。ただでさえかなり楽しめたそれまでの話を材料に、さらに美味しく手を加えて調理してしまうのですから。まさに贅沢な仕上がりとなっています。
それから、数々の魅力的な挿話の内容からしても、かなりドロドロギクシャクとしたものになりそうな感じなのですが、これを結構あっさりと書いているのが印象的ですね。そのために作品全体が重厚感がありながらもさわやかな印象となっているので、自分的にはかなり好きな雰囲気でした。
だから読み終わった後は、この作品が「このミス」で1位にならなかったことが残念でならなかったですね。でもやっぱり「警官の血」を読んだらそっちも当然のように面白いんでしょうねェ。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 読み終り爽快度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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