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2008年3月30日 (日)

『月の扉』 石持浅海 > 「このミス」完全読破 No.70

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.70

 『月の扉』 石持浅海

   「このミス」2004年版 : 8位

   受賞(候補) : (「日本推理作家協会賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 3位

   読始:2008.2.9 ~ 読終:2008.2.12

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <2006年4月>

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石持 浅海

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 「このミス2008年版」の18位にランクインしたNo.89「心臓と左手」を読もうとしたら、この作品は「月の扉」の主人公が再度登場する作品とのことだったので、まずはこの「月の扉」から読んでみました。

 まあこういう時って、シリーズ1作目がランク外か順位が低く、次の続編で順位がぐーんと上がる、というパターンがほとんどだったのですが、今回に限ってはシリーズ1作目の方が順位が高いのですよね。だから“読むよいキッカケになった”ってとこでしょうか。

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  それにしても、石持浅海作品はNo.37「扉は閉ざされたまま」以来2作目なのですが、なんとも不思議な作風ですね。

 どちらの作品も内容は生真面目さが感じられるガチガチの本格ミステリなのですが、その本格としての存在感を柔らかく洗礼されたベールで包み込んでいるようで、なんか独特の不思議な雰囲気が漂っているのです。

 それは、作者本人も意識して書いているそうなんですが、よくある本格小説とは目線をずらしているところから来ているのかもしれません。といっても、主人公の目線をずらすのではなく、作者自身の目線をずらしているって感じですかね。

 「扉は閉ざされたまま」では、普通なら密室の扉が開いた時点から推理が始まるところを、扉が閉ざされたままの状況で推理が行われるし。そして今作は、普通なら敵役・悪役・犯人役を勤めるであろうハイジャック犯が、いつの間にか推理する側に身を置いているし。

 こういった“定石から外れた状況”が作られることで、この作者ならではの雰囲気が作り出されていると思うのですが、今作の場合はそこにさらに幻想的な趣向が施されているので、現実と仮想の間の心地よい浮遊感を味わうこともできるのです。

 ドロドロしたところのない高貴ささえ感じられる文章に、その幻想性が相俟って、評判通りのなんとも美しい作品でした。
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  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★      おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★         人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★


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  > No.509 「彼女が追ってくる」
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  > No.383 「見えない復讐」
  > No.350 「この国。」
  > No.297 「リスの窒息」
  > No.293 「君がいなくても平気」

  > No.112 「耳をふさいで夜を走る」
  > No.091 「君の望む死に方」
  > No.089 「心臓と左手 座間味くんの推理」
  > No.070 「月の扉」
  > No.037 「扉は閉ざされたまま」


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