『姑獲鳥の夏』 京極夏彦 > 「このミス」完全読破 No.66
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.66
『姑獲鳥の夏』 京極夏彦
「このミス」1995年版 : 7位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト100」 2位
「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 23位
「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 24位
「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 46位
年度ランキング :
読始:2008.1.11 ~ 読終:2008.2.2
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1998年9月>
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「このミス2007年版」で行われた「ベスト・オブ・ベスト 座談会」において、“この十八年間は大沢オフィスの時代だった”と書かれています。
この“大沢オフィス”に所属している作家というのは、大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆきの3人なのですが、大沢在昌と宮部みゆきの作品はすでに何冊か読んでいるものの、京極夏彦だけはまだ1冊も読んでいなかったのです。
別に避けていたわけではなく、単にタイミングが合わなかっただけなのですが、今回ようやくそのタイミングが合ったので、いよいよ読んでみることにしました。
それでまず最初にどの本を読んでみるのか、といった問題があったわけですが、どうやらNo.94「魍魎の匣」と「絡新婦の理」の2作が、「このミス」で5位以内に入っているし、「20年のベスト・オブ・ベスト」でもそれぞれ3位・17位にランクインするほど高い評価を得ているようでした。
ただこの2作は「京極堂シリーズ」(または「妖怪シリーズ」)の作品で、その第一作というのが今回紹介する「姑獲鳥の夏」だったので、この作品から読んでみることにしました。まあこの作品も、このミスで10位以内、「20年のベスト・オブ・ベスト」でも40位以内に入るほどの高い評価なのですが。
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というわけで期待して読み始めたのですが、しかしそれからしばらくもしないうちに挫折を味わってしまうのでした.....。
物語の始めの方は、哲学的・科学的・土俗的薀蓄が結構長く語られるのですが、これがもうキツくてキツくて。
というのも、この本は主に電車の中で読んでいまして、この薀蓄部分を読んでいると、いつの間にやら目蓋が落っこちてしまって、ハッと気づいた時には全くページが進んでいないのです。
こりゃいけない!と思って、気合を入れて読み直すのですが、それでもいつの間にやら目蓋が落っこちてしまって、ハッと気づいた時には全くページが進んでいないのです....。
こりゃいけない!と思って、気合を入れて読み直すのですが、またもやいつの間にか目蓋が落っこちてしまって、ハッと気づいた時には全くページが進んでいないのです....。
こりゃいけない!と思って、気合を入れて読み直すのですが、.....(以下しばらく繰り返し)
だけどその薀蓄部分が終わって話が進むようになると、もう作品世界にグイグイと惹き込まれていきました。
とにかく主要キャラクター達が個性的でクセありすぎで面白いですからね。このシリーズがこれだけ人気なのも頷けます。
あと作品全体を覆っているおどろおどろしい雰囲気や、その土俗的な異様さと密接に結びついている驚愕のトリックなど、もうとにかく読んでいて圧倒されましたね。ホントに妖怪世界に紛れ込まれてしまったかのようで。それでいて現実的な基盤からは離れていないってとこも凄すぎです。
なので“これは★5つか!?”とも思ったのですが、続くシリーズ2作目「魍魎の匣」が“シリーズ最高傑作”、それどころか“この作者の最高傑作”であるようなので、この作品に対する期待も込めて、ここは★4つにしておきました。
<ここからは後日追加文>
それでこの感想を書いた2ヶ月ほど後に「魍魎の匣」も読み終えたのですが、確かに全体的なまとまりやら驚くべきトリックやら、作品全体としてとても素晴らしく、これだけ評価されるのも頷ける出来でした。
ただ、荒削りではあるけれど有無をいわせぬほどに迫力ある怒涛の展開が繰り広げられるこの「姑獲鳥の夏」の方が自分好みだったのですよね。トリックも、キッチリとしているより、この作品のように“なんじゃこりゃ~”な方が魅力を感じるし。
なので、薀蓄部分には引っ掛かるものがあるものの、そこは後半の怒涛の展開でその分のマイナスはカバーできるということで、★5つの満点評価に変更することにいたしました。
(さらに後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
【 “京極夏彦” 関連記事 】
> No.716 「書楼弔堂 破暁」
> No.354 「死ねばいいのに」
> No.300 「数えずの井戸」
> No.094 「魍魎の匣」
> No.066 「姑獲獲の夏」
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