『痙攣的 モンド氏の逆説』 鳥飼否宇 > 「このミス」完全読破 No.62
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.62
『痙攣的 モンド氏の逆説』 鳥飼否宇
「このミス」2006年版 : 12位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 20位
読始:2007.12.23 ~ 読終:2007.12.25
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2005年4月>
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“バカミス作家”といえば、霞流一・鯨統一郎・山口雅也・戸梶圭太など、そうそうたる名前が挙がりますが、そんな中にあっても異質な存在なのが、鳥飼否宇です。
どれだけ異質かというのは、バカミス作家が大集結したアンソロジー本「バカミスじゃない!?―史上空前のバカミス・アンソロジー(Amazon.co.jp)」を読めば簡単に理解できるでしょう。とにかく他を圧倒する破壊力がありますから。
そんな鳥飼否宇作品の中で、今(2008年3月)のところ唯一の「このミス」ベスト20ランクイン作品が、今回紹介する「痙攣的」です。
この作品は連作短編集なのですが、1~3章では、それぞれ“ロック”“舞踏”“イリュージョン・パフォーマンス”という前衛的芸術をテーマに、薀蓄を交えながら話が進んでいきます。
それぞれがなんとも不思議で掴み所のない雰囲気を醸し出しているのですが、ただここまではまだまだ“普通のミステリ”といってよいでしょう。“バカミス作家”の本領を発揮するのがその後に連なる章です。
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まあとにかくぶっ飛んでますねェ。ぶっ飛んでるんだけど、自分的には“呆れる”よりも“感銘を受ける”感じの方が強かったです。
とにかくこのアイデアを発想しただけでもかなり凄い!普通の頭の使い方をしていたら、こんなこと思い付かないんじゃないですかね。
ただそれ以上に凄いのが、このアイデアを実際に作品として書ききったこと!こんな複雑でややこしい話なんて、普通なら頭で考えただけで混乱してパンクしてしまいますよね。とてもこれを文章化しようなどとは考えたくもありません。
それをやり遂げたのですから、もうそれだけで賞賛しないわけにはいかないでしょう。よくぞ書いてくれた!!って感じです。
まあやっぱり好き嫌いがはっきりと別れるタイプの作品だと思うのですが、どちらにしても一度はこのぶっ飛んだ世界を味わってみるべきだと思いますね。その結果、感動するのも怒り出すのも呆れるのも、読んだその人次第、ってことで。
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> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
【 “鳥飼否宇” 関連記事 】
> No.863 「死と砂時計」
> No.861 「絶望的 寄生クラブ」
> No.439 「杉下右京の事件簿」("碇卯人"名義)
> No.296 「このどしゃぶりに日向小町は」
> No.122 「爆発的 七つの箱の死」
> No.118 「官能的 四つの狂気」
> No.062 「痙攣的 モンド氏の逆説」
NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「離れた家」 山沢晴雄
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