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2008年2月 6日 (水)

『The Book-jojo's bizarre adventure 4th another day-』 乙一 > 「このミス」完全読破 No.56

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.56

 『The Book-jojo's bizarre adventure 4th another day-』 乙一

   「このミス」2009年版 : ランク外

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2007.11.26 ~ 読終:2007.11.30

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2007年11月>

The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜 (集英社文庫 お 46-8)The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜 (集英社文庫 お 46-8)
乙一 荒木 飛呂彦

集英社 2012-11-20
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 まず、この本の発売をどれだけ待ち望んでいたのかはこちら(何年も待ち望んでいた乙一版「ジョジョ」がいよいよ発売!)を、そして購入直後(読む前)の感想はこちら(「ジョジョの奇妙な冒険 “The Book”」 乙一)をご覧ください。

 まあその時に書いたように、読まないといけない他の本がすでに何冊かあったので、これを読むのはしばらく後になるだろうと思ってはいたのですが、やはり何年も発売を待ち望んでいた本が目の前にあるわけで、さすがにそれを放っておくことが出来ず、なんとあの記事を書いた直後には読み始めてしまい、結局そのまま最後まで読破してしまったんですねェ。


 それで内容の方なのですが、原作漫画(ジョジョの奇妙な冒険)に出てきたキャラはどちらかというと脇役的存在で、ストーリーのメインに据えられているのはいずれもオリジナルキャラだという点や、“スタンド”という原作漫画に出てくる特殊能力について親切なくらいに説明が加わっていることから、原作漫画好きだけに向けているのではなく、原作漫画を一度も読んだことのない人でも楽しんで読めるように書かれていますね。

 だからといって“初心者向け”というわけでなく、原作漫画を読んでいるからこそ思わず笑ったり驚いたりすることが出来る小ネタがふんだんに盛り込まれています。

 特に自分は、かの有名な台詞「おまえは今まで食べた食パンの枚数を憶えているのか?」の使い方に思わず笑ってしまいましたね。この場面など、まるでジョジョのパロディがたくさん出てくる漫画「太臓もて王サーガ」を読んでいるような面白さでした。

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 そして前に「この本を読み始めたとして、“20年近く読み続けているジョジョの小説版”として読むのか、“最近好きになった乙一の小説”として読むのか、一体どっちになるんでしょうね」って書いたのですが、これが意外とどちらでもなかったのです。

 上に書いたように、オリジナルなキャラを中心に話が進みながらも、原作のキャラやキーワードが適度に絡んでくるので、“乙一の作品”として読んでいたかと思えば“ジョジョの小説”を読んでいる感じがして、“ジョジョ”かと思えば“乙一”で、そうこうしているうちに、“乙一の作品”でも“ジョジョの小説”でもなく全くの別物、まるで“両者の間から新たに発動したスタンド”のような感じになってきました。

 それだけ、“ジョジョ”と“乙一”の相性の良さ、世界観の一致さが際立っていましたね。だけど単に“ジョジョ”を模写するだけでなく、ミステリ的構造や登場人物の過去のエピソードなども乙一らしさが出ていて、それでいて“ジョジョの世界”を壊さないどころか見事なまでに新たな方法で作り上げているので、まさに“作られるべくして作られた作品”って感じです。

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 あとこの企画って、集英社側が乙一に“ジョジョの小説版”の執筆を依頼したものだと思っていました。なのでこう何年も発売されない状態が続いていたことから、この企画自体なくなってしまったのかな?と。

 そしたら、今作のあとがきや原作者である荒木飛呂彦先生との対談などを読んでみたら、まずデビュー作「夏と花火と私の死体」からしてジョジョの影響を強く受けていて、そのためこの作品を応募したのは「ジャンプ小説大賞」。そしてこの「ジョジョ4部」の小説も、自らが頼み込んで執筆することになった、ということを知って驚きました。

 それで作品がなかなか仕上がらなかったのは“ジョジョへの愛”故のもので、その間収入が途絶えてしまったために合間に他の作品を書いたり(まさかNo.52「銃とチョコレート」なんかも合間の仕事だったとは!)、ってことがわかるにつれて、なんかこっちまで嬉しくなっちゃいましたね。

 そしてそれだけの“ジョジョへの想い”が物凄く伝わってくるほどに、とても素晴らしい作品が生み出されたわけです。

 ぜひとも続編(というか第2弾)もなんとか書いてもらいたいもんですけど、やはりまた5年くらいかかってしまいそうなんで、もうそろそろ取り掛かってほしいな~なんて思っちゃいますねェ。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


  【 “乙一”関連記事 】

  > No.056 「The Book-jojo's bizarre adventure 4th another day-」
  > No.052 「銃とチョコレート」
  > No.009 「GOTH リストカット事件(夜の章、僕の章)」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「隠蔽捜査」 今野敏

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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