『生ける屍の死』 山口雅也 > 「このミス」完全読破 No.51
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.51
『生ける屍の死』 山口雅也
「このミス」1989年 : 8位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「キング・オブ・キングス(「このミス」30周年企画)」 1位
「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 1位
「本格ミステリ・ベスト100」 1位
「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 2位
「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 12位
「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 15位
「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 29位
年度ランキング :
読始:2007.09.23 ~ 読終:2007.11.09
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1996年2月>
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この作品は、1989年のランキングでは8位でしたが、1998年版で行われた“「このミス」が選ぶ1997年版までのベスト20”では見事に1位となっています。発売当初よりもしばらく経ってからの方が評価が高くなったんですかね。
それにしても、この矛盾を重ね合わせたような奇妙なタイトル。これだけで読む前から期待が大きくなってしまうのですが、実際読んでみると、このタイトルに負けないくらい奇妙奇天烈な世界が広がっているのです。
アメリカのとある田舎町が舞台となっているのですが、その町では“死者が甦る”という珍事件が次々と発生しています。
そんな状況の中、死者と最も関係深い場である大規模な葬儀屋で殺人事件が起こるのですが、“死者が甦る”という普通ではありえない前提があるため、普通のミステリーにある殺人事件と同じような展開になるはずがありません。
被害者が死者なのはあたりまえですが、容疑者も死者(事件当時すでに死んでいた者)で、事件の謎を探る探偵役も死者。さらに死んだはずの被害者すらも生きかえってくる始末.......。“生きる屍”達が、事件の渦中にいながら、事件を混乱させる要因にもなっちゃってます。
さらに、生きている者の中にも、様々な問題から逃避することにより、精神的に死者のようになって生活している者が何人もいて、これまた“生きる屍”となって事件に関わってくるのです。
こんな“生きる屍”達が生き生きと暴れまわる世界。まさにブットビまくりですね。
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とにかくハチャメチャな展開の連続で、こちらの脳の中もパンク寸前になってしまうのですが、これがまた楽しいものなのです。自分の想像できる枠を遥かに飛び越えていくような話を前にすると、大自然を目の前にして心から感動する時と似たような感覚に陥りますからね。アドレナリン出まくり状態とでもいいましょうか。
ただこの作品はこれで終わるのではなく、こんな込み入ってこんがらがった話が、最後にはスッキリと解決するのです。これには驚きました。
自分は、No.4「生首に聞いてみろ」法月綸太郎とかNo.37「扉は閉ざされたまま」石持浅海のような、いくつもの伏線を綺麗に回収したりとか、見事な推理を披露するといった話を読んでも、面白いとは思っても、それ以上に感情に訴えかけてくるようなものをまだ感じることができていないのですが、この作品に関しては、“よくぞここまで難解な話を最後に綺麗にまとめた!!”って感動してしまいましたからね。
奇想天外な話だけでも充分面白かったのに、それらを最後に綺麗にまとめてしまわれたら、これはもう拍手と共に最高評価を与えないわけにはいかないでしょう!!
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★★☆
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