『シャドウ』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.49
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.49
『シャドウ』 道尾秀介
「このミス」2007年版 : 3位
受賞(候補) : 「本格ミステリ大賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 6位
「週刊文春ミステリーベスト10」 10位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2007.10.26 ~ 読終:2007.10.28
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2006年9月>
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これで「2007年版」の1位→2位→3位と順に読むことになりましたが、これがホントに偶然なんですよね。図書館で予約が取れた順に読んでいったら、たまたまこの年の順位通りになったのです。
それで誕生年が一緒ということもあって注目している道尾秀介作品もこれで2作目なのですが、「このミス」2007年版で17位だったNo.41「向日葵の咲かない夏」が結構面白かったので、3位にランクインした今作はいやがうえにも期待が大きくなってしまいますね。
物語は葬式の場面から始まるのですが、その人は、ある人にとっては母親、ある人にとっては妻、ある人にとっては親友、ある人にとっては親友の妻であり妻の親友、ある人にとっては同級生の母親であり母親の親友。そんな存在の女性が亡くなったことをキッカケに、まるでパズルのピースが一つ欠けてしまったようにバランスが崩れ、それぞれのその後の人生が大きく変わっていく話です。
まあ始まりが葬儀場ですし、その後に読み手に提示される現在進行形の事件も過去の出来事も、暗く陰惨なものが多いので、まさに今にも雨が振り出しそうな曇空のように、どんよりと重く感じる雰囲気が作品全体に漂っていますね。
そして作品に出てくる人物達もみな一癖二癖あって、現在と過去に起きた事件に関わりあるような感じをさり気なく匂わすので、これがまた“この話はこれからどのような展開になっていくんだろう.....”と不安な状態でドキドキさせられ、読み手の心に“どんよりとした曇り空”を作ってしまうのです。
そして最後には、それまで読み手の心を覆っていたモヤがすっかり消えてしまうくらいに、謎の真相が見事に解明されるのです!!
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.......と、本来ならいくはずだったんですが、実は途中で予想していたことが、ことごとく当たってしまってたんですねェ。別に細かなトリックを見抜いたとかの頭脳的なことではなくて、感覚的に「この人はこう見せかけといて実はこんなんじゃないのか....?」って思っていたことが見事に当たってしまって......。
いつもは、「水曜どうでしょう」における大泉さん並の騙されっぷりで、どんな単純なトリックにも「そういうことだったのか!!」と素直に驚き楽しめてたんですけど、この作品だけはなぜか途中で自然と予想してしまい、結果当たってしまったんですよね。何故なんだろう......?
ただ、もちろんトリックに驚いた部分もありますし、全体的に漂う欺瞞に満ちた雰囲気や少年の成長していく姿など楽しめましたけどね。でもやっぱり、途中で感覚的に予想していなければ、もっと楽しめたでしょうけど......。
まあその点を考慮したとしても、個人的評価としては、「このミス」の順位とは入れ替ってしまうのですが、不気味な世界観が広がる「向日葵の咲かない夏」の方が好きでしたね。
> 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
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