『OUT』 桐野夏生 > 「このミス」完全読破 No.34
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.34
『OUT』 桐野夏生
「このミス」1998年版 : 1位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
(「直木三十五賞」候補)
(「吉川英治文学新人賞」候補)
総合ランキング : 「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 18位
「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 30位
「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 43位
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 2位
読始:2007.03.30 ~ 読終:2007.04.06
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本(講談社文庫版) <2002年6月>
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深夜の弁当工場で働くパート主婦仲間の話です。
この説明だけで、精神的にも肉体的にも閉塞した感じで“ずーん”と重苦しい感じで進んでゆくのが推測できるのですが、それがある殺人事件をキッカケにしてでガラリと変わってしまうのです。
それまでの“平凡という言葉を否定するならさらに悪い方にするしかないような生活”から、全く正反対の世界へ。テレビや映画や、それこそ小説の中でしか存在しないもんだと、自分やその周囲に関係するはずがないもんだと感覚的に思い込んでしまっているけど、実際には間違いなく存在している世界へ。
しかもそれが“宝くじで億万長者になった”とかいう望ましいことではなくて、自分の人生での最悪な状況を想像して出てきたものを家の屋根の高さくらいに例えたなら、その遥か上をいく富士山の高さくらいに想像外の最悪な望ましくない世界に嵌り込んでしまうのですから。
でもそんな別世界に足を踏み入れた一方で、それまでの閉塞感溢れる深夜のパートや家庭内の問題事などの普段の生活も変わりなく過ごさねばならないので、そのギャップが面白いですよね。
そしてそんな異常とも言うべき生活を送るにつれ、支障をきたす者もいれば、ってかほとんどの人が支障をきたすと思うのですが、中には驚くほどに順応する者もいて......。
その順応する主婦が一応主人公って感じなのですが、一見普通の主婦のようでいて、実のところスーパーウーマンだった!ってとこがなかなか面白かったですね。
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というわけで、“一般市民が泥沼な状況へと巻き込まれていくも、一線を越えたところで吹っ切れて、読み手の想像できない世界へと引っ張られていく.....”といったところがNo.18「邪魔」奥田英朗に近いものがありますが、その吹っ切れ度&ぶっ飛び度はこちらの方が衝撃的でしたねェ。
“主婦”による“殺人事件”という話の入口から、その後に一体どんな想像外の展開が待ち受けているのか......。この小説でしか味わうことのできない要素が必ずあると思うので、本好きならぜひ一度はご覧ください。
自分はいつもはあんまり再読しないのですが、この本はたぶんそのうちに再読するでしょうねェ。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
【 “桐野夏生” 関連記事 】
> No.887 「バラカ」
> No.313 「ナニカアル」
> No.202 「IN」
> No.120 「東京島」
> No.034 「OUT」
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