『伝説なき地』 船戸与一 > 「このミス」完全読破 No.31
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.31
『伝説なき地』 船戸与一
「このミス」1988年 : 1位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
「日本冒険小説協会大賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 5位
読始:2007.03.02 ~ 読終:2007.03.26
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本(講談社文庫/上・下) <1991年6月>
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この作者の作品はNo.14「砂のクロニクル」以来2作目なので、前回同様の暑苦しいほどに熱気ムンムンの男臭い話を覚悟していたのですが、その熱さは期待通りだったものの、それ以外のストーリー的な部分でも凄く惹かれましたね。
南米を舞台に、日本人の男2人が逃亡を企て、時には追っ手と争い、時には新たなる攻撃者と戦い、時には仲間内で衝突しながら、目的の地を目指して進んでゆく。長い道程を紆余曲折の末にたどり着くと、そこは大きな戦争が勃発する寸前の状況で、日本人2人はその争いに巻き込まれてゆく.....。
といった感じで、なんかRPGゲームをやっているようにワクワクしながら読めたんですよね。特に目的の地へとたどり着くまでのアドベンチャーは、手に汗握るハラハラな展開が続くので、インディ・ジョーンズみたいに映画化しても合ってそうです。どことなく『七人の侍』の南米版って感じもしますしね。
それから最後の戦いの相手となる敵役も、もうその極悪非道っぷりが戦いの前にこれでもかと言わんばかりにたっぷりと描写されているので、RPGでいえばラスボス的な役割をしっかりと務めているのです。
もうホントに憎らしくて、こんなヤツらはこっぴどく懲らしめてやってくれ!って思うんだけど、その一方で心底は憎めなくて、魅力的なキャラクターでもあるのですよね。
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というわけで、物語の始まりから最後の激しく熱い戦いまで、一気に勢いよく読ませてもらいました。が、この勢いが最後の最後まで続くわけではなかったんですねェ。
自分としては、その勢いのまま最後の一行まで突き抜けて、気分すっきりとした清々しい気持ちで本を閉じたかったのですけど。って別に悪い終わり方ってわけではないのですけどね。ただそこまでの気持ちいいくらいの勢いから、ラストの期待も大きくなっちゃったのです.....。
でも、それは★5つになるか4つになるか.....っていう高いレベルでのことなんでね。こういった海外が舞台の暑苦しいくらいの冒険物ってのはなかなか手に取り辛いジャンルだとは思いますが、この作品は読み始めてしまえば一気に面白く読めると思うので、ぜひともお薦めです。
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
【 “船戸与一” 関連記事 】
> No.443 「炎 流れる彼方」
> No.031 「伝説なき地」
> No.014 「砂のクロニクル」
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