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2007年9月

2007年9月24日 (月)

『伝説なき地』 船戸与一 > 「このミス」完全読破 No.31

このミステリーがすごい!」完全読破 No.31

 『伝説なき地』 船戸与一

   「このミス」1988年 : 1位

   受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
            「日本冒険小説協会大賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 5位

   読始:2007.03.02 ~ 読終:2007.03.26

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本(講談社文庫/上・下) <1991年6月>

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船戸 与一

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 この作者の作品はNo.14「砂のクロニクル」以来2作目なので、前回同様の暑苦しいほどに熱気ムンムンの男臭い話を覚悟していたのですが、その熱さは期待通りだったものの、それ以外のストーリー的な部分でも凄く惹かれましたね。

 南米を舞台に、日本人の男2人が逃亡を企て、時には追っ手と争い、時には新たなる攻撃者と戦い、時には仲間内で衝突しながら、目的の地を目指して進んでゆく。長い道程を紆余曲折の末にたどり着くと、そこは大きな戦争が勃発する寸前の状況で、日本人2人はその争いに巻き込まれてゆく.....。

 といった感じで、なんかRPGゲームをやっているようにワクワクしながら読めたんですよね。特に目的の地へとたどり着くまでのアドベンチャーは、手に汗握るハラハラな展開が続くので、インディ・ジョーンズみたいに映画化しても合ってそうです。どことなく『七人の侍』の南米版って感じもしますしね。

 それから最後の戦いの相手となる敵役も、もうその極悪非道っぷりが戦いの前にこれでもかと言わんばかりにたっぷりと描写されているので、RPGでいえばラスボス的な役割をしっかりと務めているのです。

 もうホントに憎らしくて、こんなヤツらはこっぴどく懲らしめてやってくれ!って思うんだけど、その一方で心底は憎めなくて、魅力的なキャラクターでもあるのですよね。

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 というわけで、物語の始まりから最後の激しく熱い戦いまで、一気に勢いよく読ませてもらいました。が、この勢いが最後の最後まで続くわけではなかったんですねェ。

 自分としては、その勢いのまま最後の一行まで突き抜けて、気分すっきりとした清々しい気持ちで本を閉じたかったのですけど。って別に悪い終わり方ってわけではないのですけどね。ただそこまでの気持ちいいくらいの勢いから、ラストの期待も大きくなっちゃったのです.....。

 でも、それは★5つになるか4つになるか.....っていう高いレベルでのことなんでね。こういった海外が舞台の暑苦しいくらいの冒険物ってのはなかなか手に取り辛いジャンルだとは思いますが、この作品は読み始めてしまえば一気に面白く読めると思うので、ぜひともお薦めです。

(後日追記)
 この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


  【 “船戸与一” 関連記事 】

  > No.443 「炎 流れる彼方」
  > No.031 「伝説なき地」
  > No.014 「砂のクロニクル」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「邪馬台国はどこですか?」 鯨統一郎

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2007年9月10日 (月)

『行きずりの街』 志水辰夫 > 「このミス」完全読破 No.30

このミステリーがすごい!」完全読破 No.30

 『行きずりの街』 志水辰夫

   「このミス」1992年版 : 1位

   受賞(候補) : 「日本冒険小説協会大賞」受賞

   総合ランキング : 「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 11位
               「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 22位

   年度ランキング :

   読始:2007.02.12 ~ 読終:2007.03.01

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1994年1月>

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志水 辰夫

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 15作品ずつ一区切りにしてまとめて、その中のベスト作品を選んだりしているのですが、「No.16~30」のベスト作品は早い段階から決まっていました。なので、最後に来てどちらをベストにするか悩むのも嫌だし、そうならないような作品を、ってことでちょっと古めのこの作品を選んでみました。

 (後日追記 : この「15作ごとのまとめ記事」は、「このミス」完全読破 読破本リストを新たに作ったことで必要性がなくなったため、削除してしまいました)

 そしたらですねェ、古めであってもさすがは“このミス1位獲得作品”!もうすっかり物語に引きずり込まれちゃいました。謎だった主人公の過去があらわになってくるにしたがって、現在進行している謎の方も徐々に明らかになっていく様など、ホントに上手いなって感心してしまうほどです。

 そしてもう一つ驚くことが。ちょうどこの本を読んだ頃、書店に並ぶ文庫本の帯が「1991年のこのミス1位作品!」ってな感じに変わったのですが、その効果が凄かったそうで、それまで17年かけて売ってきた冊数を、帯変えてからの3カ月だけで超えてしまったほどだそうです。

 その頃は、どの書店に行っても手書きPOPで大々的に宣伝してましたしね。

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 というわけで、30冊目にこの本を選んだ理由を思い出すと、ホントに失礼なことをしてしましたと謝ってしまいたくなっちゃうのですが、でも、そんな気持ちで読み始めたからこそ、その反動でより面白く感じることができたわけだし、その後のフィーバーに心底驚くことができたのも確かなのです。だから結果オーライですね。

 あと、書店POPなんかには「1位になるほどのミステリ作品だけど、ラブストーリーとしても凄く面白い作品!!」って感じで評されていました。やっぱり今の時代、売れるのはラブストーリーばっかりですからねェ。

 まあ、確かに“男女の愛”が物語の重要な部分を担っているし、その内容もなかなか読み応えあるのは確かです。でも、自分はこう言いましょう!「ラブストーリーとしても秀逸だけど、やっぱりミステリとしても物凄く面白い作品!!」


  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


  【 “志水辰夫” 関連記事 】

  > No.531 「帰りなん、いざ」
  > No.408 「深夜ふたたび」
  > No.263 「こっちは渤海」
  > No.030 「行きずりの街」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「伝説なき地」 船戸与一

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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