MDB的短期連載小説「青い帽子」(あとがき)
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この「青い帽子」というのは、今から約10年前、当時大学生だった頃に書いたもので、自分が生まれて初めて書いた創作話、格好良く言えば“処女作”なのです。
なぜに今そんな話をここにアップしたのかといいますと、その時はノートに落書きのように書いていったものをワープロにまとめて、それを感熱紙に印刷して保存していたのですが、やっぱり10年近くも経つと文字が薄くなって読めなくなる寸前にまでなってしまったので、新たな保存場所として、とりあえずここにアップすることにしたのです。
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それでは当時の自分が何故にこんな話を書いてみようと思ったかを説明してみたいと思います。
大学には、勉強をするよりも眠気と闘うことの方が最重要課題となる授業がいくつもありまして、それが先生の目の届きにくい大教室ともなると、1時間半休憩なしで自分自身との苛酷な闘いとなるのです。
その対策として、ノートに絵や文字など書いて、とにかく手を動かすことによって何とか眠気を遠ざけようとしていたのですが、そんなある日、ほとんど無意識に『青い帽子』という題名と、「青い帽子について教えてほしいんじゃが」という最初の一文(これは最終的に削ってしまいましたが)を書いていました。何故に「青い帽子」なのか、何故に老人の会話文から始まったのか、今となってはわからないし、当時の自分もわかっていなかったでしょう。
突然降って湧いてきたその題名と一文ですが、その後も、先のことどころか、たった今書こうとしていることさえ何も考えず、手が動くまま筆が動くままに書いていって出来上がったのが、この作品なのです。だからまさかこんな長くなるとは思わなかったし、こんな話になるとは思いませんでした。なので、他人が書いた小説を読んでいるかのように、“この先どうなるのかな~”と楽しみながら書いていたのですよね。
まあそんなものですから、今読み直してみると、どうにもお粗末な部分が多くて.....。全体的なバランスだったり、老人の会話の内容だったり、バスの中の話しだったり、ラスト前の主人公の思いを語るとこだったり....。
それで今回改めて書き直してみようかな、とも思ったのですが、当時の何も考えないままに書き綴ったことによる勢いがなくなってしまうし、とにかく当時の自分が書いたままを残しておく方がいいかなと思ったので、細かい言葉や文章の修正程度にとめておきました。な~んて、単行本化や文庫化した時の小説家みたいなことを言ってみたりなんかして。
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あと、今回アップしながら久々に読んでみて初めて気づいたことがありました。
この話の中では、とにかく“意味”という言葉がしつこいくらいに何度も出てくるのですが、実はこれを書いてから約5年後、つまりは今から約5年前ということになりますが、『意味のないもの』という詩のようなものを書いているのです。そしてその内容は、タイトルからもわかるとおり、“意味”という言葉が異様に出てくるのです。
となると、この『意味のないもの』というのは、『青い帽子』を意識して書いたように思われるのですが、これがそんなことは全くなくて、この『意味のないもの』を書いてた時点でも、そして今回改めて『青い帽子』を読むに至るまで、『青い帽子』にこんなに“意味”という言葉が出てくるなんてすっかり忘れていたのです。
ということは、今から10年前の自分も、5年前の自分も、“意味”について強く思うことがあったってことなんでしょうかねェ。自分では今も昔もそんな自覚はなかったのですが。
ただ、同じ“意味”という言葉を使っていても、10年前と5年前とでは、捉え方というか定義付け方が少し違っていることがわかりました。
10年前では、“意味のないものはない”とし、“意味はこれから生み出し、これから見つけるんだ”と言っています。
それに対して5年前では、“意味のないものはない”とここまでは同じですが、その後に“意味のないこと自体、意味あること”と言っています。
つまりは、5年という月日が過ぎ去る間に、意味を生み出したり見つけたりといった行為をしようなどとは端から考えることなく、いわば達観しているかのように“意味のないものなどない=全てのものに意味がある”という定義付けになったわけです。ただ単に怠け者になっただけかもしれませんが....。
となると気になるのが、それからさらに5年後、つまり今現在の自分にとって“意味”をどう定義付けているのか?ということです。“意味のないものなどない”という基本的なことは変わりないとは思いますが、そこから先がどのように変わっているのか、いないのか。ぜひとも今現在の“意味”について書いてみたいですね。
ただ、今も昔と変わらずに、頭を空っぽにして筆の動くままに書こうとしないと全く書く気にならないことは変わりないので、“意味”について書こう!!と気合入れても全く書けないんですよね。だから適当になんかの話を書いといて、それで出来上がってみたら“意味”について書いていた、という日が来るのを待つしかありません。
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とまあ、あくまで保存目的が第一の、自分のための自己満足な今回のブログへのアップだったわけなのですが、最後の6話目をアップした翌日に予期せぬ出来事が。
なんとこの6話のところにトラックバックが送られていたんですね。普段からトラックバックなどほとんど来ないのに、何故によりによってこんな小説もどきに送られてくるの?どうせエロサイトの迷惑トラックバックなんじゃないの?と思いながらも一応そのサイトを見てみたら、そこには数々の帽子の写真が....。
これは、ネット販売サイトの、帽子のページだったのです。これを見た瞬間“やられた!”って思っちゃいましたね。青い帽子を探している老人が出てくる話を読んでいって、最後まで読み終わった後でトラックバックされているサイトへ飛ぶと、自分の好きな帽子を選ぶことが出来る。これでこの話に“オチ”が付いたことになりますからね。なんかこのトラックバックを含めて一つの作品となったように感じました。
このトラックバックを送ってくれた人が『青い帽子』を全て読んでくれたのかどうかは知りませんが、こんな拙い話なのに、このような形ではあっても他者の手が加わわったことによって、“自分だけの世界”からほんの僅かとはいえ外に出ることが出来たわけですから、これはもうホントに感謝したいですね。
というわけで、“このトラックバック先のサイトも含めて一作品”ということにしたいと思います.....。
(後日追記)
トラックバックが付いたのは旧ブログでの更新時なので、現在はトラックバック先のサイトを観ることが出来ない状態となっています。