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2006年4月

2006年4月29日 (土)

『黒い家』 貴志祐介 > 「このミス」完全読破 No.12

このミステリーがすごい!」完全読破 No.12

 『黒い家』 貴志祐介

   「このミス」1998年版 : 2位

   受賞(候補) : 「日本ホラー小説大賞」受賞

   総合ランキング : 「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 66位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 4位

   読始:2006.4.21 ~ 読終:2006.4.21

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1998年12月>

黒い家 (角川ホラー文庫)黒い家 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介

角川書店 1998-12
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 “日本ホラー小説大賞受賞作”というだけあって、これまで読んできたのとは違うものを期待していたのですが、いや~その期待以上の怖さでしたねェ。

 クライマックスシーンでは、本当に心臓がバクバクしてしまいましたから。

 “何でこんなに怖かったんだろう”って考えてみたら、この怖さって“よく見る怖い夢”のパターンと同じだったのですよ。

 夢で何度も体験していたから、より主人公の身になって臨場感たっぷりに読むことができたわけなんですね。

 そしてより怖さを味わうことが出来たわけだと........。

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 というわけで、あんまり“ミステリ”って感じはしなかったけれど、とにかくこの小説は“怖さを楽しめた”ってことが一番大事ですからね。それで充分です。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


  【 “貴志祐介” 関連記事 】

  > No.991 「ミステリークロック」
  > No.698 「雀蜂」
  > No.469 「鍵のかかった部屋」

  > No.466 「硝子のハンマー」
  > No.428 「ダークゾーン」
  > No.361 「悪の教典」
  > No.126 「新世界より」
  > No.012 「黒い家」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「空飛ぶ馬」 北村薫

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2006年4月27日 (木)

『そして夜は甦る』 原尞(りょう) > 「このミス」完全読破 No.11

このミステリーがすごい!」完全読破 No.11

 『そして夜は甦る』 原尞(りょう)

   「このミス」1988年 : 2位

   受賞(候補) : (「山本周五郎賞」候補)

   総合ランキング : 「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 13位
              「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 28位
              「本格ミステリ・ベスト100」 68位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 7位

   読始:2006.4.18 ~ 読終:2006.4.20

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1995年4月>

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))
原 りょう

早川書房 1995-04
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 本来なら次はNo.10「秘密」東野圭吾なのですが、書きたいことが多いのにそれを上手く書けずに時間が掛かってしまいそうなので、まあこれはまとまりそうになったら順番関係なく書いてみたいと思います。

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 さてさて、本当はこの“このミス完全読破”はだいたい1998年以降の作品を読んでいこうと思ってたんですね。手広くしても読みきれないと思って。だけどなんだか思ってたより読破ペースが速かったんで、そんならばってことで「このミス」創刊号にまで範囲を広げることとなったのです。

 それで今回のが、記念すべき創刊号の1位、ではないけど、創刊号の2位を飾った作品なのです!

 というわけで、この作品が発表されたのは、なんと今から18年も前の1988年なのです。なんと自分が小学生の時!!ホント時代を感じてしまいます......。

 “時代を感じる”というと、ミステリ小説の中で一番時代を感じさせるものといえば、“連絡手段”だと思うのです。仲間内での連絡だったり、犯人とのやり取りだったり。ミステリ小説では大事な部分ですよね。

 今の時代であれば、携帯電話で簡単に電話でもメールでもいつでもどこでも出来てしまうのですが、たとえばNo.08「マークスの山」高山薫では、主な連絡手段は“ポケベル”なのです。なのでその場では“至急連絡求ム”というのを伝えるのみしかできず、折り返しの電話が掛かってきてやっとのことで用件を伝えられるわけです。面倒くさいですねェ。

 ところがこんなのは甘い甘い。18年も前のこの作品で重要な連絡手段となっているのは、“電話応答サービス”なるものなのです。これはあんまりよくわからないのですが、電話が掛かってきて留守だった時にこの“電話応答サービス”に転送されるのか直接自分で掛けてもらうかして、そこでオペレーターに伝言する、というものなのです。これまた一段と面倒くさいですねェ。携帯電話のありがたさを物凄く感じてしまいます。

 このように、“ミステリ小説”というのは、“連絡手段”によってそれぞれの時代が色濃く反映されされるわけなのです。まあこれは“ミステリ小説”に限ったことではないけれど、やはりジャンルの特色からして“通信手段”反映度は他ジャンルを圧倒してるんじゃないですかね。

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 そんで肝心の作品の感想なのですが.......。

 実は今この文章を書いてる時点で、この作品の後すでに2冊読み終えていて、現在3冊目の真っ最中ということもあって、ほとんど印象に残ってないんですよね........。

 しかも、この作品の前に読んだのが、個人的に内容に思い入れ強過ぎて簡単な感想書くことさえ難しい状態の『秘密』だったし、この作品の後に読んだのが、超衝撃的な『黒い家』だったので、破壊力抜群な作品に挟まれてしまったため、ほとんど印象に残ってないんですよね........。

 でも、これを読み終えた後に、この探偵さんが再度活躍する1989年1位の『私が殺した少女』を読むのが楽しみになってたので、面白かったのは間違いないのですけど。

 ただやっぱり読む順番のせいで.........。

 あとこの作者の名前「リョウ(尞)」って登録されてないんですねェ。見た感じだと普通にありそうに思っちゃうんだけど.......。


  > 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆


  【 “原尞(りょう)”関連記事 】

  > No.1009 「それまでの明日」
  > No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」

  > No.0351 「愚か者死すべし」
  > No.0321 「さらば長き眠り」
  > No.0260 「天使たちの探偵」
  > No.0135 「私が殺した少女」
  > No.0011 「そして夜は甦る」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「黒い家」 貴志祐介

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2006年4月20日 (木)

『GOTH リストカット事件(夜の章、僕の章)』 乙一 > 「このミス」完全読破 No.09

このミステリーがすごい!」完全読破 No.09>

 『GOTH リストカット事件』 乙一

   * 文庫化の際に分冊して『GOTH 夜の章』 『GOTH 僕の章』に改題

   「このミス」2003年版 : 2位

   受賞(候補) : 「本格ミステリ大賞」受賞
            (「大藪春彦賞」候補)
            (「日本推理作家協会賞〈短編部門〉」
               候補作 『犬』 収録)

   総合ランキング : 「1996-2005オールベスト「本格」ランキング」 16位
               「2001-2010新世紀「本格短編」ミステリオールベスト」
                 14位作品 『リストカット事件』 収録
               「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 44位
               「短編ミステリ・オールタイムベスト(国内編)」
                 63位作品 『犬』 収録

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 5位
               「週刊文春ミステリーベスト10」 7位

   読始:2006.4.17 ~ 読終:2006.4.17

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2002年7月>

GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 夜の章 (角川文庫)
乙一

角川書店 2005-06-25
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 この作者は、もう自分が15年以上も愛読している漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の小説版を執筆する、ということでかなり前から存じていました。しかしその『小説版ジョジョ』は、一向に発売される気配もないまま、もう何年も経過しているのです.....。

 なので、“乙一”という作家は前から馴染みあるものだったのに、作品自体を読むのは、今回が初めてだったのです。なんか変な感じでしたね。

 それにしても、前回のNo.08「マークスの山」高山薫に比べると、登場人物もそうだし、文体や話の内容など、全てにおいて冷めた印象がありますね。でもその“冷めた感じ”というのが、この作品のイメージを上手い具合に引き立てていて、“冷静なる狂気”がビュンビュンと飛んでくるようでした。

 まあ読んでいる側としても、良い意味で“冷めた感じ”で読み進めていくことになるのですが、それでもなぜか、いつのまにか物語の中に入り込んでいる自分がいたりなんかするのです。そして“冷”という文字が似合う主人公2人にも、物語が進むにつれて、だんだんと愛着が湧いてくるのが不思議でしたね。

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 そんなこんなで、終わりが近づくにつれて“あ~もっとこの世界観を読んでいたいな~”となるのですが、その最後の章が、そんな思いもぶっ飛んでしまうほどの問題作だったのです。

 なのでその最終章を読みながら“これは★4つにも★2つにも、どちらにも成りえるな~”と考えていたのですが、最後まで読み終えた結果、打って変わって“満点評価”を下すこととなりました。

 まあこの作品のタイトルや装丁からしてちょっと手を伸ばし辛い方もいらっしゃいそうですが(後日追記:ここでいうタイトルや装丁は、ハードカバー本の方のことを言っています)、これはホントにお勧めですね。軽い気持ちで読み始めたら、いつしか“乙一の世界”にどっぷり浸かっている自分に気付くことでしょう......。

 でもこれで『小説版ジョジョ』への期待もよりいっそう高まってしまいましたねェ。ホントに出るのでしょうか.......?GUNS N' ROSESのアルバムとどちらが早いかなぁ。

(後日追記)
 この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更したので、それに伴い満点評価ではなくなりました。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


  【 “乙一”関連記事 】

  > No.056 「The Book-jojo's bizarre adventure 4th another day-」
  > No.052 「銃とチョコレート」
  > No.009 「GOTH リストカット事件(夜の章、僕の章)」


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2006年4月19日 (水)

『マークスの山』 髙村薫 > 「このミス」完全読破 No.08

このミステリーがすごい!」完全読破 No.08

 『マークスの山』 髙村薫

   「このミス」1994年版 : 1位

   受賞(候補) : 「日本冒険小説協会大賞」受賞
            「直木三十五賞」受賞

   総合ランキング : 「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 3位
               「この警察小説がすごい! ALL THE BEST」 9位
               「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 53位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位

   読始:2006.4.10 ~ 読終:2006.4.12

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <1993年3月>

マークスの山(上) 講談社文庫マークスの山(上) 講談社文庫
高村 薫

講談社 2003-01-25
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 タイトルと出だし部分の内容から、“山を舞台にした話”なんだろうな~と思ってましたが、“山”が大きなキーワードではあるけれど、“山の話”よりも“警察内部の話”がメインでしたね。

 それにしても、こういった“警察内部の話”はなんか堅苦しい感じがして抵抗感があったのですが、No.03「半落ち」横山秀夫と今作を読んで見たら、“警察内部の話”は逆に物凄く好きだったんだってことがわかりましたね。

 それは、“生と死”に関わる事件について、自分の“生と死”を賭けながら捜査する職業なため、人間の感情や行動がありのまま包み隠さず吐き出されるので、そういった“人間臭さ”が面白いんでしょうね。

 今作品も、“警察vs犯人”というあたりまえの構図はもちろん、警察内部での争い、さらに“犯人”以外の者との対決も重要になっているので、まさに“魂と魂の闘い”を充分に堪能することができました。

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 それで後半に入って“これは久々の満点が出るか!?”と思うくらいに面白かったのですが、ちょっと最後の方が尻つぼみに感じてしまったのですよね。

 それまで上昇し続けていた熱がちょうどいいくらいに和らいだ所でラストを迎えた、といった感じでそれはそれで良かったのですが、やはりその熱がそのまま頂上まで昇りきり、絶景を眺め感動する様まで期待してしまったので、その分満点には届かず......、といったところでしょうかね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


  【 “髙村薫” 関連記事 】

  > No.613 「冷血」
  > No.238 「太陽を曳く馬」
  > No.008 「マークスの山」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「GOTH リストカット事件」 乙一

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2006年4月17日 (月)

『死の泉』 皆川博子 > 「このミス」完全読破 No.07

このミステリーがすごい!」完全読破 No.07

 『死の泉』 皆川博子

   「このミス」1998年版 : 3位

   受賞(候補) : 「吉川英治文学賞」受賞

   総合ランキング : 「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 21位
               「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 44位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位

   読始:06.4.3 ~ 読終:06.4.7

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <1997年10月>

死の泉 (ハヤカワ文庫JA)死の泉 (ハヤカワ文庫JA)
皆川 博子

早川書房 2001-04
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 そもそも“ミステリ小説”を読み始めたキッカケは、敬遠気味だった小説を読むにあたって“取っ掛かりが全くなくて、何を読んで良いのやら.......”だったので、一つのジャンルに絞ってみよう、というものでした。

 そしたら、前回のNo.06「名探偵の掟」東野圭吾から今回の「死の泉」と、全く趣きの違う小説ですからね。一口に“ミステリ”といっても、こんな内容も形態も様々な作品があるなんて知らなかったので、“小説を読むキッカケ”としては、“ミステリ”というジャンルを選んでいてホント正解でした。

 そしてこの作品は、第2次大戦時のドイツの戦中・戦後の2部構成になっているのですが、その戦中を扱った1部は、“不老不死”や“人体実験”なんかのキーワードが散りばめられていることもあって、ホントおどろおどろしい世界が広がっています。

 それでもやはり女性作家ということもあってか、“崇高なる美”のようなものを感じることができて、物語の世界にどっぷり浸かることができました。

 どっちかといえば、“時の動き”が主軸となる1部よりも、“人の動き”が主軸となる2部の方が楽しめたかな、って感じなのですが、でもやっぱり読後にすごく印象に残るのは、圧倒的に1部ですね。 

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 その1部は、“ミステリ”ということを全く感じさせなくて、“重厚な海外小説”のようなのですが、2部も終わりに近づくと、驚くほど“ミステリ作品”に変貌しましたね。

 ただ、この“ラストのどんでん返し”が難解すぎてあまり理解できなくて.......。

 元々“曖昧なエンディング”に寛容な方であるばかりか、あんまりキッチリ締められているよりは曖昧な方が好きだったりするのですが、それでもやっぱり今回のは、頭に“?????”が残ったままで、すっきりしなくて......。

 ちゃんとした“正解”があるのかわかりませんが、理解できなかった自分の“知力”が乏しかったような感覚になってしまったので、なんか悔しさの残る読後となってしまいました。

 でもこれでかえってこの作品の“怪しさ・妖しさ”が引き立ったとも思うので、それが狙いだったりして.....?


  > 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆


  【 “皆川博子”関連記事 】

  > No.777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.776 「影を買う店」
  > No.723 「アルモニカ・ディアボリカ」

  > No.692 「海賊女王」
  > No.547 「双頭のバビロン」
  > No.480 「開かせていただき光栄です」
  > No.137 「倒立する塔の殺人」
  > No.007 「死の泉」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2006年4月 6日 (木)

『名探偵の掟』 東野圭吾 > 「このミス」完全読破 No.06

このミステリーがすごい!」完全読破 No.06

 『名探偵の掟』 東野圭吾

   「このミス」1997年版 : 3位

   受賞(候補) : (「吉川英治文学新人賞」候補)

   総合ランキング : 「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 66位

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 6位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 8位

   読始:2006.3.29 ~ 読終:2006.3.30

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1999年7月>

名探偵の掟 (講談社文庫)名探偵の掟 (講談社文庫)
東野 圭吾

講談社 1999-07
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 東野圭吾といえば、最近ドラマ化もされた『白夜行』で2000年2位、そして昨年には未だに売れ続けているNo.45「容疑者Xの献身」が見事1位(どちらも未読)。なので今作も、その2作と比べると有名ではないけれど、「このミス」3位に入るほどだし、面白い大作なんだろうな~、と期待しながら読み始めました。

 そしたら、いつもなら物語の後半で驚愕することが多いのですが、この作品は読み始めてすぐに驚いちゃいましたねェ。あまりに読む前の期待とのギャップが凄過ぎて.......。


 頑固だけど少しおっちょこちょいな警部と、外見はぱっとしないけど冷静に推理を働かせる探偵のコンビが、様々に仕組まれた謎を次々と解いてゆく.......。と言えば、典型的な推理小説のようですが、実際には、この2人はそれぞれの役を演じる役者のようなもので、愚痴をこぼしながらも謎を解いてゆく......という、いわゆる“楽屋落ちネタ”なのですよね。まさかこんな内容だったとは.......。

 そして、推理小説に出てくるトリックのパターン(“密室”とか“ダイイングメッセージ”とか)が章ごとに出てきて、2人がそれぞれのトリックに対してツッコミを入れていく感じなのですが、“推理物”なんて漫画『金田一少年の事件簿』ぐらいしか読んでなかったので、こういったネタを理解できるのか少々心配になりました。でもその唯一読んでいたのが『金田一~』だったからこそ、充分に楽しむことができたわけですけどね。

 つまりは、最低でも『金田一~』ぐらいは読んでいないと、この作品の面白さは理解できない、ってことですね。 

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 まあ最初は驚いたのですが、漫画を読んでいるような軽い感じが、これまで読んできたミステリ作品と比べてなんか新鮮で良かったし、『金田一~』を読んでて引っかかってたところを上手くツッコミ入れてくれたので、とても楽しんで読めました。

 しかもそれでいて、推理小説のトリックについて結構勉強になりましたからね。もう“言うことなし”でございます。

 ただ、『白夜行』『容疑者Xの献身も』もこんな感じの内容だったらと心配........、にはさすがになりませんけどね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


  【 “東野圭吾” 関連記事 】

  > No.1079 「希望の糸」
  > No.1047 「沈黙のパレード」(後日更新予定)
  > No.0873 「人魚の眠る家」
  > No.0832 「ラプラスの魔女」
  > No.0784 「マスカレード・イブ」

  > No.0757 「虚ろな十字架」
  > No.0720 「疾風ロンド」
  > No.0690 「祈りの幕が下りる時」
  > No.0655 「夢幻花」
  > No.0598 「禁断の魔術 ガリレオ8」

  > No.0580 「虚像の道化師 ガリレオ 7」
  > No.0537 「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
  > No.0526 「歪笑小説」
  > No.0479 「マスカレード・ホテル」
  > No.0457 「真夏の方程式」

  > No.0437 「麒麟の翼」
  > No.0418 「鳥人計画」
  > No.0377 「白銀ジャック」
  > No.0342 「プラチナデータ」
  > No.0285 「カッコウの卵は誰のもの」

  > No.0266 「魔球」
  > No.0236 「新参者」
  > No.0184 「パラドックス13」
  > No.0130 「聖女の救済」
  > No.0085 「流星の絆」

  > No.0053 「赤い指」
  > No.0045 「容疑者Xの献身」
  > No.0022 「超・殺人事件」
  > No.0010 「秘密」
  > No.0006 「名探偵の掟」


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2006年4月 4日 (火)

『燃える地の果てに』 逢坂剛 > 「このミス」完全読破 No.05

このミステリーがすごい!」完全読破 No.05

 『燃える地の果てに』 逢坂剛

   「このミス」1999年版 : 2位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 6位

   読始:2006.3.10 ~ 読終:2006.3.27

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本(上・下) <2001年11月>

燃える地の果てに〈上〉 (文春文庫)燃える地の果てに〈上〉 (文春文庫)
逢坂 剛

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 ここまで読んできた作品は、たまたまなのですが全て「このミス」年度1位の作品だったので、今回はあえて1位以外の作品を選んでみました。

 読んでみたら、どうも外国が舞台で、しかも歴史関係の内容みたいだったので、少々抵抗感があったのですが(なんとなく現代日本の話の方が読みやすそうだったので)、気合入れて読み始めてみたら、もうすぐに話にのめり込むことができましたね。かえって“外国物”“歴史物”の方が良いかな~なんて思ったりなんかして。

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 この作品は、構成的には、“1965年頃のスペインが舞台の話”と“1995年頃の日本が舞台の話”が交互に展開されていくのですが、最初は共通するキーワードは僅かしかなかったのに、話が進むにつれて様々な事物がリンクしてゆき、次第に全貌が明らかになってゆく.......、といった感じなのです。

 こういう構成ってなんか好きなんですよね。村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』もそうだし。まあでもこの作品は、60年代話が主で、90年代話は補佐的役割なんですけど。

 そして両話がぴったりと合わさるラスト近辺では、“これぞミステリ!”って感じの“衝撃の種明かし”がしっかりとありました。もう核心部分が出たときは「え?これはどういうことだ????」って軽く混乱してしまいましたからねェ。

 しかもすぐに説明が始まるのではなくて、年代が変わっての話が進むことでインターバルが出来るので、この“衝撃の種明かし”の余韻を長く楽しむことができて、そこがまた“憎い演出だな~”と思いました。

 別に“衝撃の種明かし”がなくても、小説としてずいぶん楽しめたんですけどね。“ミステリというジャンルはホントにサービス精神旺盛だな~”とつくづく思いました。

 でも作品的な評価は、★3つを超えるまではいかないかな~ってとこで。★4つ以上は滅多に出さないようにしてます。

(後日追記)
 この時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


  【 “逢坂剛” 関連記事 】

  > No.540 「平蔵の首」

  > No.414 「十字路に立つ女」
  > No.314 「兇 弾」
  > No.279 「さまよえる脳髄」
  > No.033 「禿鷹の夜」
  > No.005 「燃える地の果てに」


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