サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

にほんブログ村2

« 2008年5月 | トップページ | 2008年7月 »

2008年6月

2008年6月29日 (日)

「怖い!!ベスト5」 > 「このミス」完全読破・100冊突破記念企画

「このミス」完全読破 100冊突破記念企画 第2弾


   >> 「 怖い!!ベスト5」 <<

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「このミス」完全読破がついに100冊を突破したということで、それを祝う意味合いも込めて、その100冊の中から個人的嗜好に基づいて、項目別にベスト5を発表していきたいと思います。

 ちなみに、対象となる100冊について、および“「このミス」完全読破とは一体何なんだ?”といった基本的な部分については、 まとめページである「このミス」完全読破 読破本リストをご覧ください。

 さてさて第2弾は、ミステリ作品を彩る要素としてなくてはならない「怖い!!ベスト5」。つまりは、読んでいて怖さを感じた作品の個人的ランキングです。

 ただ、純粋に怖さを感じる作品、すなわちホラー的な作品はそれほど多くなかったこともあり、“怖さ”とはちょっと違うけど“不気味さ”を感じる作品も入れた、大雑把なランキングにしてみました。

 ちなみに、「このミス」完全読破を始めた当初は完全なる“ミステリ初心者”だったため、読んだ時期によって理解度や好み、個人的評価の基準などが大きく変わってしまっていると思います。なので、その点もご了承ください。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 5位 : リング / 鈴木光司 】

 

リング (角川ホラー文庫)リング (角川ホラー文庫)
鈴木 光司

角川書店 1993-04
売り上げランキング : 76398

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 まあこの作品は映画版が有名ですが、この小説版も負けず劣らずの面白さです。

 どちらかといえば“怖さ”よりも“不気味さ”といった感じですが、やはり映画版とは違った怖さ、不気味さ、面白さを味わうことが出来るはずです(そもそも主要人物のキャラクターが全然違かったりしますし)。

 ただ、これは感想記事でも書きましたが、映画版をまだ観たことがなくて、それでいて“例の場面”といっても何のことか解からないというような人は、まずは映画版の方を観ることをお薦めしますね。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.86 『リング』 鈴木光司

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 4位 : 独白するユニバーサル横メルカトル / 平山夢明 】

 

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)
平山 夢明

光文社 2009-01-08
売り上げランキング : 17555

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 混戦といわれていた2007年版で驚きの1位に輝いた作品ですが、拷問・鬼畜・グロテスクな内容なんで、“「このミス」1位だから”ってだけで読んだ人は、一体どんな反応をしたのか気になりますねェ。

 まあ、ただグロテスクで下品なだけに終わっていなくて、芸術作品であるかのような崇高さ・妖美さも感じられるので、ハマる人はハマってしまいそう。ただ、あんまり“好きだ!”と公言しにくくはありますけど.....。

 ちょっと“怖い”というのとは違うかもしれませんが、これはぜひともランクインさせたい作品なのです。まあ、「“この作品が好きだ”と思えてしまう人が“怖い”」、と思う人も多そうですけどね。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.47 『独白するユニバーサル横メルカトル』 平山夢明

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 3位 : 模倣犯 / 宮部みゆき 】

 

模倣犯1 (新潮文庫)模倣犯1 (新潮文庫)
宮部 みゆき

新潮社 2005-11-26
売り上げランキング : 13756

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 “怖い”というと、心霊現象や超常現象をまず思い浮かべるわけですが、この作品を読んでみたならば、“そんなものよりも一番怖いのは生身の人間だな”と思ってしまいますからねェ。

 救いのない話なんで、読んでいる時も読み終わった後も落ち込んでしまいますが、それもやはり“人間の怖さ”がリアルに描かれているからなのでしょう。

 なので、あんまり読み返したくない作品ですけどね。だけど一度はこの怖さを体験しておくべきだと思います。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.1 『模倣犯』 宮部みゆき

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 2位 : 黒い家 / 貴志祐介 】

 

黒い家 (角川ホラー文庫)黒い家 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介

角川書店 1998-12
売り上げランキング : 1941

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 これぞ、このランキングに相応しい、純粋に怖さを感じられるホラー作品です。

 特に自分の場合、よく見る怖い夢のパターンがそのまま出てきたかのようだったので、ホントに怖さがリアルに感じて、心臓バクバクいっちゃってましたから。

 だけど、上の「模倣犯」とは違って、もう一度読んでみたいと思わせるような、気持ちのいい怖さでしたけどね。ただ、現実では絶対に体験したくはないですねェ。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.12 『黒い家』 貴志祐介

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 1位 : 神様ゲーム / 麻耶雄嵩 】

 

神様ゲーム (ミステリーランド)神様ゲーム (ミステリーランド)
麻耶 雄嵩

講談社 2005-07-07
売り上げランキング : 139751

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 あの「黒い家」を差し置いて1位となってしまったのがこの作品です。

 「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」というシリーズの中の一冊で、装丁も挿絵も字の大きさも振り仮名も、子供向けに作られています。

 それでいて、中盤を超えた辺りで襲う衝撃の展開に、心臓を抜き取られてしまったかのように呆然としてしまうラストなど、とても子供には読ませてはいけないような作品に仕上がっているのですねェ。

 神と名乗る同級生(小学生)が出てきたりと全体的に不気味な雰囲気が漂っているのですが、そこにさらに衝撃的な恐怖が襲ってくるので、もうホントに“なんだこりゃ~!!”と狂乱してしまいそうなくらいの面白さでした。

 まあ詳しくは、下のリンクから感想記事を読んでみてください。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.38 『神様ゲーム』 麻耶雄嵩

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「本格!!ベスト5」


 【 100冊突破記念企画 】

  > 「驚いた!!ベスト5」 (08.6.26)
  > 「怖い!!ベスト5」 (08.6.29)
  > 「本格!!ベスト5」 (08.7.4)
  > 「熱い!!ベスト5」 (08.7.12)
  > 「とんでもない!!ベスト5」 (08.7.26)
  > 「作家!!ベスト5」 (08.8.13)
  > 「アクセス数!!ベスト5」 (08.9.2)

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月26日 (木)

「驚いた!!ベスト5」 > 「このミス」完全読破・100冊突破記念企画

「このミス」完全読破 100冊突破記念企画 第1弾


   >> 「 驚いた!!ベスト5」 <<

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「このミス」完全読破がついに100冊を突破したということで、それを祝う意味合いも込めて、その100冊の中から個人的嗜好に基づいて、項目別にベスト5を発表していきたいと思います。

 ちなみに、対象となる100冊について、および“「このミス」完全読破とは一体何なんだ?”といった基本的な部分については、 まとめページである「このミス」完全読破 読破本リストをご覧ください。

 そしてオープニングを飾るのは、これぞミステリ!!って感じの要素が盛り込められている作品揃いの「驚いた!!ベスト5」。つまりは、“世界観が一変するほどの驚きのトリック”“ラストでのアッと驚く種明かし”を持つ作品の個人的ランキングです。

 ただ、そういった作品は、“ラストでアッと驚くよ”ということを知るだけでそれがネタバレとなってしまう作品もあるわけで、そこら辺はご了承の上お読みください。

 まあ、その部分で有名な作品というのは、“ラストでアッと驚くよ”ということを知らない限り、作品自体を知ることもそうないでしょうからね。それに、自分がそのことを知った上で読んで、それでも面白かった作品しかランクインしていないので、その点は大丈夫なんじゃないでしょうか.....。

 ちなみに、「このミス」完全読破を始めた当初は完全なる“ミステリ初心者”だったため、読んだ時期によって理解度や好み、個人的評価の基準などが大きく変わってしまっていると思います。なので、その点もご了承ください。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 5位 : 向日葵の咲かない夏 / 道尾秀介 】

 

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫 み 40-1)向日葵の咲かない夏 (新潮文庫 み 40-1)
道尾 秀介

新潮社 2008-07-29
売り上げランキング : 2586

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 とにかくこの手の作品を書き続けている道尾秀介ですが、その中でも、驚きの面でもそれ以外の面でも自分が一番好きな作品がこの「向日葵の咲かない夏」です。

 小学生が主人公であるのに、終始不気味な雰囲気が漂っている作品なのですが、最後に真相が判明すると同時に、その不気味さ・おどろおどろしさ・狂気さというのが何倍にも膨れ上がるのです。まさに背筋がゾクゾクするほどの驚きでした。

 ゆえに、生理的な面で苦手に思うような人もいそうですが、自分的にはとても驚き、楽しめましたね。


  この作品の感想記事はこちら!!
    >> No.41 『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 4位 : 燃える地の果てに / 逢坂剛 】

 

燃える地の果てに〈上〉 (文春文庫)燃える地の果てに〈上〉 (文春文庫)
逢坂 剛

文藝春秋 2001-11
売り上げランキング : 195491

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 この作品は、主にスペインを舞台にした歴史もので、サスペンスやアクションの要素が多く、ミステリというよりはエンターテイメントな作品といった感じですね。かなり熱く燃えながら読んでました。

 ところが!なんとなんと、ラスト近辺に来たらアッと驚く衝撃の事実が明らかにされるんですねェ。そういう要素がある作品だとは全く知らなかっただけに、驚きは半端なかったです。

 というわけで、エンターテイメントな作品として楽しめるだけじゃなく、アッと驚く仕掛けも施されているので、なんとも贅沢な一品なのです。


  この作品の感想記事はこちら!!
    >> No.5 『燃える地の果てに』 逢坂剛

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 3位 :イニシエーション・ラブ / 乾くるみ 】

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)
乾 くるみ

文藝春秋 2007-04
売り上げランキング : 2204

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 ベスト3は、アッと驚く系の有名作品を挙げていくと必ず名前が出るくらいに鉄板な作品たちです。

 まず3位は、恋愛小説の形態を採っていると思いきや、最後の最後に驚きの事実が明かされ、そこで初めてミステリだったということが分かるという、なんとも異色のミステリです。死人どころか、事件すらも起きないということもあり、ミステリとしてはホントに異色なのです。

 そしてさらに異色なところは、読んでいる時以上に読み終わった後に次々と衝撃を受けることになるところにも表れています。まあとにかく全編が伏線状態なんで、“こんな所にも仕掛けが!?”って感じで2度目に読んだ時の方が面白いかもしれません。それゆえか、この記事へのアクセスも、「このミス」完全読破の記事の中ではかなり異例の多さとなっています。

 ただ、トリック自体は結構単純で、疑い深く読んでいると途中で解かっちゃう人も多いと思うので、なにも考えずに素直な心で読むことをお薦めしますね。


  この作品の感想記事はこちら!!
    >> No.68 『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 2位 : ハサミ男 / 殊能将之 】

 

ハサミ男 (講談社文庫)ハサミ男 (講談社文庫)
殊能 将之

講談社 2002-08
売り上げランキング : 3920

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 こちらも、アッと驚く系では代表作ともいえるほど有名な作品です。

 まあホントにこの最後の驚きというのが物凄い切れ味で、“うぁ~やられた~”って倒れてしまいそうでしたからね。

 トリック自体は単純なのかもしれないけれど、そこに至るまでが綿密に作られている感じで、そんな仕掛けの部分など全く気付かされず、見事なまでに騙されてしまいました。でもこの騙されっぷりが楽しいのですねェ。

 1位の作品もそうですが、様々なミステリを読んで知識を付けてしまうと“なんだこんなもんか~”となってしまうかもしれないので、ミステリ初心者にこそ読んでもらいたいですね。


  この作品の感想記事はこちら!!
    >> No.16 『ハサミ男』 殊能将之

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【 1位 : 葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午 】

 

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
歌野 晶午

文藝春秋 2007-05
売り上げランキング : 15502

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 「このミス」完全読破を始めようと思い、まず最初に読んだのがこの作品でした(それなのになぜNo.1じゃないのか、その訳はNo.1「模倣犯」宮部みゆきをご覧ください)。

 そして、最初に読んだのがこの作品じゃなければ、2年と数ヶ月の間に100冊も読むことにはならなかったのではないでしょうか。そのくらいに自分としては影響を受けに受けまくった作品なのです。

 ホントに「このミス」完全読破を始める前はミステリ小説などほとんど読んだことがなかったので、この作品を読んで“これがミステリ小説の面白さなのか!”と感動してしまったほどですからね。

 もしも「このミス」完全読破の第1号に選ばれていなくて、100冊近く読んだ今になって初読となっていたならば、捻くれた目線で読んでしまい、こんなに感動するまで驚くことはなかったかもしれません。

 だけど、第1号として読み、心からミステリの面白さを味わったのは、紛れもない事実ですからね。とにかく素直な目線であまり勘繰らずに読んで、ミステリの面白さを心から味わってみてください。


  この作品の感想記事はこちら!!
    >> No.2 『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「怖い!!ベスト5」


 【 “アッと驚くどんでん返し本” 関連記事 】

  > 「アッと驚くどんでん返し本読破ガイド No.601-800補完版」
    > 800冊突破記念企画 (15.4.30)

  > 「どんでん返し!ベスト5(2009-2014年版)」
    > 700冊突破記念企画 (14.1.9)

  > 「アッと驚くどんでん返し本読破ガイド No.401-600補完版」
    > 600冊突破記念企画 (13.5.21)

  > 「アッと驚くどんでん返し本読破ガイド No.201-400補完版」
    > 400冊突破記念企画 (10.12.15)

  > 「驚いた!!セレクション」 > 300冊突破記念企画 (10.3.24)

  > 「アッと驚くどんでん返し本読破ガイド」 > 200冊突破記念企画 (09.9.20)

  > 「驚いた!!ベスト5」 > 100冊突破記念企画 (08.6.26)


 【 100冊突破記念企画 】

  > 「驚いた!!ベスト5」 (08.6.26)
  > 「怖い!!ベスト5」 (08.6.29)
  > 「本格!!ベスト5」 (08.7.4)
  > 「熱い!!ベスト5」 (08.7.12)
  > 「とんでもない!!ベスト5」 (08.7.26)
  > 「作家!!ベスト5」 (08.8.13)
  > 「アクセス数!!ベスト5」 (08.9.2)

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月23日 (月)

『火車』 宮部みゆき > 「このミス」完全読破 No.100

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.100

 『火車』 宮部みゆき

   「このミス」1993年版 : 2位

   受賞(候補) : 「山本周五郎賞」受賞
            (「直木三十五賞」候補)

   総合ランキング : 「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 1位
              「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 2位
              「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 2位
              「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 5位位
              「本格ミステリ・ベスト100」 49位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位

   読始:2008.6.12 ~ 読終:2008.6.13

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1998年1月>

火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫)
宮部 みゆき

新潮社 1998-01
売り上げランキング : 1052

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 “「このミス」完全読破”を始めて2年と4ヶ月、とうとう100冊目を迎えることになりました。

 だいたい80冊を超えたくらいから100冊突破が現実味を帯びてきまして、記念すべき100冊目は一体何を読もう?と考えていたのですが、実際にはほとんど考えることなく決まったのです。

 それがこの「火車」なのですが、「このミス」の“20年のベスト・オブ・ベスト”で見事1位に輝いた作品なので、100冊目を飾るのにはこれ以上の作品はないですからね。

 “「このミス」完全読破”のオープニングを飾ったのも宮部みゆき作品だった(No.1「模倣犯」)ということもあり、この「火車」で100冊突破を祝うことにしました。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 職務中の怪我により休職している刑事が、(血縁的に)少し離れた親戚から“行方不明になった婚約者を探してほしい”という依頼を受け、あくまで一般市民として捜査を始める、というところから始まる話です。

 その婚約者に関しての情報というのは、最初の時点ではとても乏しく、探し出すのは大変困難に思えたのですが、その僅かな情報源を洗っていく中で、様々な人物と出会い、意外な真相とぶつかり、新たな情報を得るなどして、蜘蛛の糸を辿るかのように少しずつ真相に近づいていくのです。

 ほんの僅かな入口から遥かに離れた真相へと見事なまでに繋がっていく様は、読んでいてゾクゾクッとしてしまうほどでした。見事というしかないですからね。真相へと至る道だけでなく、その沿道にもあたるエピソードの数々もとても魅力的なので、より話の中心を走る道が際立って鮮やかに見えましたから。

 それだけ面白く読めたのに、個人的評価はそんなに高くなかったのは、やはり“20年のベスト・オブ・ベスト”の1位作品ということで、今までに読んだことのないようなとんでもなく凄い作品を期待して、読む前のハードルが高くなりすぎてしまったためでしょうかねェ。

 あと、作品のテーマの一つが、この作品が発表された当時は今ほどポピュラーな存在ではなかったからかな?つまりは、当時に読むのと今の時代に読むのとでは、受ける影響が少し違ってしまうのかな?って思ったのですが、どうなんでしょう?

 そしてこの作品の肝はやはりラストシーンだと思うのですが、読んでいた時には物足りなく思ったものの、しばらくして思い返してみたら、“これは物凄く格好良いエンディングだな~”と考え直しましたからね。このエンディングだったからこそ、これだけ評価の高い作品になったのではないでしょうか。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “宮部みゆき” 関連記事 】

  > No.715 「ペテロの葬列」

  > No.638 「桜ほうさら」
  > No.589 「ソロモンの偽証」
  > No.500 「魔術はささやく」
  > No.356 「小暮写眞館」
  > No.174 「英雄の書」

  > No.100 「火車」
  > No.083 「名もなき毒」
  > No.077 「誰か」
  > No.035 「龍は眠る」
  > No.001 「模倣犯」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「モザイク事件帳」 小林泰三

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月19日 (木)

『慟哭』 貫井徳郎 > 「このミス」完全読破 No.99

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.99

 『慟哭』 貫井徳郎

   「このミス」1994年版 : 12位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト100」 84位
              「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 93位

   年度ランキング :

   読始:2008.6.5 ~ 読終:2008.6.7

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1999年3月>

慟哭 (創元推理文庫)慟哭 (創元推理文庫)
貫井 徳郎

東京創元社 1999-03
売り上げランキング : 90994

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 この作品は、2つの話が並行して語られています。

 1つは、小学生を狙った連続誘拐事件を捜査するも、容疑者さえも見つからないほどに苦戦していて、なんとか犯人を捕まえようと悪戦苦闘し続ける警察の話。

 もう1つは、過去のある出来事が原因で心に穴が空いてしまった男が、精神的にさ迷い歩いた末に、宗教の世界へと嵌り込んでゆく話。

 このどちらの話もなかなか面白いのですが、その面白さの質というのがちょっとタイプが違っているので、とにかく飽きさせないですね。

 そして、こうやって全く違った話が交互に語られることからも想像できるように、そのうち両話に関連性が出てきて、だんだんと話が繋がってくるわけです。それがわかった上でもかなり楽しめました。なんか糸が絡まるかのように両話が次第に繋がっていく様は、ゾクゾクするほどでしたからね。

 というわけで、まだこの作品を読んでいない方は、この記事を読むのはここまでにして、続きは作品自体を読み終わった後で目を通すようにしてください。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 それではここからは、あくまでこの作品をすでに読破した人向けに。

 まあやっぱり最後に“世界観が変わるほどの驚き”があるということで有名な作品だし、自分もそれが楽しみで読んでみたのです。

 なので、そのことを常に念頭において読んでいたわけですが、そうやって読んだ末に至る結末としては、充分想像出来たものだったんですよねェ。さらに裏をかくのか?と思いきや、そのままだったし。

 ただ、この作品を“世界観が変わるほどの驚き”があると知らないで読んでいたならば、そこに至るまでの2つの話だけでもなかなか面白かっただけに、さらに最後にこんな驚きの仕掛けが用意されているとは!!とかなり驚愕し、衝撃を味わったと思うのです。

 だからこの作品は、決して“世界観が変わるほどの驚きのトリック”がメインにあるのではなく、あくまで作品を面白くするための趣向の一つでしかないんじゃないでしょうかね。少なくとも自分はそう思いました。

 ですから、驚きのトリックをメインとして読んでしまったために、個人的評価の方はそんなに高くはなりませんでしたが、ただそこに至るまでの展開や、2つの話が次第に絡み合っていく感じなど、充分に楽しめたことは確かです。なので余計に、“最後にアッと驚く”ということを知らずに読みたかったな~って思っちゃいますねェ。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★        読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “貫井徳郎” 関連記事 】

  > No.767 「私に似た人」
  > No.666 「ドミノ倒し」
  > No.605 「灰色の虹」

  > No.569 「微笑む人」
  > No.556 「新月譚」
  > No.337 「明日の空」
  > No.237 「乱反射」
  > No.099 「慟哭」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「火車」 宮部みゆき

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月16日 (月)

生誕29周年の「キン肉マン」が週刊少年ジャンプに復活!

080616


 週刊少年ジャンプの40周年企画と連動する形で、今年で生誕29(ニク)周年となるあの「キン肉マン」の読み切り作品が、なんと21年ぶりに週刊少年ジャンプに掲載されました!!

 キン肉マンが連載されていた当時、自分は小学生でして、のめり込むようにハマって自発的に単行本などを集めるようになった最初の漫画なんじゃないですかね。他にも当時好きになった漫画はいくつかありますが、その中でも群を抜いて1番なのがこのキン肉マンなのです。

 キンケシもたくさん集めましたからね~。友達と紙相撲の要領でよく遊んだもんです.....。サンシャインの凱旋門ヴァージョンのが強かったような....。

 それで当時は完全なる単行本派でして、ジャンプ本誌は旅行した時とか風邪を引いた時なんかにたま~に買ってもらって読んだくらいたったので、ジャンプ本誌に掲載されてたキン肉マンは、物凄く印象に残っているのですよね。やはり単行本とはページの大きさも、紙の質も、そして紙面から受ける印象も大きく違うように感じていたので。

 そんなこともあり、今回久々にジャンプでこのキン肉マンを読んでみたら、20年近く前のジャンプを読んでいるようでもあり、はたまた自分自身が20年近く前に戻ってしまったようでもありで、なんだか不思議な時空の間にはまり込んじゃったようでした。

 まあとにかく懐かしかったし、こんな感じを味わうことが出来て嬉しかったですね。これで35号に掲載される「キャプテン翼」の読みきりの方もより楽しみになってきちゃいました。

2008年6月15日 (日)

『ソロモンの犬』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.97

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.97

 『ソロモンの犬』 道尾秀介

   「このミス」2008年版 : 35位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 13位

   読始:2008.6.3 ~ 読終:2008.6.3

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2007年8月>

ソロモンの犬 (文春文庫)ソロモンの犬 (文春文庫)
道尾 秀介

文藝春秋 2010-03
売り上げランキング : 23732

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 道尾秀介作品は、最初に読んだNo.41「向日葵の咲かない夏」は凄い面白かったんだけど、続いて読んだNo.49「シャドウ」No.58「片眼の猿」は面白かったとはいえちょっと期待外れで、特に「片眼の猿」なんかは“「このミス」完全読破”の中で唯一の★1つ評価だったりするのです(これを書いている時点で)。

 とはいえ、★評価とその作家が好きかどうかというのは、そのままイコールになるほど単純なものでもないのですよね。この道尾秀介作品にしても、アッと驚く仕掛けが自分的に爆発するか不発弾に終わるか、という部分での楽しみもあって、当たり外れはあるけどトータルで見るとやっぱり好きな作家の一人なのです。

 なので、残念ながら「このミス」にランクインしませんでしたが、それとは関係なくこの「ソロモンの犬」を読んでみたわけです。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 そして内容の方は、大学生の男女4人組を中心とした青春ミステリで、ある事故をキッカケにしてそれまでの様々な関係が形を変えていき、そうした中で驚くべき真相へと近づいていくのですが、やはりラスト前には読み手をアッと驚かすような仕掛けが施されていました。

 それで今回は素直に驚くことができ、作品全体としても「向日葵の咲かない夏」とは違った種類での面白さを感じたのですが、それではちょっとイマイチに感じた「片眼の猿」と今作とでは何が違かったのか?ということを考えてみました。

 それはたぶん、この“仕掛けとその伏線”以外の部分でどれだけ楽しめたか、にあるんだと思うのです。「片眼の猿」の場合はその部分がそんなに惹かれるほどではなかったため、仕掛けの部分が強調されて目に映ったために、そこにあざとさを感じてしまったのではないかと。

 そして今回の「ソロモンの犬」の方は、仕掛け以外の部分がとても面白かったので、仕掛けをそんなに気にすることなく読み進めることができ、よって仕掛けに素直に驚くことができて、全体的にも面白く感じたのでしょう。

 というわけで、やっぱり「このミス」にランクインしたかどうかと、自分が好きな作品かどうかというのは、そのままイコールになるほど単純なものでもないってことですね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “道尾秀介” 関連記事 】

  > No.947 「サーモン・キャッチャー the Novel」
  > No.827 「透明カメレオン」
  > No.749 「貘の檻」

  > No.682 「鏡の花」
  > No.617 「笑うハーレキン」
  > No.583 「ノエル -a story of stories-」
  > No.546 「光」
  > No.498 「水の柩」

  > No.432 「カササギたちの四季」
  > No.396 「月と蟹」
  > No.340 「月の恋人~Moon Lovers~」
  > No.312 「蝦蟇倉市事件 1」
  > No.311 「光媒の花」

  > No.294 「球体の蛇」
  > No.233 「花と流れ星」
  > No.186 「龍神の雨」
  > No.169 「鬼の跫音」
  > No.121 「ラットマン」

  > No.117 「カラスの親指」
  > No.097 「ソロモンの犬」
  > No.058 「片眼の猿」
  > No.049 「シャドウ」
  > No.041 「向日葵の咲かない夏」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」 打海文三

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月14日 (土)

『この闇と光』 服部まゆみ > 「このミス」完全読破 No.88

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.88

 『この闇と光』 服部まゆみ

   「このミス」2000年版 : 12位

   受賞(候補) : (「直木三十五賞」候補)

   総合ランキング : 「厳選!バカミスベスト100」 選出

   年度ランキング :

   読始:2008.4.22 ~ 読終:2008.4.24

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <1998年11月>

この闇と光 (角川文庫)この闇と光 (角川文庫)
服部 まゆみ

KADOKAWA/角川書店 2014-11-21
売り上げランキング : 155623

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 “「このミス」2000年版”というほどほどに前にランクインした作品で、しかも順位は12位で、さらにはこの作者が「このミス」にランクインしたのはこの作品が唯一、ということで、今の時代から思うと少々地味な印象を持ってしまいます。

 ところが、この本を手にしてみればわかるのですが、カラフルな色使いをシックにまとめ、さらに左上の角を切り落とすという大胆な装丁(文庫版は違うようですが)が施された表紙なので、派手になりすぎない程度の美しい本に仕上がっているのです。

 それもそのはず、この作者は元々は銅版画家で、国際的な賞をとるほどの人なのですが、自作の本の装丁も自らが手掛けているのですねェ。なので、表紙を見るだけでも価値がありますからね。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 そして内容の方は、お城のようなところに幽閉されているらしい女の子の話なのですが、その女の子というのは盲目で、しかもその女の子の目線で書かれているので、冒頭から“これは何か仕掛けがあるな”というのは凄い感じてしまいます。

 だけど、その女の子の目線というのは“見えない目線”で、しかもそれは読んでいる自分の目線にもなるわけで、とても不安定な状態で読み進めることになるので、仕掛けがあるのがわかっていながらも、それを勘ぐることなどなく、この作品世界へとドップリと入り込んでゆくことになるのです。

 そしてやはり驚くべき仕掛けがあり、その後の展開にも目が離せなくなるのですが、やはり女性の書いた作品だからか、この本の装丁同様に作品全体から崇高で絢爛としたものが感じられました。まさに本の中身も外見も“芸術作品”といった趣きで。

 なので、アッと驚くトリックを楽しむのもよし、この妖美な作品世界を楽しむのもよし、といったところですね。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★        読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「心臓と左手」 石持浅海

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月13日 (金)

『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』 打海文三 > 「このミス」完全読破 No.98

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.98

 『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』 打海文三

   「このミス」2009年版 : 25位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.6.4 ~ 読終:2008.6.4

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2012年9月>

ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)
打海 文三

光文社 2010-01-13
売り上げランキング : 450520

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 この作品の作者・打海文三は、昨年11月に心筋梗塞のためお亡くなりになられました。

 生前に書いていた未発表作品は2作あるそうで、その一つが「裸者と裸者」「愚者と愚者」に続く人気シリーズ完結編「覇者と覇者」なのですが、残念ながらこの作品は五分の四までしか書かれていないため、結局未完のまま終わることとなってしまいました。

 そしてもう一つがこの「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」なのですが、この作品はブログにて連載されていたもので、最後まで書かれているので、この作品が唯一の完成された遺作となるのでしょう。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 そして内容の方は、小学生の頃から兄弟のように育った男女が、一旦別れた後に大人になって再会すると、手を繋いで歩いたりするくらいに仲が良いのに恋人にはならないという不思議な関係となります。そんな中で売れっ子女流作家と知り合うのですが、そこからこの3人を中心とした日常的なストーリーが始まっていくのです。

 この3人の関係というのが、話が進むにつれて精神的な繋がりが堅くなってゆくのがわかって、読んでいてとても穏やかで微笑ましくなってくるようです。そんな流れの中で、突如として背筋の凍るような衝撃的な事故が何度か起きるのですが、それまでの穏やかな日常とのギャップが大きすぎて、なんか凄い衝撃を受けてしまいましたね。

 そして話も後半に入ってくると、ある事故をキッカケにして3人の関係も徐々に壊れていくのですが、それと時を同じくして、物語の中の世界もだんだんと壊れていき、登場人物たちも壊れていき、作品全体も壊れていくような、衝撃の連鎖が起きてしまうのです。これなんかも、前半部分とのギャップが凄すぎて、抵抗する間もなく混沌の渦に飲み込まれてしまったようでした。

 そして賛否激しく分かれそうなエンディングに突き進んでゆくのですが、この前半のゆったりした感じも、後半の得体の知れぬパワー溢れる怒涛の展開も、そしてラストの不思議な感じも、自分的には凄く好きでしたね。なんか終始圧倒されっぱなしでした。

 それにしても、遺作がこんなにとんでもなく爆発的な作品だとは、ホントに驚いてしまいましたねェ。もう新作を読めないのは寂しいですが(「覇者と覇者」は未完のまま発売されるという噂も?)、自分はこれが打海文三に初めて触れた作品なんで、これまで残してきた作品を楽しみに読んでいきたいと思います。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★★   感涙ウルウル度 : ★★★★
   衝撃バカミス度 : ★         読み終り爽快度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「慟哭」 貫井徳郎

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月12日 (木)

『犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題』 法月綸太郎 > 「このミス」完全読破 No.96

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.96

 『犯罪ホロスコープI (1) 六人の女王の問題』 法月綸太郎

   「このミス」2009年版 : ランク外

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 17位

   読始:2008.5.30 ~ 読終:2008.6.2

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : ノベルス <2008年1月>

犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)
法月 綸太郎

光文社 2010-07-08
売り上げランキング : 223320

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 この作品は、黄道十二星座に関連する事件を解決していく連作短編集「星座シリーズ」の第一作で、今作では前半の牡羊座・牡牛座・双子座・蟹座・獅子座・乙女座の6作品が収録されています。

 これらの星座ごとに、起源となったギリシャ神話にまつわる謎や事件が起こるのですが、小学生の時に星座やギリシャ神話が好きだった自分にとってはとても興味深く、懐かしく、新鮮な驚きがあって面白かったですね。

 そして、事件・謎と星座・神話との関わり方が話によって変わっているので、星座ごとに飽きることなく読み進めることができました。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 その事件の謎というのは、専門知識がないと解けないような種類のものが多いため、読みながら謎を解くというよりは探偵による事件の謎の解きっぷりを眺めて楽しむ、って感じでしょうかね。あたかも天空に広がる星座の群れを眺め楽しむかのごとく.....。

 だけど、この中の何篇かは「懸賞付き犯人当て小説連載企画」として雑誌や新聞に掲載されたもので、結構正解率が高かったようなので、“事件の謎の解きっぷりを眺めて楽しむ”なんて言っちゃうのは、自分の推理力のなさをわざわざひけらかせている様で、ちょっと恥ずかしいですかねェ。

 まあ、こういったコンセプトのある連作短編集というのは、その工夫を凝らしている感じを味わうだけでも面白いですからね。さらにこの作品は個人的に懐かしの“星座”が題材となっているわけですから、もう最高でした。ちょっと言い訳じみてるところがこの作者らしいあとがきもなんとも味わい深いですし。

 というわけで、まずは自分の星座の話から読んでみてはいかがでしょうか(まあ後半の星座の人はNo.644「犯罪ホロスコープII」の発売まで待たねばなりませんが)。


  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “法月綸太郎” 関連記事 】

  > No.924 「挑戦者たち」
  > No.843 「怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関」
  > No.659 「ノックス・マシン」
  > No.644 「犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題」
  > No.542 「頼子のために」

  > No.511 「キングを探せ」
  > No.281 「密閉教室」
  > No.096 「犯罪ホロスコープI 六人の女王の問題」
  > No.042 「怪盗グリフィン、絶体絶命」
  > No.004 「生首に聞いてみろ」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「ソロモンの犬」 道尾秀介

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月11日 (水)

『生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術』 泡坂妻夫 > 「このミス」完全読破 No.95

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.95

 『生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術』 泡坂妻夫

   「このミス」1996年版 : 17位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 35位
              「本格ミステリ・ベスト100」 89位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 5位

   読始:2008.5.29 ~ 読終:2008.5.30

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1994年11月>

生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)
泡坂 妻夫

新潮社 1994-10-28
売り上げランキング : 121

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 この作品は、物凄く大掛かりな仕掛けが施されています。

 といっても、作中のトリックや謎が凝ってたり、真犯人が思いっきり意外な人物だったり、世界観がガラリと変わるような驚きがあったり.......、といった種類の仕掛けではないのですけどね。

 というのもこの本は、なんと驚くことに、中身は15ページごとに袋とじになっていまして、そのまま表に出ている部分だけを読んでいくと、短編小説として楽しむことができるのです。

 そしてその後に袋とじを開けた状態で読んでいくと、今度は長編小説として楽しむことができるのですが、もちろん袋とじを開ける前に短編として読んだページも長編部分に組み込まれているわけで、しかも短編で読んだ時と全く同じページであるのにも関わらず、その場所も人物も状況も、その世界そのものが全く違う意味合いを持っているのですから、これにはかなり驚きましたねェ。

 まあさすがに、短編小説として読んだ時にはページとページとの繋がりに違和感があったりもするし、ミステリとしてのストーリーやトリックとしてはそれほど驚くほどのものはないのですが、やはり本自体に施されたこの仕掛けをこうして作品として完成させてしまったことに感動してしまいますからね。ホントに素晴らしすぎでした。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ちなみにこの本は、やはりこれだけ凝った作りのため、小さな製本屋が手作業で作っていたそうで、したがって部数もあまり出なかったそうです。

 しかしその製本屋は今ではなくなってしまって、その他の製本屋は全て機械で綴じているそうなので、この作品は現在絶版となってしまっているのです.....。

 となると、この作品を読むことが出来るのは、古書店で見つけるか、図書館で借りるしかないのですが、どちらにしても袋とじは開けられた状態にあるのは避けられず、しかもどの部分が袋とじだったのか判別できないし書いてもいないので(親切な図書館とかっだたら書いてあるかもしれないけど)、本を手にしたとしても長編小説としてしか楽しむことが出来ないのが現状なのです。

 なので、“このページ順に読んでいけば短編小説として読むことができますよ”という「短編小説としての読み方」をここに書いておきたいと思います。


 【これが「生者と死者」の短編小説としての読み方だ!】

  *このページ順に読んでいってください(数字はページ数)

 161732334849646580819697112113
  → 128129144145160161176177192193208


 * 後日追記:2013年末にめでたく復刊となりました。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★         主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★         人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★★   読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “泡坂妻夫” 関連記事 】

  > No.714 「毒薬の輪舞」
  > No.590 「泡坂妻夫引退公演」
  > No.447 「黒き舞楽」

  > No.410 「びいどろの筆」
  > No.270 「鬼女の鱗」
  > No.258 「奇跡の男」
  > No.095 「生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術」
  > No.029 「奇術探偵曾我佳城全集」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「犯罪ホロスコープI」 法月綸太郎

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月10日 (火)

『魍魎の匣』 京極夏彦 > 「このミス」完全読破 No.94

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.94

 『魍魎の匣』 京極夏彦

   「このミス」1996年版 : 4位

   受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞

   総合ランキング : 「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 3位
               「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 4位
               「二十世紀傑作ミステリーベスト10」 6位
               「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 9位
               「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 20位
               「厳選!バカミスベスト100」 選出

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
               「ベストSF1995」 6位

   読始:2008.5.23 ~ 読終:2008.5.28

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1999年9月>

魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)
京極 夏彦

講談社 1999-09
売り上げランキング : 13849

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「京極堂シリーズ」(または「妖怪シリーズ」)の第2作にして最高傑作との呼び声も高いこの「魍魎の匣」を、ついに読んでしまいました。なんといっても、“「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト”でも3位にランクインするほど、いまだに評価の高い作品ですからね。期待はいやが上にも高まってしまってました。

 前作のNo.66「姑獲獲の夏」は、始めの方に薀蓄話がこれでもかと言わんばかりに続いていたので、ちょっと挫折しそうになったのですが、今作の方は、最初から話の中に吸い込まれていくようにテンポよく読み進めることができました。

 妖しげな雰囲気が漂う中で、妖しげな事件が起こって、妖しげな人物が次々に登場してきて、妖しげな世界へと導かれてゆく......。

 そんな一連の出来事に対して、前作にも登場した関口・榎木津・木場を始めとしたレギュラー陣が、それぞれ別々の角度から関わることになるのですが、申し合わせた訳でもないのに続々と京極堂の元に集まってくる場面では、役者が揃った!って感じで思わず拍手喝采を浴びせたくなるほどに、かなりの盛り上がりでしたねェ。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 まあ、薀蓄話は今作も相変わらずなんですけど。京極堂の登場と共に当たり前のようにやって来ました。だけど、今回は事前に覚悟していたせいか、苦痛というよりも逆に面白く読むことができましたね。それに、この薀蓄話がラストの謎解きに大きく関わってくるので、これを読んだかどうかでこの作品に対する理解度は大きく変わってしまいますから、やはり重要な役割を担っているのです。

 そのラストの謎解き部分も、やはりこのシリーズ独特の妖しさ全開で、もう常識の枠など吹き飛ばすくらいに奇想天外な事実が怒涛のように暴かれてゆくのですが、それでいてしっかりと現実的な本格ミステリにもなっているのですから、まさにあらゆる面で完成度の高い、とんでもない作品でした。


 それで前作「姑獲鳥の夏」の感想で、「“これは★5つか!?”とも思ったのですが、続くシリーズ2作目「魍魎の匣」が“シリーズ最高傑作”であるようなので、この作品に対する期待も込めて、ここは★4つにしておきました」と書いたので、ちょっとこの両作を比べてみたいと思います。

 「魍魎の匣」は、やはり最大級の評価を受けているだけあって、奇妙な事件を辿るストーリーや、オカルト的世界観や、本格ミステリ的謎解きなどが、見事なまでに融合され、一分の隙もない傑作に感じられました。

 ただ、自分としては、そういったきっちりとしたものよりも、「姑獲鳥の夏」のような「荒削りなんだけど有無をいわせぬほどに迫力ある怒涛の展開」「良くも悪くも“なんだこりゃ~!!”な世界」の方が好みなんですよね。

 なので、この「魍魎の匣」を★4つ評価にし、「姑獲鳥の夏」の方は★4つから★5つの満点評価に変更してしまいました。ただ、この2作を比較したうえでこんな評価になったのですが、でも「魍魎の匣」の方もとてつもなく面白かったことは事実なんで、後でこっそり★5つに変えているかもしれません......。

(後日追記)
 この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★      おどろおどろ度 : ★★★★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “京極夏彦” 関連記事 】

  > No.716 「書楼弔堂 破暁」
  > No.354 「死ねばいいのに」
  > No.300 「数えずの井戸」
  > No.094 「魍魎の匣」
  > No.066 「姑獲獲の夏」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「生者と死者」 泡坂妻夫

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月 9日 (月)

『女王国の城』 有栖川有栖 > 「このミス」完全読破 No.93

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.93

 『女王国の城』 有栖川有栖

   「このミス」2008年版 : 3位

   受賞(候補) : 「本格ミステリ大賞」受賞

   総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト10(1997-2016)」 9位
              「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 78位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 1位
               「本格ミステリ・ベスト10」 1位
               「黄金の本格ミステリー」 選出

   読始:2008.5.12 ~ 読終:2008.5.17

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2007年9月>

女王国の城 上 (創元推理文庫)女王国の城 上 (創元推理文庫)
有栖川 有栖

東京創元社 2011-01-26
売り上げランキング : 13177

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「探偵江神」シリーズ(または「学生アリス」シリーズ)もこれで第4作目、最新作を読むことになりました。

 そしてこの作品は、前作No.81「双頭の悪魔」から15年という長い年月を経て発表された待望の作品なのですが、自分としてはその前作「双頭の悪魔」を読んでから1ヶ月ほどしか経っていないので、この“15年ぶり”という重さを実感することは残念ながら出来ないのです。

 ただ、今作が発表されるまで15年もの間があったとはいえ、作中では前作から数ヶ月しか経っていないわけで、しかもその当時の世相を反映するような会話や逸話が出てきたりもするので(なにより携帯電話が使われていないってとこで時代が感じられます)、“15年ぶり”という重さは知らず知らずのうちに実感していたりするのですけどね。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 そしてこのシリーズは“正統派の本格ミステリ”として人気を博しているのですが、本格要素以外(ストーリーとかキャラクターとかアクションシーンとか)における面白さというのが、前作の「双頭の悪魔」以上でしたね。なので、実際に事件が起きて推理が始まるまでが結構長いのですが、そんなことは気にならないくらいに話の中にのめり込んでしまいました。

 それで今作もこのシリーズお馴染みの「読者への挑戦」が出てくるのですが、本格要素以外の部分も面白く読み進めていたために、あまり自分で推理していなかったので、そのトリックには単純に驚くことが出来ました。

 ただ今回はこの“本格ミステリ的謎やトリック”以外にも、作品全体にはっきりとした形ではないんだけどなんかモヤモヤした感じでの謎があるのですが、そっちの謎の方も最後にスッキリと解決されるのです。自分としては、こっちの謎が解明された時の方が驚いちゃいましたね。


 この「探偵江神」シリーズは、全5作で完結させる構想のようなので、次作がシリーズ最終作となる可能性が高そうです。そして今回で4作全て読み終えることが出来たので、記念すべき最終作はリアルタイムで読むことが出来そうです。

 だけど、今度は何年くらい間が開いてしまうのか心配ではありますねェ。さすがに十何年は長すぎるので、それでもあんまり早くても有り難味が薄れてしまいそうなので、ほどよい時期に発表されるといいですね。今から楽しみです。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “有栖川有栖” 関連記事 】

  > No.959 「狩人の悪夢」
  > No.853 「鍵の掛かった男」

  > No.727 「江神二郎の洞察」
  > No.677 「論理爆弾」
  > No.503 「真夜中の探偵」
  > No.422 「長い廊下がある家」
  > No.355 「闇の喇叭」

  > No.216 「赤い月、廃駅の上に」
  > No.093 「女王国の城」
  > No.081 「双頭の悪魔」
  > No.067 「孤島パズル」
  > No.061 「月光ゲーム」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「魍魎の匣」 京極夏彦

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月 8日 (日)

『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』 歌野晶午 > 「このミス」完全読破 No.92

このミステリーがすごい!」完全読破 No.92

 『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』 歌野晶午

   「このミス」2009年版 : 0票

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.5.13 ~ 読終:2008.5.16

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : ノベルス <2007年11月>

舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (光文社文庫)舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (光文社文庫)
歌野 晶午

光文社 2010-07-08
売り上げランキング : 404736

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 なんとも気の抜けたタイトルですが、中身の方も、作者自らが「ゆるミス」と名付けるほどの、11歳の女の子が探偵を務めるなんとも気の抜けた内容です。

 .....というように書くことになるかと思っていたのですが、これが意外とちゃんとした本格ミステリに仕上がっていたのですよね。

 タイトルはこんなですが、別に11歳の女の子が探偵を勤めるのではなく、叔父である刑事が事件の謎を解いていくという、オーソドックスともいうべき連作短編集でした。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 それでこのタイトルにもなっている小学生の女の子が、叔父が頭を悩ませている謎について、無自覚なのか自覚しているのかわからない形でヒントを与えていくのですが、このやり取りがなんともユルくて、これこそが「ゆるミス」と称される所以なのです。そしてこの部分こそが、この作品の大きな魅力でもあるわけですねェ。

 事件解決に向けた刑事としての熱く緊迫した場面と、叔父としての姪や兄とのユルいやり取りの場面のギャップがまた面白いし、そんな対称的な場面がいつしか重なり合って事件解決へと導かれる様などは、思わず唸ってしまうような上手さを堪能できました。

 歌野晶午といえば、No.2「葉桜の季節に君を想うということ」No.50「密室殺人ゲーム王手飛車取り」のようなアッと驚く仕掛けを期待してしまいがちですが、こういったほのぼの系のミステリもなかなか良いもんですねェ。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★         主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★          感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “歌野晶午”関連記事 】

  > No.786 「ずっとあなたが好きでした」
  > No.636 「コモリと子守り」
  > No.614 「舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵」
  > No.491 「春から夏、やがて冬」
  > No.481 「密室殺人ゲーム・マニアックス」

  > No.226 「密室殺人ゲーム2.0」
  > No.218 「絶望ノート」
  > No.092 「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
  > No.050 「密室殺人ゲーム王手飛車取り」
  > No.002 「葉桜の季節に君を想うということ」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「女王国の城」 有栖川有栖

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月 5日 (木)

『君の望む死に方』 石持浅海 > 「このミス」完全読破 No.91

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.91

 『君の望む死に方』 石持浅海

   「このミス」2009年版 : 42位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 13位

   読始:2008.5.8 ~ 読終:2008.5.9

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : ノベルス <2008年3月>

君の望む死に方 (祥伝社文庫)君の望む死に方 (祥伝社文庫)
石持 浅海

祥伝社 2011-09-01
売り上げランキング : 55267

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 “「このミス」2009年版”対象作品を読むのもこれで4作目。順調に読み進めているのですが、果たして読んだうちのどれだけの本がベスト20にランクインするのか、かなり気になってしまいます。

 ただこの作品に限っては、ランクインする可能性は結構高いんじゃないですかね。というのも、「このミス」2006年版の2位となったNo.37「扉は閉ざされたまま」の続編に当たる作品だからなのです。(後日追記 : 結果は残念ながらランクインせず.....)

 続編といっても、主人公は前作と共通しているものの、舞台も主要人物も全く違うので(中には引き続き出演している人物も一応いるけど)、前作を読んでいなくとも楽しめると思います。

 だけど、前作と関連した話題ややり取りもないことはないし、実は核心部分においてちょっと触れられたりもするので、前作を読んでいた方がより楽しめるのは間違いありません。ってかまあその前作は2位にランクインするほどに評価された作品なので、まずはそちらから読むべきだとは思うのですが。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 そしてこの作者特有の“捻くれた設定”は相変わらずで、今回は、犯罪が起こる前の段階での、犯人や探偵役やその場に関わっている人たちについて描かれているのです。

 しかもその犯罪というのも、“相手に自分を殺させようとする計画”なので、被害者(予定)が加害者(予定)のためにトリックを用意していたり、犯行を行いやすくするための仕掛けを作っていたりするので、この設定にしても捻くれまくっていますからね。

 だけど、終着点(犯罪を起こす瞬間)が予めはっきりと定められているので、そこに至るまでにどのような経緯を辿っていくのか、という興味の軸はわかりやすくしっかりとしているので、全く興味を失うことなく読み進めることができました。

 それに、犯罪が起こるまでの犯人や探偵役の心理というのが事細かに描かれているので、まさに自分が犯人役・探偵役になっているかのようなリアルさがありましたね。

 そしてやはり、犯罪が行われる前にいかにしてその犯罪を見抜くのか。これも非常に興味深かったし、実際の見抜き方も素晴らしかったです。


 ただ、この作品は“本格ミステリ”を少しはかじった人じゃないと本当の面白さはわかりにくいかもしれません。自分は最近になって“本格ミステリ”の面白さがわかったので、この作品も充分楽しめましたが。

 一方、まだ“本格ミステリ”の面白さに気付いていなかった頃に読んだ前作「扉は閉ざされたまま」の感想記事を改めて読んでみたら、この作品の面白いところを上手いこと書いてあったものの、やはりホントの意味での面白さは感じることが出来ていなかったのだろうし、それは★2つと評価があまり高くなかったことからもわかります(まあ★2つでも“面白い!”という評価ではあるのですが)。

 だけど今この作品を読めば、前に読んだ時には気づくことが出来なかった面白さがわかるはずだと確信できますからね。つまりは、読むタイミングというのが大事ということです。

 だからといって避けて通っていてはいつまでたっても面白さを理解できないままになってしまうので、あんまりそういったことは気にせずに、とにかく読まず嫌いをなくして偏りなく読んでいくのが一番良いのかも。ってどんなジャンルであっても問題なくOK!となった今の自分にはあまり関係ないことではありますが。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★         おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★         主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “石持浅海” 関連記事 】

  > No.869 「罪人よやすらかに眠れ」
  > No.755 「二歩前を歩く」
  > No.687 「三階に止まる」
  > No.634 「フライ・バイ・ワイヤ」

  > No.558 「トラップ・ハウス」
  > No.544 「玩具店の英雄 座間味くんの推理」
  > No.509 「彼女が追ってくる」
  > No.484 「人面屋敷の惨劇」
  > No.465 「ブック・ジャングル」

  > No.389 「撹乱者」
  > No.383 「見えない復讐」
  > No.350 「この国。」
  > No.297 「リスの窒息」
  > No.293 「君がいなくても平気」

  > No.112 「耳をふさいで夜を走る」
  > No.091 「君の望む死に方」
  > No.089 「心臓と左手 座間味くんの推理」
  > No.070 「月の扉」
  > No.037 「扉は閉ざされたまま」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒
         「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」 歌野晶午

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月 4日 (水)

『もう誘拐なんてしない』 東川篤哉 > 「このミス」完全読破 No.90

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.90

 『もう誘拐なんてしない』 東川篤哉

   「このミス」2009年版 : ランク外

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 9位

   読始:2008.4.9 ~ 読終:2008.5.7

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年1月>

もう誘拐なんてしない (文春文庫)もう誘拐なんてしない (文春文庫)
東川 篤哉

文藝春秋 2010-07-09
売り上げランキング : 11535

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 No.85「流星の絆」東野圭吾でも書いたように、今までみたいに「このミス」にランクインした作品を読み漁るだけでなく、対象となる「このミス」が発表される前に読んで“この作品が上位に入ったか~” “これがなぜランクインしないの?”っていう楽しみ方もしてみたいと思ったのです。

 そんな中で読んでみたのがこの作品なのですが、置いてない書店の方が多い感じなんで、ランクインはどうなんでしょうねェ。でも評判は良いみたいですからね。(後日追記 : 結果は残念ながらランク外でした。でも「早ミス」の方ではベスト10入り!)


 それで内容の方は、とにかく軽いですね。文調もキャラクターもストーリーもなにからなにまで軽くて。ちょい寒系のギャグも所々に入ってきて、あらゆる局面でボケとツッコミが炸裂しまくっているので、漫画的な感じです。

 なので、真面目に小説を読みたいような方ならドン引きしてしまいそうですが、それ以外の人ならばかえって気楽に楽しく読めて良いんじゃないでしょうかね。このバカバカしいようなノリに、いつしかハマってしまっているかもしれません。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ストーリー的には、まあ簡単に言っちゃえば“狂言誘拐”を巡って珍道中が行われるわけですが、これがまた軽いノリで、先の展開が想像つきません。

 でも軽いノリと言っても、登場人物達はとにかく必死になって動き回っていて、特に主人公なんかは冒頭からラストまでとんでもない目に合いまくっているほどなので、読んでいて微笑ましくもあるのですけどね。だから“軽いノリ”といっても、“軽薄”のような悪い意味ではなく、この作品の魅力となっている“軽いノリ”ってとこですね。

 ところが、そんな風にこっちまで軽いノリで読んでいると、いつのまにやら本格ミステリの世界に浸っているのですねェ。これには驚きました。

 だけど、これに関しては全く意識せずに、あくまで“軽いノリ”で読んでいった方がいいのですけどね。でも最後にはキッチリとした“本格ミステリ”が待ち受けているので、そこは安心して読み進めていってください。

 そして読み終わったら、“良い見っけもんだったなぁ”と思えるはずです。
.
.
.
  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度 : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “東川篤哉” 関連記事 】

  > No.709 「探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2」

  > No.599 「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」
  > No.518 「謎解きはディナーのあとで 2」
  > No.433 「放課後はミステリーとともに」
  > No.421 「謎解きはディナーのあとで」
  > No.090 「もう誘拐なんてしない」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「君の望む死に方」 石持浅海

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年6月 3日 (火)

週刊少年ジャンプ新連載! 「どがしかでん!」 濱田浩輔

どがしかでん! 1 (ジャンプコミックス)どがしかでん! 1 (ジャンプコミックス)

集英社 2008-11-04
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 今クールの新連載は2作のみなのですが、一方が2週連続巻頭カラーという類をみないド派手なスタートとなった「トリコ」 島袋光年なだけに、もう一方の新連載である「どがしかでん!」は、ちょっと地味でおざなりな当て馬的存在に思ってしまいますね。

 しかし、意外とそんな感じであまり期待されずに始まった作品の方が、結果的に長く連載されてしまったりするもんですからね。まあ今クールの2作に関しては、両作ともに長く続くような作品になってくれれば嬉しいのですが。


 それでこの「どがしかでん!」は、タイトルからしたらどんな漫画かさっぱりわかりませんが、バスケットボールを題材としたスポーツ物なのです。

 ジャンプでバスケというと、もう言うまでもなく「スラムダンク」という先駆者がいるわけで、どうしても比較対象とされてしまうのは仕方がないことなのですが、その先駆者があまりに偉大すぎる存在なために、かなりの重圧となってしまうのではないかという不安もあります。

 ただ第1話を読んでみた感じでは、絵柄も雰囲気も全く別物だし、同じバスケを題材としているけれど、それほど先達と比較されたり意識されたりっていう感じではなさそうですかね。まあそこらへんは、試合が始まってみてどうなるか、でしょうか。


 それにしても、「テニスの王子様」が終了した後のジャンプは、スポーツ物は「アイシールド21」しか残っておらず、まさに“スポーツ物・冬の時代”といった様相なだけに、この作品には期待が高まってしまいますね。

 それで<JC1巻買い> 「K.O.SEN」 村瀬克俊でも書きましたが、失敗に終わっているスポーツ物の特徴として、「主人公はそのスポーツをやる気がない初心者で、だけどそれをやらねばならない状況になって、それでもやってみたらかなり高い素質があって、実は主人公の親はかつてその競技の実力者で、主人公はその親や過去の出来事にトラウマを持っていて....」というパターンが多いように思うのです。

 ただこの「どがしかでん!」の場合は、いじめられっ子ではあるけれどトラウマ的な心の闇はないようだし、第1話の感じだと、ヒロインを中心にとにかく前向きな勢いがあって、「やりたいことをやってやる!」って情熱が伝わってくる内容だったので、その点は結構良い感じなんじゃないですかね。


 あと気になったのは、主人公(一見平凡なんだけど、実はかなりの潜在能力の持ち主)とヒロイン(大金持ちの美人お嬢様で、ちょっと自己中気味)の関係が、「タカヤ-閃武学園激闘伝-」に似ているところです。

 この「タカヤ」は、ラブコメなのかと思ったらいつのまにか格闘技物になって、それが一段落したと思ったら突然に異世界ファンタジー物に移行するなど、かなりの迷走っぷりを披露した作品だったので、「どがしかでん!」も二の舞になってしまわないかと心配ですね。本誌のアンケートでの、この作品に対する“今後どのような展開を望むか”の項目を見たら、余計に心配になってしまいます......。

 自分としては、どのような方向に行くんであっても、“バスケ漫画”という基本軸だけはしっかりと保っていてほしいですね。そして、ジャンプのスポーツ漫画の代表格にまで成長してくれたら最高なんですが。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【「濱田浩輔」関連記事】

  > 週刊少年ジャンプ新連載! 「パジャマな彼女。」 濱田浩輔 (12.2.25)
  > <JC1巻買い> 「パジャマな彼女。」 濱田浩輔 (12.6.26)

  > <JC1巻買い> 「AKABOSHI -異聞水滸伝-」 天野洋一 (09.10.14)

  > 赤マルジャンプ2009SUMMER(「戦国主義 信長×コント」) (09.8.19)

  > <JC1巻買い> 「いぬまるだしっ」 大石浩二 (09.2.9)

  > 週刊少年ジャンプ新連載! 「どがしかでん!」 濱田浩輔 (08.6.3)
  > <JC1巻買い> 「どがしかでん!」 濱田浩輔 (08.11.18)


 【「2008年の新連載」関連記事】

  > 「アスクレピオス」 内水融 (08.9.23)
  > 「チャゲチャ」 澤井啓夫 (08.9.13)

  > 「いぬまるだしっ」 大石浩二 (08.8.26)
  > 「バクマン。」 大場つぐみ 小畑健 (08.8.12)

  > 「どがしかでん!」 濱田浩輔 (08.6.3)
  > 「トリコ」 島袋光年 (08.5.20)

  > 「ダブルアーツ」 古味直志 (08.3.24)
  > 「バリハケン」 鈴木信也 (08.3.17)

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年6月 1日 (日)

『秘密』 東野圭吾 > 「このミス」完全読破 No.10

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.10

 『秘密』 東野圭吾

   「このミス」1999年版 : 9位

   受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
            (「直木三十五賞」候補)
            (「吉川英治文学新人賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 3位
              「本格ミステリ・ベスト10」 16位

   読始:2006.4.18 ~ 読終:2006.4.18

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <2001年5月>

秘密 (文春文庫)秘密 (文春文庫)
東野 圭吾

文藝春秋 2001-05
売り上げランキング : 1684

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 先日、今年(2008年)に入ってからの“「このミス」完全読破”の記事ごとのアクセス数をまとめてみたのですが、なんと90冊近くもあるというのに全ての作品が一度はアクセスされていたんですねェ。

 「このミス」にランクインしたといえども、今の時代からしたらかなり地味でマニアックな存在となった作品も中にはあるので、そんな作品にも一度は、というか正確には数度なのですが、アクセスがあるのには驚きました。

 ......が、しかし!!よ~く見てみると、一度もアクセスされてない作品が一つだけあったんですねェ。

 “そんなに人気のない作品は一体なんなんだ!?”って、そのアクセスされていない“No.10”の作品が何なのか興味深く調べてみましたら、なんてことはない、いまだに感想記事を書いていなかったこの「秘密」(東野圭吾)だったのです。

 この作品は、読後に話を振りかえったり感想を書いたりすることは精神的に厳しくて、ほとぼりが冷めた頃にでも書こうと思っていたのですが、なんかそのまま有耶無耶のまま時が過ぎて、感想をまだ書いていないことをすっかり忘れてしまっていました。

 ただ、思い出したからには書かなければなりませんね。幸い、読んでから2年以上経ってしまったとはいえ、話の内容も、読んだ時に感じていたことも、強烈な印象として残っているので、ここでけじめをつける意味でもしっかりと書いてみたいと思います。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 この作品は、妻と娘が一緒に交通事故に逢ってしまうところから始まるのですが、その事故では残念ながら妻は亡くなってしまうものの、娘の方は奇跡的にも命を吹き返すことが出来たのです。

 だけど実は、脳死状態にあった娘の身体に妻の精神が乗り移っていて、このことを2人だけの“秘密”として生きていくわけです。そんな夫と娘の姿をした妻との人生を描くという、設定としてはSF的な作品ですね。

 しかし、最後の最後に、平凡ともいえるこの「秘密」というタイトルにとてつもなく重く深い意味が含まれていたことを知るに至って、この作品が紛れもないミステリであったことがわかるのです。

 まあ作品の内容からして、男女の違いによってこの作品に対して受ける印象というのは全く異なるものがあるようです。それは、夫に対して感情移入するのか、妻に対して感情移入するのかの違いなのかもしれません。

 その一方で、読後に不快な思いをしたり、中には本に触れるのも嫌なくらいに嫌悪感を抱いてしまう人も多くいるようで、こちらは男女による違いはない感じです。

 というように、良い意味でも悪い意味でも読後にかなりのインパクトを与えてくれる作品なわけですが、読む人のそれまで培ってきた人生によって解釈の仕方も全く変わってしまうので、夫や妻と、恋人と、友達と、家族と、この作品を読んで感じたことを話し合うのも面白いと思いますね。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 それで自分自身はどうだったかといいますと、まあ感想を書けなかったくらいなんでかなりの影響があったことは隠しきれないですよね。

 とにかく自分が経験した過去の出来事と心理状態がすごく似ていて、それでまいっちゃったのです。といっても、別に“娘の身体に妻の精神が乗り移って....”ということを経験したのではもちろんないし、この作品における衝撃度と比べたら可愛いもんなんだろうけど、それでもなんか奥底に通じるのは同じ種類のものに感じられて、なんか自分の中でタブーな存在として隠れて生き続けてきた物を鋭い針で一撃され、その存在を否応無しに思い出させられてしまったようでした。

 その要因というのは、もちろんラストで明かされる衝撃の事実、痛いほどの決断に端を発してのことなのですが、これがホントに主人公が乗り移ってきたかのように同化して感じ入ってしまい、受け入れるのが辛かったですねェ。

 まあ上で言った“決断”、しかも一方が先に下した“決断”というのがこの作品を語る上でとても重要な役割となっていて、その“決断”の是非を巡って論争が起きたりするのですが、自分が一撃されたのもまさにこの部分でした。

 ただ、改めて冷静に考えてみたら、この夫婦の関係というのはとても異常なものなので、どちらか一方、または両者ともに全く傷つくことなく人生を送っていくことは出来ないと思うのです。必ずどこかで何らかの“決断”を下さねばならず、その際にお互いが傷つくことを避けることは出来ないでしょう。

 だからといって、なあなあで何の“決断”もせずに生きていくことは、むしろお互いにとって最悪な結末へと進んでいくことは間違いなく、やはりどこかで“決断”しなければならなかったわけです。

 だから、この“決断”というのは、自分だけのことしか考えていない行動ではないし、その“決断”に至るまでにはかなりの勇気が必要だったし、そのために自分自身が傷つきもしたと思うのですよね。

 そしてもう一方も、その自身にとっては辛過ぎる“決断”を受け入れるという“決断”を選んだことからも、今は最悪な精神状態にあるとは思いますが、その後はその人自身の人生をしっかりと前を向いて地に足を付け進んでいけると思うし、幸せな人生を歩んでゆけるに違いありません。ってかそうであってほしいですよね。

 というような感じで、自分としてはこのようにこの作品に対してけじめを付けてみたのですが、まだこの作品を読んでいない人のために曖昧な表現しか出来なかったので、あんまり上手く伝わらないかもしれません。

 まあでも、自分自身でけじめを付けられた、ってことで満足しています。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★★    おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★★
   衝撃バカミス度 : ★★        読み終り爽快度 : ★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “東野圭吾” 関連記事 】

  > No.873 「人魚の眠る家」
  > No.832 「ラプラスの魔女」
  > No.784 「マスカレード・イブ」

  > No.757 「虚ろな十字架」
  > No.720 「疾風ロンド」
  > No.690 「祈りの幕が下りる時」
  > No.655 「夢幻花」
  > No.598 「禁断の魔術 ガリレオ8」

  > No.580 「虚像の道化師 ガリレオ 7」
  > No.537 「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
  > No.526 「歪笑小説」
  > No.479 「マスカレード・ホテル」
  > No.457 「真夏の方程式」

  > No.437 「麒麟の翼」
  > No.418 「鳥人計画」
  > No.377 「白銀ジャック」
  > No.342 「プラチナデータ」
  > No.285 「カッコウの卵は誰のもの」

  > No.266 「魔球」
  > No.236 「新参者」
  > No.184 「パラドックス13」
  > No.130 「聖女の救済」
  > No.085 「流星の絆」

  > No.053 「赤い指」
  > No.045 「容疑者Xの献身」
  > No.022 「超・殺人事件」
  > No.010 「秘密」
  > No.006 「名探偵の掟」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「そして夜は甦る」 原 尞

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

« 2008年5月 | トップページ | 2008年7月 »

Google AdSense

楽天市場

「このミス」完全読破:次に感想を書く予定の本

「このミス」完全読破:現在読書中の本

「このミス」完全読破:最近読み終えた本

無料ブログはココログ