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2007年1月

2007年1月15日 (月)

『ストックホルムの密使』 佐々木譲 > 「このミス」完全読破 No.24

このミステリーがすごい!」完全読破 No.24

 『ストックホルムの密使』 佐々木譲

   「このミス」1995年版 : 2位

   受賞(候補) : 「日本冒険小説協会大賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 6位

   読始:2006.8.25 ~ 読終:2006.9.20

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本(上・下) <1997年11月>

ストックホルムの密使〈上〉 (新潮文庫)ストックホルムの密使〈上〉 (新潮文庫)
佐々木 譲

新潮社 1997-11
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 いやあもう読み終えてから4ヶ月も経っていて、その間何冊か読み終えてしまっているので、どんなことを感じながら読んでいたかなんて忘れてしまいました....。やっぱり読んだらすぐに感想書くようでないといけませんねェ。

 ただそれでもこの作品の面白かった部分はきちんと印象に残ったままなんですよね。だからそれだけ面白く読めたんだってことは確かなのでしょう。

 時は第二次世界大戦末期で、主人公はヨーロッパを舞台に危険なアドベンチャーを敢行するのですが、その時代の日本を中心とした史実に基づく話が平行して語られていて、そちらが事実なだけに主人公の方もかなりリアルに感じられるんですよね。だから手に汗握る度がかなりアップして、読んでいる時はかなりスリルを味わうことが出来ました。

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 No.14「砂のクロニクル」船戸与一なんかもそうですが、こういう外国を舞台にした冒険物は、最初はとっつきにくいものの、読み進めていくとその作品の世界にすごい入り込んでしまいます。

 それはやっぱり、自分が体験したことがない、そして今後も体験することがないであろう、身近でない世界で繰り広げられる話だからこそ、想像力が高まってしまうことでよりリアルに感じてのめり込んでしまうのでしょうか。

 まあ第二次世界大戦時の日本史・世界史の勉強にもかなり役立つという側面もありますし、一石二鳥にも三鳥にもなる超お得な作品ですね。
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  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


  【 “佐々木譲” 関連記事 】

  > No.840 「砂の街路図」

  > No.685 「代官山コールドケース」
  > No.615 「人質」
  > No.563 「回廊封鎖」
  > No.522 「地層捜査」
  > No.505 「密売人」

  > No.485 「警官の条件」
  > No.424 「婢伝五稜郭」
  > No.423 「五稜郭残党伝」
  > No.401 「エトロフ発緊急電」
  > No.344 「ベルリン飛行指令」

  > No.298 「北帰行」
  > No.282 「巡査の休日」
  > No.230 「廃墟に乞う」
  > No.200 「警官の血」
  > No.175 「暴雪圏」

  > No.152 「警官の紋章」
  > No.151 「警察庁から来た男」
  > No.138 「うたう警官 (笑う警官)」
  > No.048 「制服捜査」
  > No.024 「ストックホルムの密使」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「動機」 横山秀夫

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2007年1月 8日 (月)

MDB的短期連載小説「青い帽子」(六)

MDB的短期連載小説 「青い帽子」 (六) 】


 「青い帽子」(五)からの続き.....


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 窓の外を見てみると、あの老人が別のバスを待つためにさっきと同じ場所に立っていた。隣には、これから勤め先に向かうのであろう、紺色のスーツを着た綺麗なお姉さんがいた。別にスッピンでも綺麗な顔なんだろうが、結構濃い目の化粧をしていた。でも、それは嫌な濃さではなく、素顔の美しさを残したまま、さらにその魅力度をアップさせているような感じだ。といっても素顔がどんな感じなのかは知らないのだが。とてもセンスの良い化粧品を使っていそうなので、もしかしたら化粧品会社に勤めているのかもしれない。老人は、そのお姉さんには青い帽子について聞いてはいないようだ。誰彼構わず聞きまくるわけではないのだろうか。少しうつむき加減にしながら、物思いに耽っているように、ただじっとしている。


 こうして少し遠目から見てみると、近くで見ていたときとは違い、なんか以前にもこんな感じの老人に会ったことがあるような気がした。いわゆるデジャヴというやつだ。記憶の片隅に、何か引っかかるものがある。でも、この老人ではないことは確かだ。それだけは断言できる。この老人とは今日、初めて出会った。間違いない。この老人ではないが、雰囲気が似た感じの、いや、もしかしたら全然違うかもしれない。それはわからないが、ある老人のことが記憶の片隅を横切った。僕は老人とは縁がないと思っていたが、遠い昔に何か接点があったのかもしれない。


 両手で両目を隠し、暗闇はあるが静寂はない世界を作って思い出そうとしてみた。でも、これ以上のことは思い出せない。一体その老人といつ、どこで、どのように会って、僕とはどんな関係で、どんな顔をしていて、どんなしゃべり方をしていたのだろうか。全く思い出せない。それが本当に年取った老人であるのかどうかも怪しいもんだ。


 あと少しではっきりと思い出せそうなのだが、そのあと少しというのが実は何万光年も離れているのかのように思い出すことができない。だめだ、わからない。モヤモヤしたものが残りそうだが、こういう時はキッパリと諦めてしまうのが肝心だ。悔しいけれども、思い出せないものはしょうがない。


 諦めた瞬間、バスのエンジンがかかった。僕が諦めるのを待っていたかのように。手で覆っていた顔を上げると、バスの中は、太陽の光が右側の窓から差し込まれ、手で目を押さえつけていたこともあり、綺麗なセピア色になっていた。すごく古びた感じに見えた。一気に五十年ほど過ぎてしまったように思えた。


 五十年経てば、僕は七十歳だ。あの老人と同じ位の歳になる。そのくらいの歳になった時、僕は一体何を考えて生きていくのだろうか。やはりあの老人のように、自分が生まれてきた意味を探すのだろうか。生まれてきた意味。僕が生まれてきた意味。そんなものがあるのだろうか。


 僕が死んだ後、僕が最初からいなかったように時が流れていくのは、やっぱり嫌だ。はっきりと思い出すことのできない老人のように、関わりあった人達から忘れ去られてしまうのは嫌だ。でも、この世に生まれてきたほとんどの人が、そして動物や植物、その他この世の中に存在したありとあらゆるもののほとんどが、そうやって忘れ去られてゆくのだ。それは決して避けられない運命なのだ。それならば、僕自身納得した形でこの世から去りたい。僕という存在が無駄ではなかったことを確かめてから、この世から去りたい。


 今まで生きてきたこの二十年間、僕も、まああの老人ほどとはいかないが、様々な出来事を掻き分けながら進んできた。受験戦争を体験したし、後悔ばかりの恋も経験してきた。僕としてはそれほど良い二十年だったとは思ってはいない。だが、これからさらにたくさんの出来事が待っている。この二十年を肥やしとして、まだ未知の未来へと飛び立っていくのだ。僕が生まれてきた意味を作っていくのもこれからなんだ。これから何十年もかけて、その意味を作り上げていくんだ。まだまだこれからだ。


 老人と同じくらいの歳になった時に、自分が生きてきた意味を見つけて、そして安心して老後を送って死ねるように、これからの人生を精一杯生きていこう。後悔なんて絶対にしない。後悔したまま、人生のラストを送るなんてまっぴらだ。きっと意味を生み出して、そしてそれを見つけだしてみせるぞ。月曜日の朝早くにバスの中で、こんな他人が聞いたら恥ずかしいようなことを考えている自分を、なんて馬鹿馬鹿しいんだろうと思う一方で、何ともいえない清々しい気持ちに浸っていた。


 バスが動き始めた。立ち去りがたい気もしたが、僕は未来へと走り出しているのだ。同じ場所にじっとしているわけにはいかない。いまだバスを待つ人々の列とすれ違う時に、ふと老人の方を見てみると、その頭には、青い帽子が、青い光を放ちながら、まるでそこが世界で一番落ち着く場所であるかのように、静かに乗っかっているように見えた。目の錯覚かとも思ったが、セピア色の風景に中で、その青い光だけが、はっきりとした原色で光っていた。


 目が合うと、老人は、その青い帽子のつばを軽く指で押さえて、今まで僕が見てきたどんな笑顔よりも素晴らしい、いつも通りの微笑みを送ってくれた。それを見たら、僕も、今まで僕が見せてきたどんな笑顔よりも素晴らしい微笑みを、無意識のうちに浮かべていた。


 そして、ああ、この老人は、きっと近いうちに、この老人にとっての素晴らしく立派な青い帽子を、見つけることができるんだな、と思った。それから、そんな老人を、うらやましく思った。


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  「青い帽子」(あとがき)へ続く.....

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