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カテゴリー「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」の記事

2019年10月11日 (金)

『最後のページをめくるまで』 水生大海 > 「このミス」完全読破 No.1084

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1084

 『最後のページをめくるまで』 水生大海

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年9月20日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年7月>

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 ミステリ小説の中には、終盤に読者を騙す叙述トリックが仕掛けられていたり驚愕の展開が待ち受けていたりする“どんでん返しミステリ”という、(サブジャンルというわけではないけれど)ミステリ小説ならではのテクニックがありまして、ミステリ初心者であっても予備知識なしに単純に楽しめることもあってどんでん返し要素のある作品はいつの時代でも高い人気を誇っています。

 とはいっても定期的にどんでん返しブームが訪れているように思うのですが、最近になって(それまで以上に)単行本や文庫本の帯などに「どんでん返し」「まさかの展開」「ラスト○ページで...」「必ず騙される」などといった煽り文句が目立つように書かれているのを高い頻度で見掛けるようになったので、近年も何度目かの“どんでん返しブーム”を迎えていると言ってもよいのでは(No.990「屍人荘の殺人」の大ヒットの影響がじわじわと広まっている感じでしょうか)。

 そんな中で発売された本作も、『最後のページをめくるまで』という単行本のタイトルが示すように、どんでん返し要素のある短篇のみを集めた作品集となっています。

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 というわけで本作は、「使い勝手のいい女」「骨になったら」「わずかばかりの犠牲」「監督不行き届き」「復讐は神に任せよ」の5篇を収録したノンシリーズの短篇集です。

 ノンシリーズなので各短篇に繋がりはないので、どの作品から読んでも問題なく楽しめますが、すでに犯罪者であったり、犯罪を実行しようとしていたり、犯罪に巻き込まれそうだったりと、主人公はそれぞれ重い犯罪と関わることになる(関わっている)という共通点があるため、犯罪の加害者と被害者を中心とする緊迫感があって先の展開の読めないサスペンス劇が繰り広げられます。

 そしてやはり終盤では衝撃の真相が明かされたり急展開が待ち受けていたりしてアッと驚かされてしまうものの、それまで見せられてきた世界がひっくり返されるほどの驚きというわけではないですし、単行本のタイトル通りに最後のページできっちりとどんでん返しが炸裂するというわけでもないので、ラストのどんでん返しに期待して読んでいた自分なんかは、この思わせぶりな単行本のタイトルは(どんでん返しに対する)ハードルを高くしてしまうだけでかえって悪影響なのではないかな~と思ってしまいました。

 ただ後から各話を振り返りつつ考えてみましたら、各話の主人公はそれぞれ皆、作中の最後の最後で自身の人生を大きく左右するほどのまさかの局面を迎える、つまり主人公にとっては“最後の局面(ページ)を迎える(めくる)まで”(自分の人生に)何が起きるか分からない、という物語が並んでいるということに気付きました。

 なので、もちろん単純にどんでん返し作品集としてラストで驚き楽しめる人も多くいるでしょうが、そういったタイプの作品を読み慣れていてちょっとやそっとじゃ驚けないというミステリマニアな人であれば、どんでん返しのみに大きな期待を寄せたり高いハードルを課すのではなく、最後の局面で人生が一変してしまう主人公の犯罪サスペンス劇を楽しむつもりで読めば、全体的な構成やミステリ的な魅せ方やラストの捻りなどの切れ味が鋭い犯罪ミステリ短篇集を素直な気持ちで堪能できるのではないでしょうか。


 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “水生大海” 関連記事 】

  > No.1084 「最後のページをめくるまで」
  > No.0242 「少女たちの羅針盤」


 「君待秋ラは透きとおる」詠坂雄二 << PREV/NEXT >> 「不意撃ち」辻原登

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年10月 8日 (火)

『君待秋ラは透きとおる』 詠坂雄二 > 「このミス」完全読破 No.1083

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1083

 『君待秋ラは透きとおる』 詠坂雄二

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年9月18日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年6月>

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 “匿技”の持ち主を発見・勧誘し匿技を研究するのが目的の“日本特別技能振興会”に所属する麻楠均は、人材活用課の参謀役である土倉牡丹から、新たに発見された匿技士であるものの(言葉による)交渉が決裂した君待秋ラに対する、暴力を使った勧誘(制圧)の指示を受けることに。

 君待の自宅前で君待と相対した麻楠は、体の表面から鉄筋を取り出す“鉄筋生成”の匿技を使って君待を説得、あるいは拘束しようとするも、任意の物質を見えなくさせる“透明化”の匿技を持つ君待によって頭部を透明にされ、任務は失敗。

 しかし、麻楠が頭部を透明にされ視覚を奪われた状態でなお君待に訴え掛け続けたのが伝わったのか、君待はあまり乗り気ではないながらも振興会に入ることになって....。

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 というわけで本作は、特殊能力的な“匿技”を持つ人間が稀に生まれるという世界で、そんな“匿技”を持つ“匿技士”が集う組織が舞台となっているため、各人ごとに異なる匿技やそれを利用した知略を駆使した異能バトル&サスペンスが展開していきそうに思えます。

 ただ物語の前半は、主人公(君待秋ラ)の匿技士としての葛藤やトラウマなどに焦点が当てられつつも、匿技士たちそれぞれの匿技の仕組みや発動条件や効果などを科学的に分析・解説していく場面が中心となっていまして、その部分はSF的な読み応えも味わえるのでは。

 そして終盤に入ると、待ってましたと言わんばかりの異能バトルが繰り広げられるのですが、前半部分で匿技の分析・解説がじっくりとなされていたこともあって、激しいアクションも頭脳戦も(非現実的なバトルであるにも関わらず)リアルな感触をひりひりと感じさせられるほどの迫力が生み出されていました。

 ただ異色なジャンルである異能バトルものの中でもさらに異色な作品なため、異能バトルを期待して読んでしまうと情報量と説明文の多い前半部分は退屈に思えてしまうかもしれませんし、“事件が起きてその真相を推理する”といった感じの分かりやすいミステリ展開でもないので読む人によってはミステリ的な面白さを全く感じられないかもしれません。

 とはいえ、前半における“匿技”の分析・解説場面では、ロジックを積み上げていくことで匿技の謎を解き明かしていくというミステリ的な刺激を伴う読み味がありますし、後半における異能バトルでは、バトルの最中にも謎が生まれ闘いながらそれを解いていくという展開によりバトルの迫力や熱量を高めているなど、ミステリの魅力や精神をしっかりと宿してそれを物語の中で効果的に活かしている作品でもあるので、やはり詠坂作品ということもあって好き嫌いは激しく分かれそうではあるものの、好きな人であればこのバトルより特殊能力の解明により力を注いだ異色異能バトルミステリを偏愛的に堪能できるのではないでしょうか。


 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “詠坂雄二” 関連記事 】

  > No.1083 「君待秋ラは透きとおる」

  > No.0770 「ナウ・ローディング」
  > No.0728 「亡霊ふたり」
  > No.0595 「インサート・コイン(ズ)」
  > No.0403 「電氣人閒の虞」
  > No.0372 「ドゥルシネーアの休日」


 「或るエジプト十字架の謎」柄刀一 << PREV
           NEXT >> 「最後のページをめくるまで」水生大海

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年10月 7日 (月)

「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年11月)


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 「このミステリーがすごい!」にランクインする作品というのは、ほとんどが単行本やノベルスで刊行された作品なので、“文庫化されてから読んでみよう”と考えている方も多くいるのではないでしょうか

 なので、「このミス」の1~20位にランクインした作品、およびあと一歩でランクインを逃した作品(21~40位)の文庫化リストを、文庫版発売月別にまとめてみたいと思います


 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 * シリーズ作品紹介文中の作品名部分のリンク先は、当ブログ感想記事

 * シリーズ作品のランクイン実績は、2019年版までの記録


 << この記事は現時点で未完の状態なので、情報を仕入れ次第、新たに対象作品を追加していく予定です(追加情報は「このミス」完全読破 説明&読破本リストの“更新情報”欄に書いていきます) >>

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 【 2019年 11月 発売 】


 天上の葦(上・下) / 太田愛

 << 2018年版 18位 >>

 ★ 「犯罪者 クリミナル」「幻夏」
   に続く“クライムサスペンスシリーズ”の3作目

   ・「週刊文春ミステリーベスト10」 19位

 ★ 白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で
   何もない空を指さして絶命した。
   正光秀雄96歳。
   死の間際、正光はあの空に何を見ていたのか。
   それを突き止めれば一千万円の報酬を支払う。
   興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。
   そして老人が死んだ同じ日、
   ひとりの公安警察官が忽然と姿を消した。
   その捜索を極秘裏に命じられる停職中の刑事・相馬。
   廃屋に残された夥しい血痕、
   老人のポケットから見つかった大手テレビ局社長の名刺、
   遠い過去から届いた一枚の葉書、
   そして闇の中の孔雀……。
   二つの事件がひとつに結ばれた先には、
   社会を一変させる犯罪が仕組まれていた!?
   鑓水、修司、相馬の三人が最大の謎に挑む。
   感動のクライムサスペンス巨編!

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 破滅の王 / 上田早夕里

 << 2019年版 19位 >>

   ・「直木三十五賞」 候補
   ・「ベストSF2018」 3位
   ・「ミステリが読みたい!」 15位

 ★ 1943年、魔都・上海。
   ひとりの科学者の絶望が産みだした
   治療法皆無の細菌兵器。
   その論文は分割され、
   英・仏・独・米・日の大使館に届けられた。
   手を取り合わなければ、
   人類に待っているのは、破滅。
   世界大戦のさなかに突きつけられた究極の選択に、
   答えはでるのか?
   第159回直木賞候補作

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 分かれ道ノストラダムス / 深緑野分

 << 2017年版 23位 >>

 ★ 中学時代に好きだった少年の三回忌で
   彼の日記を譲り受けたあさぎ。
   それを機に、
   少年が死なずに済んだ可能性を探り始めるが、
   協力者の級友とともに
   宗教団体を巡る陰謀に巻きこまれてゆく。
   度重なる窮地に立たされた二人が下す決断と、
   その先に待つ未来。
   十代のまっすぐな想いをのせて描く、
   鮮やかなノンストップミステリー!

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 遠い唇 / 北村薫

 << 2017年版 25位 >>

   ・「週刊文春ミステリーベスト10」 15位
   ・「本格ミステリ・ベスト10」 22位

 ★ コーヒーの香りでふと思い出す学生時代。
   今は亡き、慕っていた先輩から届いた葉書には
   謎めいたアルファベットの羅列があった。
   小さな謎を見つめれば、
   大切な事が見えてくる。
   北村薫からの7つの挑戦。

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 教場0 刑事指導官・風間公親 / 長岡弘樹

 << 2018年版 29位 >>

 ★ 「教場」「教場2
   に続く“教場シリーズ”の3作目
   .(1作目が2014年版2位にランクイン)

   ・「週刊文春ミステリーベスト10」 6位

 ★ T県警では、
   各署に所属するキャリア三か月の刑事の中から一名が選ばれ、
   定期的に本部に送られる。
   「風間道場」と呼ばれる刑事育成システムだ。
   待ちうけるのは指導官・風間公親によるマンツーマン指導。
   殺人事件の現場を風間とともに捜査しながら、
   三か月間みっちり指導を受ける。
   卒業生はエース級の刑事として活躍しているが、
   見込みがなければ交番勤務に戻されると噂される。
   後のない新米刑事たちは、
   背水の陣で事件に臨む!

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 皇帝と拳銃と / 倉知淳  <<感想記事はこちら!>>

 << 2019年版 30位 >>

   ・「本格ミステリ・ベスト10」 14位

 ★ 私の誇りを傷つけるなど、
   万死に値する愚挙である。
   絶対に許してはいけない。
   学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、
   来年に副学長選挙を控え、
   恐喝者の排除を決意し実行に移す。
   犯行計画は完璧なはずだった。そう確信していた。
   あの男が現れるまでは。
   全四編を収録した、
   著者初の倒叙ミステリ・シリーズ、待望の文庫化。
   〈刑事コロンボ〉〈古畑任三郎〉の衣鉢を継ぐ警察官が、
   またひとり誕生する。

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 << 「このミス」で41位以下または0票だった
       当ブログ読了済みの11月文庫化作品 >>


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 NEXT >>> 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年12月)

 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年10月) <<< PREV


 “「このミス」ランクイン作品文庫化リスト”の一覧は、「このミス」完全読破 読破本リストにてご覧ください。


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2019年10月 3日 (木)

「このミス2021年版」月別ランクイン候補作品(2019年11月)


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 これで12年目となる“月別ランクイン候補作品”ですが、「このミステリーがすごい!2021年版」対象作品についても引き続き実施していこうと思います

 この“月別ランクイン候補作品”とは、自分は日頃から“どんな作品が「このミス」にランクインしそうかな?”と色々とチェックしているので、どうせならそれを刊行された月(奥付記載の月)別にまとめてしまおう!ということで始めた企画です

 ここでは、とりあえず「このミス」の対象になりそうな作品をピックアップして、作者やシリーズの「このミス」実績ごとに分けて並べています

 なお、読んだうえでのランクインするかどうかの予想に関しては、「このミステリーがすごい!2021年版」ランキング(順位)予想(後日更新予定)の方をご覧ください


 << この記事は現時点で未完の状態なので、情報を仕入れ次第、新たに対象作品を追加していく予定です(追加情報は「このミス」完全読破 説明&読破本リストの“更新情報”欄に書いていきます) >>

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>> 2019年11月発売の「このミス」ランクイン実績のあるシリーズ作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ内は、作者の「このミス」20位以内ランクイン作品数
 * シリーズ過去作品の作品名部分のリンク先は、当ブログ感想記事


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>> 2019年11月発売の「このミス」ランクイン実績作家の作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数

 殺しの許可書 アンタッチャブル2 / 馳星周 (6作) * シリーズ2作目
 間宵の母 / 歌野晶午 (4作)
 小さな場所 / 東山彰良 (3作)

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>> 2019年11月発売の「このミス」ランクイン実績なしも
          21~40位に入ったことのある作家の作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ内は、過去の「このミス」21~40位作品数

 魔法使いと最後の事件 / 東川篤哉 <2作> * シリーズ4作目
 人面瘡探偵 / 中山七里 <1作>

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>> 2019年11月発売の
    日本推理作家協会賞(推協賞)短編部門の受賞作・候補作
    および年間傑作選アンソロジー選出作を収録した作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ()内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数
 * 作者名横のカッコ<>内は、過去の「このミス」21~40位作品数
   (「このミス」ランクイン作家の場合は省略)
 * 他の項目と重複している作品もあります

[ ]


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>> 2019年11月発売のミステリ(エンタメ)系新人賞受賞(候補)作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

[ “アガサ・クリスティー賞”受賞作 ]
 月の落とし子 / 穂波了


[ “アガサ・クリスティー賞”受賞作 ]
 それ以上でも、それ以下でもない / 折輝真透

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>> 2019年11月発売の
     「このミス」で40位以内に入ったことはないものの
     「本格ミステリ・ベスト10(本)」
     「週刊文春ミステリーベスト10(春)」
     「ミステリが読みたい!(早)」
     にはランクイン経験のある作家の作品 <<

 * 「週刊文春ミステリーベスト10」は
   (「このミス」が始まった)1988年以降のランクイン作家のみ対象
 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 OJOGIWA / 藤崎翔 (早)

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>> 2019年11月発売の「このミス」の候補かもしれない作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 卒業タイムリミット / 辻堂ゆめ

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>> 2019年11月発売の宝島社作品 <<

 * 「このミス」では集計対象外(「本ミス」「文春」「早ミス」は対象)
 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ


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 NEXT >>> 「このミス2021年版」月別ランクイン候補作品(2019年12月)

 「このミス2020年版」月別ランクイン候補作品(2019年10月) <<< PREV


 「月別ランクイン候補作品」の一覧は、「このミス」完全読破 読破本リストにてご覧ください。


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2019年9月30日 (月)

『或るエジプト十字架の謎』 柄刀一 > 「このミス」完全読破 No.1082

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1082

 『或るエジプト十字架の謎』 柄刀一

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年9月16日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年5月>

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 『OZの迷宮』、『火の神の熱い夏』、『fの魔弾』、No.74「密室キングダム」、『ペガサスと一角獣薬局』に続く“南美希風シリーズ”の6作目です。

 主人公はシリーズ名にもなっている南美希風(男)で、職業はカメラマンであるものの、これまで遭遇した数々の難事件をそのたぐいまれなる推理力で解決に導いてきた実績から、現在は民間から登用された北海道警察の特別捜査官として事件現場に臨場出来る立場になっています。

 そして今回は、美希風の心臓手術を受け持った恩人医師の娘でありアメリカの法医学者でもあるエリザベス・キッドリッジが、東京で行われる世界法医学交流シンポジウムにアメリカ代表として出席するために来日し、美希風は日本でのガイド役を引き受けたのですが、このシンポジウムでは都内で検視事案が発生した場合に他国の検視官や法医学者も現場に出向いて検視活動を実地で体験するという目玉企画があって、この企画によりエリザベスが出向くことになった事件に美希風も引っ張り出されることになるのですね。

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 というわけで本作は、「或るローマ帽子の謎」「或るフランス白粉の謎」「或るオランダ靴の謎」「或るエジプト十字架の謎」の4篇から成っています。

 それぞれの話では、美希風とエリザベスの2人が警察の協力も得つつ殺人事件の謎に挑んでいきまして、とはいえエリザベスは特に推理したり有力なアドバイスをするわけではないので、探偵二人組でもワトソン役でもないのですが、ただ法医学者だけあって検視関係の知識は豊富ですし、それに日本語を男言葉で憶えてしまったことにより会話にコミカルさが加わるため、探偵役である美希風とは息のあったやり取りを繰り広げていくのです。

 そしてもう一つの特徴としては、各話のタイトルを見てわかるようにエラリー・クイーンの“国名シリーズ”をオマージュしていることで、“読者への挑戦”こそないものの、それぞれ帽子・白粉・靴・十字架といった事件現場に遺された特徴的なアイテム(またはそれを模した死体)が象徴的に登場して、それらによって過剰で異常でインパクトの強い殺人現場が演出されています。

 そんな謎めいた事件に対して、美希風は論理的な推理によって真相に向かい迫っていきますし、ケレン味に溢れた事件現場が(犯人によって)どうして作られたのかを中心とした謎解きにより、衝撃的な真相と、(ド派手な事件現場とは対照的な)真犯人の現実的な犯行理由が明かされるのですね。

 そういった本格ミステリの王道的な作品なので、(エリザベスのキャラクターや役割には賛否両論ありそうですが)本格ミステリ好きな方であれば巧みな技(推理劇)をじっくりと堪能できるのではないでしょうか(ちなみにシリーズものとはいえ本作から読んでも問題なく楽しむことが出来ると思います)。


 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “柄刀一” 関連記事 】

  > No.1082 「或るエジプト十字架の謎」
  > No.0304 「モノクロームの13手」
  > No.0074 「密室キングダム」


 「いけない」道尾秀介 << PREV/NEXT >> 「君待秋ラは透きとおる」詠坂雄二

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年9月21日 (土)

『いけない』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.1081

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1081

 『いけない』 道尾秀介

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年9月12日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年7月>


いけない

道尾 秀介

文藝春秋 2019.07.10

Amazonで詳しく見る

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 「弓投げの崖を見てはいけない」「その話を聞かせてはいけない」「絵の謎に気づいてはいけない」「街の平和を信じてはいけない」から成る連作集です。

 一章の「弓投げの崖を見てはいけない」は、2010年に発売された(1970年代生まれのミステリ作家が競作した蝦蟇倉市という架空の街が舞台の)アンソロジー作品No.312「蝦蟇倉市事件 1」(文庫化の際に『晴れた日は謎を追って がまくら市事件』に改題)にも収録されていたのですが、結末がはっきりとは明かされないリドル・ストーリーのような構成や、巻末の著者コメント欄に書かれた“本文をよぉく読んだうえで(アンソロジー巻頭に掲載の蝦蟇倉市の)地図を見ると答えは一つに絞られるかもしれない”といった感じのコメント(ヒント付き)によって再読&読者自身による推理を促すという仕掛けなどにより、刊行直後には結構話題になりました。

 そして、"最後に一つの絵や写真を見ることにより真相が浮かび上がって来る"という同じ形式で書かれた作品を連ねることにより本作が生まれたのですね。

 ちなみに、アンソロジー版「弓投げの~」に比べると、『いけない』版「弓投げの~」は推理の難易度がかなり低くなるように加筆修正されているので、"難易度の高い謎(推理)に挑戦したい!!"という方は、まずはアンソロジー版「弓投げの~」の方から読んで推理してみることをお薦めします。

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 というわけで二・三章も、最後のページにある写真を見た途端に隠された真相を目の当たりにし、思わず体をのけ反り目をひん剥いてしまうほどの驚きを味わえるのですが、二章と三章とでは驚きの種類がまた異なり、後味というか余韻も違っていますし、それは一章・終章を含めてもそうなので、様々なタイプの驚きを次々と体験出来てしまうのです。

 そしてページが少ない終章でも、もちろん最後の写真に驚かされてしまうものの、ただ連作の定番でもある“それまでの章をまとめ上げた総集編”的な内容でもありまして、一・二・三章ではっきりとは書かれていなかった真相がここで分かるので、一・二・三章を読んであんまり意味が分からなかったという方はすぐにネット等でネタバレを調べたりせずにとりあえず終章まで読んでみた方が良いかもしれませんね。

 ただそれでも真相に到る過程(伏線等)は読者自身が推理しなければならず、しかも読者に想像の余地を与える作りになっていますし、そうやって読者が知り得た真相は“闇に葬られそうな犯罪”なので何とも言えない苦い後味が残るなど、鮮やかなどんでん返しやスッキリとした読み味が待ち受けているタイプではないので、ベストセラーだからといって気軽に手を出してしまった(特に普段は本格ミステリ作品など読まないような)人だとモヤモヤしたり納得できなかったりどこが面白いのかすら全く分からない可能性もありそうです。

 とはいえ、著者の企みを理解し楽しめる人であれば、(後味の悪さやスッキリしない感も含めて)本作でしか味わうことのできないミステリ的刺激を受けつつ為されるがままに翻弄され驚かされてしまったうえで、そこから改めて推理したり考察したりネタバレを探すなど読後にも本作から湧き出る魅力を心底堪能できるのではないでしょうか。


 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “道尾秀介” 関連記事 】

  > No.1081 「いけない」
  > No.1042 「スケルトン・キー」(後日更新予定)

  > No.0983 「満月の泥枕」(後日更新予定)
  > No.0947 「サーモン・キャッチャー the Novel」
  > No.0910 「スタフ staph」(後日更新予定)
  > No.0827 「透明カメレオン」
  > No.0749 「貘の檻」

  > No.0682 「鏡の花」
  > No.0617 「笑うハーレキン」
  > No.0583 「ノエル -a story of stories-」
  > No.0546 「光」
  > No.0498 「水の柩」

  > No.0432 「カササギたちの四季」
  > No.0396 「月と蟹」
  > No.0340 「月の恋人~Moon Lovers~」
  > No.0312 「蝦蟇倉市事件 1」
  > No.0311 「光媒の花」

  > No.0294 「球体の蛇」
  > No.0233 「花と流れ星」
  > No.0186 「龍神の雨」
  > No.0169 「鬼の跫音」
  > No.0121 「ラットマン」

  > No.0117 「カラスの親指」
  > No.0097 「ソロモンの犬」
  > No.0058 「片眼の猿」
  > No.0049 「シャドウ」
  > No.0041 「向日葵の咲かない夏」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年9月20日 (金)

『希望の糸』 東野圭吾 > 「このミス」完全読破 No.1079

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1079

 『希望の糸』 東野圭吾

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年9月3日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年7月>


希望の糸

東野 圭吾

講談社 2019.07.05

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 『卒業』、『眠りの森』、『どちらかが彼女を殺した』、『悪意』、『私が彼を殺した』、『嘘をもうひとつだけ』、No.53「赤い指」No.236「新参者」No.437 「麒麟の翼」No.690「祈りの幕が下りる時」に続く“加賀恭一郎シリーズ ”の11作目です。

 このシリーズは、シリーズ名にもなっている刑事の加賀恭一郎がもちろん主人公なのですが、しかし本作での恭一郎は脇役的な立ち位置となっています。

 その代わりとして物語の中心となるのが、(これまでのシリーズ作品にも登場していた)恭一郎の従弟である刑事の松宮脩平なので、シリーズの続編というよりはスピンオフや番外編や姉妹編といった感じなため、文庫化の際には“シリーズ11作目”とは書かれていないかもしれませんね(単行本にも“11作目”やシリーズ名などは書かれていません)。

 なお、そんなスピンオフ的な作品ですし、シリーズ前作も本作も単行本発売の際にシリーズ作品(加賀恭一郎関連作品)であることを(表紙や帯に記すなどして)前面に出していなかったことからも分かるように、過去のシリーズ作品を未読な状態でいきなり本作から読んでも問題なく楽しめると思います。

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 自由が丘の喫茶店で店主の女性が背中にナイフを刺され死んでいるのが発見され、松宮を始めとした刑事による捜査が始まったものの、被害者が誰からも恨まれたり憎まれたりしなさそうな性格だったこともあって、なかなか有力な容疑者を見つけ出せず。

 そんな中で被害者と親しかった人物として浮上してきた汐見行信は、16年前に起きた新潟県中越地震で小学生になる2人の子供を亡くし、その直後に授かった娘の萌奈を亡き姉兄の分まで大事に育ててきたものの、妻を病気で亡くしてからはギクシャクした父娘関係に。

 さらに松宮自身も、幼き頃に死んだと聞かされてきた父親が実は生きているらしく、しかも余命わずかであるとの連絡を受けるなど、捜査する側もされる側も“親子の繋がり”を強く切実に感じられるような人間ドラマが次第に浮かび上がっていくのですね。

 そんなドラマ性は、やはり著者が東野圭吾なだけあって読んでいて心を締めつけられたり感動させられたりと極上の読み応えなのですが、そういった人間(親子)ドラマが事件の構図や推理や真相と絶妙なほどに関わってきてどちらの要素をも熱く盛り上げていくのは(毎度のことながら)さすがの一言でした。

 ただ今回は、鋭い推理に定評のある恭一郎ではなく(人間ドラマ部分の重要な一つを担っている)松宮が主人公であることからも分かるように、捜査ミステリ(サスペンス)よりも人間ドラマの方に熱を入れて書かれているようなので、捜査ミステリ(サスペンス)部分のみに期待して読んでしまうと手応えを感じられないかもしれません。

 とはいっても捜査ミステリ(サスペンス)を中心に読んだとしても平均レベルの高さは実感できると思うので面白さを十二分に堪能出来ると思いますし、今回の恭一郎は脇役とはいえ大きな見せ場がちゃんとあるので加賀恭一郎好きの人も読み逃せない作品であることは間違いないでしょう。


 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “東野圭吾” 関連記事 】

  > No.1079 「希望の糸」
  > No.1047 「沈黙のパレード」(後日更新予定)
  > No.0873 「人魚の眠る家」
  > No.0832 「ラプラスの魔女」
  > No.0784 「マスカレード・イブ」

  > No.0757 「虚ろな十字架」
  > No.0720 「疾風ロンド」
  > No.0690 「祈りの幕が下りる時」
  > No.0655 「夢幻花」
  > No.0598 「禁断の魔術 ガリレオ8」

  > No.0580 「虚像の道化師 ガリレオ 7」
  > No.0537 「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
  > No.0526 「歪笑小説」
  > No.0479 「マスカレード・ホテル」
  > No.0457 「真夏の方程式」

  > No.0437 「麒麟の翼」
  > No.0418 「鳥人計画」
  > No.0377 「白銀ジャック」
  > No.0342 「プラチナデータ」
  > No.0285 「カッコウの卵は誰のもの」

  > No.0266 「魔球」
  > No.0236 「新参者」
  > No.0184 「パラドックス13」
  > No.0130 「聖女の救済」
  > No.0085 「流星の絆」

  > No.0053 「赤い指」
  > No.0045 「容疑者Xの献身」
  > No.0022 「超・殺人事件」
  > No.0010 「秘密」
  > No.0006 「名探偵の掟」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年9月13日 (金)

『Blue(ブルー)』 葉真中顕 > 「このミス」完全読破 No.1078

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1078

 『Blue(ブルー)』 葉真中顕

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年8月30日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年4月>


Blue

葉真中 顕

光文社 2019.04.17

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 平成15年の12月、青梅にある住宅で、家族五人の死体が発見された通称“青梅事件”が発生。

 一家を殺害したと思われる犯人は、この家に引きこもっていた31歳の次女・夏希であることが分かったものの、その夏希は父・母・姉・姉の息子の家族四人を殺害した後に、薬物の過剰摂取が原因の心臓麻痺により入浴したまま死亡。

 この事件には指紋や髪の毛などから夏希の他に最低で一人以上の共犯者がいることが確実視されていながら、その共犯者の身元も足取りもわからぬまま半年が経過し、捜査が停滞し続けている中、“夏希は引きこもっていなかった(実家に住んでいなかった)”というこれまでの捜査の前提条件の一つが崩れるような新情報が入って来て....。

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 この事件の謎を解き明かすため、担当する刑事が夏希とその息子・ブルーの過去を探っていくのが1部の内容で、2部に入ると平成最後の月である平成31年4月に起きた団地の空き部屋で身元不明の若い男女の惨殺死体が発見された事件の捜査が中心となり、1部とは別の刑事が真相へと迫るべく奮闘していきます。

 これらの捜査は、前者は容疑者の過去、後者は被害者の過去を掘り下げていくことよって事件解決に導く糸口を少しずつ手繰り寄せていくのですが、そこから浮かび上がって来るのは児童虐待、子供の貧困、無国籍児、モンスターペアレント、外国人の低賃金労働などのリアルな現状で、そんな格差社会から生み出された深刻な闇を照らすことにより壮絶な人間ドラマが目の当たりにされていくのですね。

 そして、これらの事件の合間には“平成という時代が始まった日に生まれ平成が終わった日に死んだ男”について語られていきますし、青梅事件の現場にエンドレスで流れていたSMAPの『世界に一つだけの花』を始めとしたその当時に流行ったJ-POPが象徴的に使われるなど、本作は平成30年間の文化、風俗、それに社会問題を俯瞰するというテーマがあって、それにより本作ならでは&その時代だからこその魅力が生み出されていたように思います。

 格差社会を描いた社会派事件サスペンスというのはNo.643「ロスト・ケア」No.792「絶叫」など葉真中作品の中でも王道路線なため面白さや読み応えは間違いないので、平成の記憶がまだ強く残っていて令和慣れする前に読んでおくべき作品なのではないでしょうか。


 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “葉真中顕 ”関連記事 】

  > No.1078 「Blue(ブルー)」
  > No.1068 「W県警の悲劇」

  > No.1048 「凍てつく太陽」(後日更新予定)
  > No.0922 「コクーン」(後日更新予定)
  > No.0913 「ブラック・ドッグ」(後日更新予定)
  > No.0792 「絶叫」
  > No.0643 「ロスト・ケア」


 「悪の五輪」月村了衛 << PREV/NEXT >> 「希望の糸」東野圭吾

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年9月10日 (火)

『悪の五輪』 月村了衛 > 「このミス」完全読破 No.1077

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1077

 『悪の五輪』 月村了衛

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年8月18日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2019年5月>


悪の五輪

月村 了衛

講談社 2019.05.16

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 舞台となるのは東京オリンピックを翌年に控えた1963年で、映画好きの変人ヤクザと呼ばれている白壁一家の人見稀郎が主人公。

 ある日稀郎は親分から、黒澤明が降板したことで席が空いた東京オリンピック公式記録映画の監督に錦田欣明をねじ込むという話を持ち掛けられたため、錦田を五輪映画の監督という大役に抜擢させるべくあの手この手で仕掛けることに。

 しかし錦田はまだ代表作と言えるほどの映画を撮っていない中堅監督でしかないばかりか、その横柄な態度により現場スタッフからの評判は悪く、しかも稀郎の周りには裏社会の危険な人間たちが次々と群がって来て....。

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 というわけで、2020年の東京オリンピックの前年に発売となったのが、1964年の東京オリンピックの前年を描いた本作です。

 まず注目なのは、オリンピックといってもオリンピックの公式記録映画の監督人事を巡る騒動が中心となっているため、映画界が舞台の一つとなっていることでして、戦後間もない時期の活気に満ちた映画撮影現場で起こる騒動や、東京五輪を機に映像娯楽産業の主役をテレビに奪われてしまう予兆が感じられる切なさなど、この時代ならではの映画界の雰囲気が、中堅監督を大物監督へと化けさせるべく奮闘する主人公の目線により映し出されていきます。

 ただ主人公はヤクザであるため、監督に実績を積ませるという正攻法の仕掛けだけでなく、金や脅迫などを用いた裏からの手回しの方にも力を注いでいくのですが、やはり日本復興の目玉であり莫大なお金が駆け巡る五輪が絡んでいることもあって、主人公の前には利権に群がる危険人物たちが次々と姿を現してきますし、しかも主人公が先に進むごとに現れる人物の大物度合いが震えるほどに上がっていき、主人公の味方になったり敵になったり敵か味方か謎だったりしていくので、話が進むにつれてスケール感や迫力が盛り上がっていく暗黒サスペンスとなっています。

 そんな登場人物たちの多くが実在する著名人で、架空の人物であっても実在の人物のエピソードなどを参考にして人物像が造られていたりもしますし、史実を交えながらストーリーやエピソードなども作られているので、昨年に発表した『東京輪舞』の流れを汲むような“昭和史”がテーマの作品でもあるのです。

 そういった内容なので、タイトルに“五輪”が入っているとはいえオリンピックの大会自体には直接関わってきませんし、月村流冒険小説の十八番である熱く激しいアクションシーンも今回は控えめなので、そんな要素を期待してしまうと手応えを感じられないかもしれません。

 とはいえ、オリンピックを翌年に控え世間の熱が徐々に高まりつつある中でその盛り上がりを冷めた感情で見つめる主人公の視線というのはまさに2020年の東京オリンピックの前年である今に読んでこそ同調できる楽しみ方かもしれませんし、アクション要素は薄いながらも身も心もボロボロになりながら夢と現実の狭間を掻き分けていくアウトローやくざの哀愁が良い味を出している犯罪小説となっているので、いつもの月村作品とは少々趣が異なるものの、五輪を中心に回る暗黒の熱狂の渦がもたらす昭和の人間ドラマ&サスペンス劇を堪能できるのではないでしょうか。


 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “月村了衛”関連記事 】

  > No.1077 「悪の五輪」
  > No.1051 「東京輪舞」(後日更新予定)
  > No.0994 「機龍警察 狼眼殺手」(後日更新予定)
  > No.1001 「機龍警察 火宅」
  > No.0972 「追想の探偵」

  > No.0909 「水戸黄門 天下の副編集長」(後日更新予定)
  > No.0880 「ガンルージュ」
  > No.0844 「影の中の影」
  > No.0821 「槐(エンジュ)」
  > No.0782 「土漠の花」

  > No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.0722 「機龍警察 未亡旅団」
  > No.0586 「機龍警察 暗黒市場」
  > No.0492 「機龍警察 自爆条項」
  > No.0390 「機龍警察」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年9月 6日 (金)

「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年10月)


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 「このミステリーがすごい!」にランクインする作品というのは、ほとんどが単行本やノベルスで刊行された作品なので、“文庫化されてから読んでみよう”と考えている方も多くいるのではないでしょうか

 なので、「このミス」の1~20位にランクインした作品、およびあと一歩でランクインを逃した作品(21~40位)の文庫化リストを、文庫版発売月別にまとめてみたいと思います


 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 * シリーズ作品紹介文中の作品名部分のリンク先は、当ブログ感想記事

 * シリーズ作品のランクイン実績は、2019年版までの記録


 << この記事は現時点で未完の状態なので、情報を仕入れ次第、新たに対象作品を追加していく予定です(追加情報は「このミス」完全読破 説明&読破本リストの“更新情報”欄に書いていきます) >>

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 【 2019年 10月 発売 】


 希望が死んだ夜に / 天祢涼

 << 2018年版 34位 >>

   ・「本格ミステリ・ベスト10」 29位

 ★ 神奈川県川崎市で、
   14歳の女子中学生の冬野ネガが、
   同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。
   少女は犯行を認めたものの、
   「あんたたちにはわかんない」と動機は全く語らない。
   なぜ、美少女ののぞみは殺されたのか。
   二人の刑事が捜査を開始すると、
   意外な事実が浮かび上がってくる。
   希望の「希」という漢字が「ねが(う)」と読むことから
   名づけられた、ネガ。
   現在は、母親の映子と川崎市登戸のボロアパートに暮らしている。
   母はあまり働かなくなり、生活保護も断られた。
   まわりに頼れる大人や友人がいないネガだったが、
   あるとき、運命的な出会いをした……。

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 Dの殺人事件、まことに恐ろしきは / 歌野晶午

 << 2017年版 34位 >>

 ★ 歌野晶午×江戸川乱歩ーー
   貴方を「非日常の興奮」に導く、
   超ミステリが誕生!
   『葉桜の季節に君を想うということ』の異才が、
   刺激的なサプライズと最新テクノロジーで
   現代に蘇らせる乱歩ミステリ集!
   「人間椅子」「押絵と旅する男」「D坂の殺人事件」
   「お勢登場」「赤い部屋」「陰獣」
   「人でなしの恋」「二銭銅貨」……
   サプライズ・ミステリの名手が、
   新たな魅力を吹き込む!

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 << 「このミス」で41位以下または0票だった
       当ブログ読了済みの10月文庫化作品 >>


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 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年9月) <<< PREV


 “「このミス」ランクイン作品文庫化リスト”の一覧は、「このミス」完全読破 読破本リストにてご覧ください。


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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