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カテゴリー「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」の記事

2019年2月12日 (火)

「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年3月)


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 「このミステリーがすごい!」にランクインする作品というのは、ほとんどが単行本やノベルスで刊行された作品なので、“文庫化されてから読んでみよう”と考えている方も多くいるのではないでしょうか。

 なので、「このミス」の1~20位にランクインした作品、およびあと一歩でランクインを逃した作品(21~40位)の文庫化リストを、文庫版発売月別にまとめてみたいと思います。


 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 * シリーズ作品紹介文中の作品名部分のリンク先は、当ブログ感想記事

 * シリーズ作品のランクイン実績は、2019年版までの記録

 << この記事は現時点で未完の状態なので、情報を仕入れ次第、新たに対象作品を追加していく予定です(追加情報は「このミス」完全読破 説明&読破本リストの“更新情報”欄に書いていきます) >>

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 【 2019年 3月 発売 】


  倒叙の四季 破られた完全犯罪 / 深水黎一郎  <<感想記事はこちら!>>

 << 2017年版 34位 >>

   ・「本格ミステリ・ベスト10」 10位
   ・「ミステリが読みたい!」 13位

 ★ 「エコール・ド・パリ殺人事件」「トスカの接吻「花窗玻璃
   「ジークフリートの剣「世界で一つだけの殺し方」に続く
   “芸術探偵シリーズ”の6作目

 ★ 懲戒免職処分になった
   元警視庁の敏腕刑事が作成した
   〈完全犯罪完全指南〉という裏ファイルを入手し、
   完全犯罪を目論む4人の殺人者。
   「春は縊殺」「夏は溺殺」
   「秋は刺殺」「冬は氷密室で中毒殺」。
   心証は真っ黒でも
   物証さえ掴ませなければ逃げ切れる、
   と考えた犯人たちの練りに練った偽装工作を
   警視庁捜査一課の海埜刑事はどう切り崩すのか?
   一体彼らはどんなミスをしたのか。

 ★ 『倒叙の四季 破られたトリック』から
   改題して文庫化

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 << 「このミス」で41位以下または0票だった
       当ブログ読了済みの3月文庫化作品 >>

  黒面の狐 / 三津田信三

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 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年2月) <<< PREV


 “「このミス」ランクイン作品文庫化リスト”の一覧は、「このミス」完全読破 読破本リストにてご覧ください。


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2019年2月 8日 (金)

『夜汐』 東山彰良 > 「このミス」完全読破 No.1054


「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1054

 『夜汐』 東山彰良

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年2月2日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2018年11月>


夜汐

東山彰良

講談社 2018-11-28

Amazonで詳しく見る

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 時は文久三年、やくざ者の亀吉は、自分が(曲三親分に内緒で)開催した花会をわざと賭場荒らしに襲わせ、大金をせしめることに成功。

 これを裏で操っていたのは、曲三親分と敵対している祐天仙之助の子分であり、亀吉とは同郷で旧知の仲である蓮八で、二人はこの手柄により、十年前に吉原に売られた亀吉の姉・八穂を身請けすることに。

 亀吉と八穂は名前を変えて高尾山の麓にある小さな一膳飯屋を引き継ぎ、蓮八は祐天親分と共に浪士組として京都に上洛したものの、二人には曲三親分が差し向けた殺し屋・夜汐が迫っていて....。

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 というわけで本作は、東山彰良の初となる日本を舞台にした時代歴史小説となっています。

 序盤は江戸を舞台にヤクザや殺し屋による騒動が描かれ、中盤に入り主な舞台を京都へ移すと(歴史物としては超人気ブランドである)新選組が登場し、近藤勇・土方歳三・沖田総司といった人気隊士もガッツリと絡んできますし、終盤では蓮八による身も心もボロボロになりながらの逃走劇が描かれてと、東山作品として読むと意外に思ってしまうほどに直球の時代小説として仕上がっていました。

 とはいえ、主人公である蓮八がひょうひょうとしたキャラクターということもあって(終始殺伐とした内容でありながら)作品全体の雰囲気はむしろ軽快ですし、ストーリーもシンプルなほどに進んでいくので、時代小説を読み慣れていない人でも読みやすくて気軽に楽しめるのでは。

 ただその分、No.0689「ブラックライダー」No.0829「流」のようなスケールが半端ない世界観や圧倒されるほどの描写(と同様のもの)を期待してしまうと手応えを感じられないかもしれませんが、強い信念など持たずに流れに任せて生きてきた主人公が愛する女性のために生き残る可能性がわずかな逃亡劇を決行する悲壮感・焦燥感や、死神を思わすような殺し屋との絡みにより浮かび上がってくる真理的な死生観などから、ヒリヒリとした空気をまとう刺激だったり、絶望的な状況の中から希望の光が照らされるドラマ性など、東山作品ならではの身に染みる読み味が芯から感じられる作品でもありました。

 それに、(やはり新選組が出てくるだけでもう面白さが保障されているくらいに)エンタメ系時代小説としての魅力を肩肘張らずに堪能出来ると思ので、ロードノベルやノワール的な作風で好みが分かれてしまうかもしれないものの、(広義の)エンタメ系ミステリ好きな人にも時代小説好きな人にもお薦めの作品です。


> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “東山彰良” 関連記事 】

  > No.1054 「夜汐」
  > No.0984 「僕が殺した人と僕を殺した人」(後日更新予定)
  > No.0889 「罪の終わり」
  > No.0829 「流」

  > No.0689 「ブラックライダー」
  > No.0545 「ミスター・グッド・ドクターをさがして」
  > No.0496 「ファミリー・レストラン」
  > No.0283 「ライフ・ゴーズ・オン」
  > No.0176 「ジョニー・ザ・ラビット」


 「グラスバードは還らない」市川憂人 <<< PREV
                    NEXT >>> 「木曜日の子ども」重松清

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年2月 5日 (火)

「このミス2020年版」月別ランクイン候補作品(2019年3月)


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 これで11年目となる“月別ランクイン候補作品”ですが、「このミステリーがすごい!2020年版」対象作品についても引き続き実施していこうと思います。

 この“月別ランクイン候補作品”とは、自分は日頃から“どんな作品が「このミス」にランクインしそうかな?”と色々とチェックしているので、どうせならそれを刊行された月(奥付記載の月)別にまとめてしまおう!ということで始めた企画です。

 ここでは、とりあえず「このミス」の対象になりそうな作品をピックアップして、作者やシリーズの「このミス」実績ごとに分けて並べています。

 なお、読んだうえでのランクインするかどうかの予想に関しては、「このミステリーがすごい!2020年版」ランキング(順位)予想の方をご覧ください。


 << この記事は現時点で未完の状態なので、情報を仕入れ次第(&Amazonに作品のページが作られ次第)、新たに対象作品を追加していく予定です(追加情報は「このミス」完全読破 説明&読破本リストの“更新情報”欄に書いていきます) >>

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>> 2019年3月発売の「このミス」ランクイン実績のあるシリーズ作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * シリーズ過去作品の作品名部分のリンク先は、当ブログ感想記事

 ゆるキャラの恐怖 / 奥泉光 (5作) * シリーズ4作目
        〈1作目「モーダルな事象」が06年版17位にランクイン〉
        〈2作目「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」が12年版17位にランクイン〉


 マルドゥック・アノニマス 4 / 冲方丁 (3作) * シリーズ4作目の第4巻
        〈1作目「マルドゥック・スクランブル」が04年版16位にランクイン〉
        〈2作目「マルドゥック・ヴェロシティ」が08年版15位にランクイン〉

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>> 2019年3月発売の「このミス」ランクイン実績作家の作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数

 こうして誰もいなくなった / 有栖川有栖 (8作)
 傲慢と善良 / 辻村深月 (3作)
 キッド / 相場英雄 (1作)

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>> 2019年3月発売の「このミス」ランクイン実績なしも
          21~40位に入ったことのある作家の作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ内は、過去の「このミス」21~40位作品数

 大統領に告ぐ 新橋署刑事課特別治安室〈NEO〉 / 永瀬隼介 <1作>

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>> 2019年3月発売の
    日本推理作家協会賞(推協賞)短編部門の受賞作・候補作
    および年間傑作選アンソロジー選出作を収録した作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ()内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数
 * 作者名横のカッコ<>内は、過去の「このミス」21~40位作品数
   (「このミス」ランクイン作家の場合は省略)
 * 他の項目と重複している作品もあります

[ “” ]

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>> 2019年3月発売のミステリ(エンタメ)系新人賞受賞(候補)作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

[ “ボイルドエッグズ新人賞”受賞作 ]
 探偵はぼっちじゃない / 坪田侑也

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>> 2019年3月発売の
     「このミス」で40位以内に入ったことはないものの
     「本格ミステリ・ベスト10(本)」
     「週刊文春ミステリーベスト10(春)」
     「ミステリが読みたい!(早)」
     にはランクイン経験のある作家の作品 <<

 * 「週刊文春ミステリーベスト10」は
   (「このミス」が始まった)1988年以降のランクイン作家のみ対象
 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 予言の島 / 澤村伊智 (早)

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>> 2019年3月発売の「このミス」の候補かもしれない作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 ハムレット殺人事件 / 芦原すなお
 毒よりもなお / 森晶麿
 崩壊の森 / 本城 雅人
 宿借りの星 / 酉島伝法
 レフトハンド・ブラザーフッド / 知念実希人
 教室が、ひとりになるまで / 浅倉秋成

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>> 2019年3月発売の宝島社作品 <<

 * 「このミス」では集計対象外(「本ミス」「文春」「早ミス」は対象)
 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ


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>> Amazonに販売ページが作られる前の主な3月発売予定作品 <<

 * 作者名横の()内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数
 * 作者名横の<>内は、過去の「このミス」21~40位作品数
   (ランクイン実績作家の場合は省略)


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 NEXT >>> 「このミス2020年版」月別ランクイン候補作品(2019年4月)

 「このミス2020年版」月別ランクイン候補作品(2019年2月) <<< PREV


 「月別ランクイン候補作品」の一覧は、「このミス」完全読破 読破本リストにてご覧ください。


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2019年2月 3日 (日)

『救済 SAVE』 長岡弘樹 > 「このミス」完全読破 No.1052


「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1052

 『救済 SAVE』 長岡弘樹

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2019年1月11日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2018年11月>


救済 SAVE

長岡弘樹

講談社 2018-11-15

Amazonで詳しく見る

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 長岡弘樹といえば“No.667「教場」シリーズ”が人気ですが、それ以外の作品はノンシリーズの短篇集がほとんどです。

 “教場シリーズ”自体も連作集であることを考えれば、最近では珍しい生粋のミステリ短篇作家ですし、それでいて精力的に作品集を発表しているのですから、“現代を代表するミステリ短篇の名手”と称しても過言でないのでは。

 そして本作も、ノンシリーズの短篇集となっています。

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 というわけで本作は、「三色の貌」「最期の晩餐」「ガラスの向こう側」「空目虫」「焦げた食パン」「夏の終わりの時間割」を収録。

 話の繋がりや共通する登場人物などないノンシリーズ作品集ということもあり、あらすじや各短篇のタイトルを見て興味を持った話から読んでいくのもいいかもしれません。

 ただ各話を通して共通したテーマ性もありまして、それは障碍があったり大きな病気に罹っているなど社会的弱者の立場にいる人を救済しようとする人物が描かれているということです。

 誰が誰を、どのように、何の目的で救おうとしているのか、といった部分が興味深き謎となることによって、ミステリ的な読み味に刺激と驚きが魅力的に加わっていますし、それが切なくて温かい人間ドラマを生み出してもいるので、短いページ数の中でこれだけ短篇小説としてもミステリ小説としても魅せてくれるのは“さすが短篇ミステリの名手だ”と改めて実感させられてしまいますね。

 とはいえ、なんとなく流し読みしていると特に引っ掛かる所なくさらっと読み終えてしまいそうなほどに簡潔であっさりとした読み応えでもあるので、そういった読み方をしてしまうと感想の方もあっさりとしてしまいそうではありますが、ただ本作収録作はいずれも、(書かれている文章を基にして)読者がさらなる物語を想像しうる余地を文章の隙間に残しているようでして、読者が読後に想い考え感情移入することを前提で書かれているようにも思うのです。

 なので、本収録作はいずれも短いページ数ではありますが、いつもの倍くらいの時間をかける気持ちでじっくりと読んでいき、作中で直接描かれなかった部分の物語やドラマまで楽しんでこそ、本作の短篇ミステリならではの魅力を最大限に味わったことになるのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “長岡弘樹” 関連記事 】

  > No.1052 「救済 SAVE」
  > No.0886 「教場2」
  > No.0733 「波形の声」
  > No.0667 「教場」
  > No.0287 「傍聞き」


 「東京輪舞」月村了衛 <<< PREV/NEXT >>> 「グラスバードは還らない」市川憂人

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年1月31日 (木)

『本と鍵の季節』 米澤穂信 > 「このミス」完全読破 No.1050


「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1050

 『本と鍵の季節』 米澤穂信

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2018年12月26日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2018年12月>


本と鍵の季節 (単行本)

米澤穂信

集英社 2018-12-14

Amazonで詳しく見る

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 堀川次郎は、学校で図書委員を務める高校二年生。

 (図書室の利用者がほとんどいないのをいいことに)いつも図書室で雑談やゲームで盛り上がっていた三年生が受験準備のため委員を引退すると、図書室は火が消えたかのように静かになり、堀川は同級生の松倉詩門と共に静まり返った図書室で委員の仕事をしたり時間をつぶしたりする委員生活を送ることに。

 そんなある日、図書委員を引退した三年生の一人である浦上麻里先輩が図書室を訪れ、(亡くなった祖父が遺した)ダイヤル式の鍵が掛かったままの金庫を開けてほしい、と堀川と松倉に頼んできて.....。

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 というわけで本作は、「913」「ロックオンロッカー」「金曜に彼は何をしたのか」「ない本」「昔話を聞かせておくれよ」「友よ知るなかれ」から成る連作集です。

 最近は様々なタイプの作品で常に高評価を受けている著者にとって最も得意なジャンルであり原点でもある学園青春ミステリですが(とはいえ校外の場面が多いので正確には“学園”ではないかも?)、主人公二人は図書委員とはいえそれほど本が好きでも詳しくもなく、目を惹くような特技や決め台詞を持っているわけでもなく、しかも男二人なので、派手な設定があたりまえな学園青春ミステリとしては少々地味な印象となっています。

 ただその分(と言っていいのか分かりませんが)、暗号にアリバイ探しに文書の謎など章ごとにミステリのタイプが違ったり、まず基本となる大きな謎があって、それを推理していく過程で新たな謎が次々と生み出されていき、主人公が真相への糸口を掴んでも読者的にはそれすら謎となり、そんないくつもの謎が膨れ上がってもう限界だというまさにその瞬間に驚くべき真相が明かされたりと、ミステリ作品としてのテクニックも構成も演出も素晴らしいほどの読み応えとなっているのですね。

 そして最初は地味に思えた主人公二人も、相談事を持ち掛けられやすくて何事も素直に受け止める堀川と、逆に何事にも疑り深くて鋭い推理力を見せる松倉という、性格的にも探偵役的にもタイプの異なる二人が揃っているからこその推理劇が繰り広げられていきますし、そんな二人の関係性も連作として進んでいくことにより(BL的な意味ではなく)変化していき少々ビターな読み味が加わってくるなど、ミステリとしても青春物語としても“この主人公二人だからこそ”の魅力があったように思います。

 というわけで、派手さや青春の輝き的なキラキラした雰囲気はなく、恋愛要素もほとんどないので、そういった学園青春ミステリの定番的な面白さを期待してしまうと手応え感じられないかもしれませんが、それゆえに(学園青春ミステリ系作品にそれほど興味がない人でも)本格ミステリ小説として十分に惹き込まれ楽しめる作品となっていて、それに加えて青春物語としてのほろ苦い友情譚も一級品の出来栄えなので、著者ならではの“渋味の効いた青春本格ミステリ”を多くの人が堪能できるのではないでしょうか。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “米澤穂信” 関連記事 】

  > No.1050 「本と鍵の季節」
  > No.0961 「犬はどこだ」(後日更新予定)
  > No.0942 「いまさら翼といわれても」
  > No.0872 「真実の10メートル手前」
  > No.0828 「王とサーカス」

  > No.0817 「さよなら妖精」
  > No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.0748 「満願」
  > No.0622 「リカーシブル」
  > No.0402 「折れた竜骨」

  > No.0366 「ふたりの距離の概算」
  > No.0365 「遠まわりする雛」
  > No.0315 「蝦蟇倉市事件2(街角で謎が待っている)」
  > No.0250 「秋期限定栗きんとん事件」
  > No.0227 「追想五断章」

  > No.0140 「儚い羊たちの祝宴」
  > No.0076 「インシテミル」
  > No.0044 「ボトルネック」
  > No.0040 「夏期限定トロピカルパフェ事件」
  > No.0039 「春期限定いちごタルト事件」


 「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき <<< PREV
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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年1月17日 (木)

『昨日がなければ明日もない』 宮部みゆき > 「このミス」完全読破 No.1049


「このミステリーがすごい!」完全読破 No.1049

 『昨日がなければ明日もない』 宮部みゆき

   「このミス」2020年版 : ?位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読了日 : 2018年12月11日

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2018年11月>


昨日がなければ明日もない

宮部みゆき

文藝春秋 2018-11-29

Amazonで詳しく見る

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 No.077「誰か」No.083「名もなき毒」No.715「ペテロの葬列」、『希望荘』に続く“杉村三郎シリーズ”の5作目です。

 意外にも3作以上続くシリーズ物がほとんどない宮部みゆきの現代サスペンス作品群(ファンタジー系は除く)の中にあって現時点(2019年1月)で唯一の例外なのがこのシリーズですが、内容的にも本作から読んでも問題なく楽しむことが出来ると思います。

 ただ前作『希望荘』から主人公が私立探偵にジョブチェンジして新章に突入しているので、“過去作全てを読む(時間的)余裕はないけれど何作かはあらかじめ読んでおきたいかな”と考えている場合はまず前作から手にしてみては。

 とはいえしかし、前作や本作を先に読んでしまうと3作目『ペテロの葬列』のクライマックスにおける衝撃的な展開のネタバレになってしまいますし、それを先に知ってしまうと1・2作目を普通の状態では読めなくなってしまうと思うので、“今後このシリーズの過去作を読むことは絶対にない!”と心に誓っている人以外は1作目から順に読んでいくことを強くお薦めします。

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 というわけで本作は、「絶対零度」「華燭」「昨日がなければ明日もない」の中篇三作から成る連作集です。

 内容を簡単に説明しますと、まず「絶対零度」は“娘が自殺未遂して入院したものの、娘婿から面会も連絡も拒絶されている”という件で相談を受けた主人公が調査を行っていく話で、「華燭」は主人公が訳ありの結婚式に付き添いとして出席した際に遭遇した騒動の話。

 表題作は自己中な言動によりトラブルメーカーとなっている女性からの“子供の命がかかっている”らしい依頼の話で、いずれの話もこのシリーズの特徴である“身近な人間から吐き出される毒(悪意)”がかなり強烈な印象となっていて、その読む人にまで襲いかかって来るかのような猛毒には過去作にも負けず劣らずの迫力があり、それにより読めば圧倒されるほどの読み応えと後味の悪さを強く噛み締めることになると思います。

 ただそういった内容でもこのシリーズがいわゆる“イヤミス”とは呼ばれていないことにふと気付いたのですが、それはかなりのお人好しだけれどしっかりとした芯も持っている主人公が、毒に対して翻弄されるだけではなく、敵対心全開になるのでもなく、正面から向き合ったうえで事件解決への道を探っていくことによって、イヤミス的な要素のみが強調されることなく物語が作られているからなのかもしれません。

 そしてこのシリーズの柱の一つである主人公自身の物語(人間ドラマ)ですが、前作である程度落ち着きをみせたこともあって本作では(前作までほどは)焦点が当てられていないため、そこを楽しみにしていた人には少々物足りないかもしれないものの、その分、依頼された事件や騒動が中心となった私立探偵ミステリとしての読み味がこのシリーズの新たな魅力となっていますし、そんな中から垣間見える主人公自身の物語にも味わい深きものが感じられました。

 というわけで、シリーズ5作目にしてようやく主人公が私立探偵として本格的に動き出したのですが、前作までに描かれてきたこのシリーズだからこその魅力が本作でも健在であるのはもちろん、そこに新たに“私立探偵ミステリ”としての魅力が加わっているので、今までは興味があまりなかったという探偵小説好きな方にも自信を持ってお薦めできるシリーズとなりましたね。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆

 * 個人的評価は、減点方式ではなく加点方式となっています
   (★の数が少なくても面白くなかったということではありません)
  個人的評価の詳しい説明・評価基準は
  「このミス」完全読破 説明&読破本リストにてご確認ください


  【 “宮部みゆき” 関連記事 】

  > No.0998 「この世の春」(後日更新予定)
  > No.0906 「希望荘」(後日更新予定)
  > No.0715 「ペテロの葬列」

  > No.0638 「桜ほうさら」
  > No.0589 「ソロモンの偽証」
  > No.0500 「魔術はささやく」
  > No.0356 「小暮写眞館」
  > No.0174 「英雄の書」

  > No.0100 「火車」
  > No.0083 「名もなき毒」
  > No.0077 「誰か」
  > No.0035 「龍は眠る」
  > No.0001 「模倣犯」


 「凍てつく太陽」葉真中顕 <<< PREV/NEXT >>> 「本と鍵の季節」米澤穂信

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2019年1月11日 (金)

「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2019年2月)


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 「このミステリーがすごい!」にランクインする作品というのは、ほとんどが単行本やノベルスで刊行された作品なので、“文庫化されてから読んでみよう”と考えている方も多くいるのではないでしょうか。

 なので、「このミス」の1~20位にランクインした作品、およびあと一歩でランクインを逃した作品(21~40位)の文庫化リストを、文庫版発売月別にまとめてみたいと思います。


 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 * シリーズ作品紹介文中の作品名部分のリンク先は、当ブログ感想記事

 * シリーズ作品のランクイン実績は、2019年版までの記録

 << この記事は現時点で未完の状態なので、情報を仕入れ次第、新たに対象作品を追加していく予定です(追加情報は「このミス」完全読破 説明&読破本リストの“更新情報”欄に書いていきます) >>

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 【 2019年 2月 発売 】


  屋上 / 島田荘司

 << 2017年版 26位 >>

   ・「本格ミステリ・ベスト10」 8位
   ・「週刊文春ミステリーベスト10」 8位

 ★ “御手洗潔シリーズ”の28作目
   (4作目「異邦の騎士」が1988年5位、
    6作目「暗闇坂の人喰いの木」が1991年版10位、
    7作目「水晶のピラミッド」が1992年版5位、
    8作目「眩暈」が1993年版15位、
    10作目「龍臥亭事件」が1997年版15位、
    16作目「魔神の遊戯」が2003年版16位、
    27作目「星籠の海」が2014年版9位にランクイン)

 ★ 同じ場所から次々と飛び降りて死んだ男女。
   被害者は、幸福の絶頂にあった女性、
   「自殺しません」と宣言してから
   様子を見に行った男性など。
   「まだ御手洗が馬車道にいた頃、
   暗闇坂、龍臥亭にも劣らないほど印象深い事件だった」。
   人智を超えた謎と鮮やかな解決。
   名探偵のなかの名探偵・御手洗潔が降臨する!

 ★ 『屋上の道化たち』を改題して文庫化
   (ノベルス化の時点で改題済み)

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 << 「このミス」で41位以下または0票だった
       当ブログ読了済みの2月文庫化作品 >>

  橋を渡る / 吉田修一

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2019年1月 4日 (金)

「このミス2020年版」月別ランクイン候補作品(2019年2月)


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 これで11年目となる“月別ランクイン候補作品”ですが、「このミステリーがすごい!2020年版」対象作品についても引き続き実施していこうと思います。

 この“月別ランクイン候補作品”とは、自分は日頃から“どんな作品が「このミス」にランクインしそうかな?”と色々とチェックしているので、どうせならそれを刊行された月(奥付記載の月)別にまとめてしまおう!ということで始めた企画です。

 ここでは、とりあえず「このミス」の対象になりそうな作品をピックアップして、作者やシリーズの「このミス」実績ごとに分けて並べています。

 なお、読んだうえでのランクインするかどうかの予想に関しては、「このミステリーがすごい!2020年版」ランキング(順位)予想の方をご覧ください。


 << この記事は現時点で未完の状態なので、情報を仕入れ次第(&Amazonに作品のページが作られ次第)、新たに対象作品を追加していく予定です(追加情報は「このミス」完全読破 説明&読破本リストの“更新情報”欄に書いていきます) >>

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>> 2019年2月発売の「このミス」ランクイン実績のあるシリーズ作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * シリーズ過去作品の作品名部分のリンク先は、当ブログ感想記事

 魔眼の匣の殺人 / 今村昌弘 (1作) * シリーズ2作目
        〈1作目「屍人荘の殺人」が18年版1位にランクイン〉

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>> 2019年2月発売の「このミス」ランクイン実績作家の作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数

 ノースライト / 横山秀夫 (7作)
 スクエア 横浜みなとみらい署暴対係 / 今野敏 (5作) * シリーズ5作目
 続 横道世之介 / 吉田修一 (2作) * シリーズ2作目
 響野怪談 / 織守きょうや (1作)
 梟の一族 / 福田和代 (1作)
 みかんとひよどり / 近藤史恵 (1作)

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>> 2019年2月発売の「このミス」ランクイン実績なしも
          21~40位に入ったことのある作家の作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ内は、過去の「このミス」21~40位作品数

 東京の子 / 藤井太洋 <2作>
 予告状ブラック・オア・ホワイト ご近所専門探偵物語 / 市井豊 <1作>
 大聖堂の殺人 ~The Books~ / 周木律 <1作> * シリーズ7作目

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>> 2019年2月発売の
    日本推理作家協会賞(推協賞)短編部門の受賞作・候補作
    および年間傑作選アンソロジー選出作を収録した作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ
 * 作者名横のカッコ()内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数
 * 作者名横のカッコ<>内は、過去の「このミス」21~40位作品数
   (「このミス」ランクイン作家の場合は省略)
 * 他の項目と重複している作品もあります

[ “” ]


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>> 2019年2月発売のミステリ(エンタメ)系新人賞受賞(候補)作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

[ “小説すばる新人賞”受賞作 ]
 闇夜の底で踊れ / 増島拓哉

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>> 2019年2月発売の
     「このミス」で40位以内に入ったことはないものの
     「本格ミステリ・ベスト10(本)」
     「週刊文春ミステリーベスト10(春)」
     「ミステリが読みたい!(早)」
     にはランクイン経験のある作家の作品 <<

 * 「週刊文春ミステリーベスト10」は
   (「このミス」が始まった)1988年以降のランクイン作家のみ対象
 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ


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>> 2019年2月発売の「このミス」の候補かもしれない作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ

 キリングクラブ / 石川智健
 奇科学島の記憶 捕まえたもん勝ち! / 加藤元浩 * シリーズ3作目
 ことのはロジック / 皆藤黒助

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>> 2019年2月発売の宝島社作品 <<

 * 「このミス」では集計対象外(「本ミス」「文春」「早ミス」は対象)
 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページ


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>> Amazonに販売ページが作られる前の主な2月発売予定作品 <<

 * 作者名横の()内は、「このミス」20位以内ランクイン作品数
 * 作者名横の<>内は、過去の「このミス」21~40位作品数
   (ランクイン実績作家の場合は省略)


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 「月別ランクイン候補作品」の一覧は、「このミス」完全読破 読破本リストにてご覧ください。


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2018年12月29日 (土)

「このミス2019年版」投票者なりきりベスト6

 


このミステリーがすごい! 2019年版

宝島社

発売日:2018.12.11

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 これで11年目の企画となりますが、“投票者なりきりベスト6”を書いてみたいと思います


 「このミス」では、70人を超える読書家(評論家など)の投票を集計し、その結果をもとにその年のランキングが作られます

 もう少し詳しく説明すると、投票者は1人につき6作品に投票することができ、その6作品を1位から6位まで順位付けすることで、1位に10点、2位に9点.....、といった具合にそれぞれ点数が付けられます。全投票者が投じた得点を合計し、その結果がランキングとして発表されるというわけですね

 そんな「このミス」投票者になったつもりで自分も6作品選んでみようという企画なのですが、ただ他にも面白かった作品がいくつもあったため、6作品だけを紹介するのも寂しいので、昨年までは50位や30位からカウントダウン形式で発表していました

 ただ今年は、(例年であれば読了済み作品のみを予想の対象としていたのに)特例として未読作品も予想の対象に入れたくらいに読んだ冊数が少なかったこともあり、タイトル通りに6作品だけ紹介することに

 それに、いつもなら「このミス」のランキング発表前に更新していたのに、今年は発表後になってしまいましたし、ここでランクイン作品を紹介しても今更な感じがあるので、今年だけ特別に「このミス」ランク外(21位以下)作品の中から自分が面白かった(そして“「このミス」に投票するなら”という基準で選んだ)6作品を紹介することにしましょう


 * 作品名部分のリンク先は、Amazonの詳細ページです

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 【 6位 : 超動く家にて 宮内悠介短編集 / 宮内悠介 】



超動く家にて 宮内悠介短編集 (創元日本SF叢書)

宮内悠介

東京創元社 2018-02-21

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 基本はSFの短篇集ではありますが、かなりヴァリエーションに富んだ作品揃いで、しかもどの収録作もとんでもないアイデアがぶち込まれた異色ながら愛すべき作品集となっていますし、表題作などはタイトルの通り“超動く家”で密室殺人が起きるというミステリ要素を組み込んだ作品だったりもするので、(心が寛容な)ミステリ好きの人にもお薦めです


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 【 5位 : 皇帝と拳銃と / 倉知淳 】


皇帝と拳銃と皇帝と拳銃と
倉知 淳

東京創元社 2017-11-30
売り上げランキング : 10924

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 倒叙ミステリは追い込まれていく犯人側に感情移入してしまうので個人的には若干苦手なジャンルなのですが、本作の主人公は、死神を連想させるほどの不気味な外見&態度のキャラクターながら、(犯人を追いつめるというよりは)事件の謎のみに興味を示して淡々と無感情に推理していくタイプだったので、倒叙ミステリの王道的な面白さを素直に楽しめましたし、この主人公の物語をまた読みたくなりましたね


  この作品の感想記事はこちら!!
   >> No.1002 『皇帝と拳銃と』 倉知淳


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 【 4位 : サーチライトと誘蛾灯 / 櫻田智也 】


サーチライトと誘蛾灯 (ミステリ・フロンティア)サーチライトと誘蛾灯 (ミステリ・フロンティア)
櫻田 智也

東京創元社 2017-11-13
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 ミステリーズ!新人賞受賞作を始めとした前半収録の3篇もコミカルなやり取りの中にミステリトリックが仕掛けられていて面白かったですが、後半に収録の2篇における情緒的な雰囲気やシリアス系物語としての読み味に“これは近いうちに傑作を書くだろうな”と思わされるだけの凄みを感じたので、本作自体を楽しめたのはもちろん、そんな“大器の片鱗”のようなものを味わえたことが特に印象深いですね


  この作品の感想記事はこちら!!
   >> No.1008 『サーチライトと誘蛾灯』 櫻田智也


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 【 3位 : 宇宙探偵ノーグレイ / 田中啓文 】


宇宙探偵ノーグレイ (河出文庫)宇宙探偵ノーグレイ (河出文庫)
田中 啓文

河出書房新社 2017-11-07
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 宇宙を飛び回って仕事をしている探偵が訳ありの惑星から依頼を受ける連作集ですが、それぞれの惑星におけるとんでもなく奇抜な設定に、そんな設定だからこその不可能殺人、そしてそれらの謎に(翻弄されつつ)挑んでいく探偵っぷりと、バカバカしいながらもぶっ飛びまくりのアイデアが贅沢に注ぎ込まれた特殊設定SFミステリなので、マニア向けではあると思うものの、もう少しランキングで評価されても良かったとも思うのですよねェ


  この作品の感想記事はこちら!!
   >> No.1035 『宇宙探偵ノーグレイ』 田中啓文


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 【 2位 : 少女を殺す100の方法 / 白井智之 】


少女を殺す100の方法少女を殺す100の方法
白井智之

光文社 2018-01-17
売り上げランキング : 50578

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 “エログロと本格ミステリとの歪な融合”という著者の持ち味そのままにこれだけ短篇ごとに作風の変化を生み出しているのは本当に凄いですし、なによりこれまでの作品になかった物語的な魅力が作品からあふれ出ていたので、単に奇抜な作家では終わらないであろうという予感を強く感じさせる素晴らしき短篇集でした


  この作品の感想記事はこちら!!
   >> No.1006 『少女を殺す100の方法』 白井智之


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 【 1位 : パズラクション / 霞流一 】



パズラクション (ミステリー・リーグ)

霞流一

原書房 2018-08-20

Amazonで詳しく見る


 こうやって個人的なベストを選んでみると、やはり好みの問題もあってぶっ飛んだ内容の作品が上位に入ってきますが、2018年の(あくまで自分が読んだ中で)最もぶっ飛んだ作品といえば本作でしょう

 “殺し屋=刑事”という設定を活かして倒叙ミステリや真相の書き換えなどを作中に込めるだけでなく、密室に見立てにアリバイに多重解決にと様々な本格ミステリ要素で演出され、さらには犯行中に偶然の要素が紛れ込むことによって著者の独壇場であるバカミストリックが有無を言わさぬ状況で炸裂するという、発想も素晴らしければそれを実際に作品として完成させてしまった技量も素晴らしいというとんでもない作品なので、人を選ぶ内容とはいえ自分の中では2018年ダントツの1位でしたね


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 【「このミステリーがすごい!2019年版」関連記事】

  > 「このミステリーがすごい!2019年版」ランキング(順位)予想 (18.2.1)

  > 「このミス2019年版」のベスト10作品をみんなで予想しよう! (18.10.3)

  > 「ミステリが読みたい!2019年版」 (18.11.25)
  > 「2019 本格ミステリ・ベスト10」 (18.12.5)
  > 「週刊文春ミステリーベスト10(2018年)」 (18.12.6)
  > 「このミステリーがすごい!2019年版」 (18.12.7)

  > 「このミス2019年版」ランキング(順位)予想 <反省会・総論編> (18.12.8)
  > 「このミス2019年版」ランキング(順位)予想 <反省会・各論編> (18.12.14)
  > 「このミス2019年版」ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会> (18.12.18)

  > 「この“ランク外作品”がすごい!2019年版」 (18.12.25)

  > ミステリー・推理小説総合ランキング(2018年) (18.11.28)


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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2018年12月25日 (火)

「この“ランク外作品”がすごい!2019年版」

 


このミステリーがすごい! 2019年版

宝島社

発売日:2018.12.11

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 「このミステリーがすごい!2019年版」が発売され、ランキングが発表されたということで、これからランクイン作品を読んでみようと思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか

 2018年に発売された大量のミステリ&エンタメ作品の中から、読書のプロたちが選んだ作品がズラリと並んでいるわけで、まあ好みの問題はあるとはいえ面白い作品揃いなのは間違いないでしょう

 しかし、だからといって“ランクインした作品は面白く、ランクインしなかった作品はつまらない”というわけでは決してなく、ランクインを逃した21位以下の作品の中にも傑作が数多く秘められているのですね

 なのでここは、そんなランク外だった作品の中から読んでおくべきお薦めの作品を何点か紹介してみたいと思います

 なお選んだ基準は、自分が面白いと思った作品ではありませんでして、「このミス」でランクインまであと一歩だった作品(具体的には“21位以下の作品<21点以上>”の欄に掲載された作品)の中から、他のミステリランキング誌ではランクインした作品(「本ミス」は30位以内、「文春」「早ミス」は20位以内)をピックアップしました


 「このミス」 ・・・・ このミステリーがすごい!
 「本ミス」 ・・・・ 本格ミステリ・ベスト10
 「文春」 ・・・・ 週刊文春ミステリーベスト10
 「早ミス」 ・・・・ ミステリが読みたい!


 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページです

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  パズラクション / 霞流一

  ( このミス:21位、 本ミス:3位 )

 多重解決、倒叙、密室、見立てなど本格ミステリの様々な要素を詰め込めるだけ詰め込んだうえに、著者の本領であるバカミス的トリックを遺憾なく発揮できる舞台を生み出しているので、(好き嫌いははっきりと分かれそうではありますが)「本ミス」上位ランクインも納得のぶっ飛びまくり本格ミステリです。

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  生き残り / 古処誠二

  ( このミス:21位、 文春:15位、 早ミス:15位 )

 昨年には『いくさの底』で年間ベスト級の高評価を受けた古処誠二の新作は、戦場ならではの犯行動機が静かながら心に染み入る衝撃をもたらす戦争ミステリとなっています。

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  夏を取り戻す / 岡崎琢磨

  ( このミス:23位、 本ミス:18位 )

 ライトミステリ系の大ヒット作『珈琲店タレーランの事件簿』シリーズが代表作な著者でありながら、本格ミステリ好きの人でも読み応え十分の、まさに新境地といえる作品です。

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  友達以上探偵未満 / 麻耶雄嵩

  ( このミス:24位、 本ミス:11位、 早ミス:13位 )

 “女子高生探偵コンビが活躍するミステリ小説”と聞けばライトな青春ミステリだと思ってしまいますが、そこは著者が麻耶雄嵩なので、捻くれねじれ刺激たっぷりの探偵小説となっています。

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  少女を殺す100の方法 / 白井智之  <感想記事はこちら>

  ( このミス:25位、 本ミス:8位、 早ミス:16位 )

 エログロと本格ミステリが歪に融合した唯一無二の作風にさらなる磨きがかかっていますし、倫理的に問題視されてしまうタイプの内容ではありますが、短編集ということもあり白井ミステリ初チャレンジにも持ってこいの作品なのでは。

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  ドッペルゲンガーの銃 / 倉知淳

  ( このミス:27位、 本ミス:9位 )

 刑事と女子高生の兄妹が探偵役を務めつつ楽しい掛け合いを見せるライトな面白さに、不可能犯罪の魅力&それを崩していく確かな推理と、著者の本領が発揮されたシリーズ中篇集です。

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  翼竜館の宝石商人 / 高野史緒

  ( このミス:29位、 早ミス:17位 )

 江戸川乱歩賞受賞作No.566「カラマーゾフの妹」以来6年ぶりとなる待望の新作は、17世紀のアムステルダムという舞台の空気感が強い印象を与える中で本格ミステリ的な事件と推理が展開していく通好みのミステリ作品となっています。

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  皇帝と拳銃と / 倉知淳  <感想記事はこちら>

  ( このミス:30位、 本ミス:14位 )

 倒叙ミステリとしてはオーソドックスな展開により読み応え抜群の推理劇と、不気味な容姿ながら静かに端正に謎を解いていく刑事(探偵役)に印象が残る、正統派ながら独自の面白さも味わえる倒叙ミステリ作品です。

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  未来 / 湊かなえ

  ( このミス:36位、 文春:13位 )

 直木賞にもノミネートされた本作は、著者の集大成というだけあってイヤミス要素全開の内容でありながら、その中で謎や伏線の仕掛けが絶妙なスパイスとなっているので、賛否両論分かれる作品とはいえミステリランキングで評価されたのにも頷けるのでは。

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  帝都探偵大戦 / 芦辺拓

  ( このミス:41位、 本ミス:24位、 早ミス:20位 )

 過去の日本推理小説に登場して来た著名な名探偵たちが約50人も登場して活躍するという、芦辺拓だからこそ書くことの出来たパティーシュ探偵小説です。

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 【「このミステリーがすごい!2019年版」関連記事】

  > 「このミステリーがすごい!2019年版」ランキング(順位)予想 (18.2.1)

  > 「このミス2019年版」のベスト10作品をみんなで予想しよう! (18.10.3)

  > 「ミステリが読みたい!2019年版」 (18.11.25)
  > 「2019 本格ミステリ・ベスト10」 (18.12.5)
  > 「週刊文春ミステリーベスト10(2018年)」 (18.12.6)
  > 「このミステリーがすごい!2019年版」 (18.12.7)

  > 「このミス2019年版」ランキング(順位)予想 <反省会・総論編> (18.12.8)
  > 「このミス2019年版」ランキング(順位)予想 <反省会・各論編> (18.12.14)
  > 「このミス2019年版」ランクイン作品を事前に読んでしまおう!<反省会> (18.12.18)

  > 「この“ランク外作品”がすごい!2019年版」 (18.12.25)

  > ミステリー・推理小説総合ランキング(2018年) (18.11.28)


  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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